A → Z : Xserve

モラモラ会社員がムラムラしながらお届けするヌルヌルアーカイブ。

松崎ナオ「川べりの家」でXserve

2019-12-27 | ヌルヌルアーカイブ
クリスマス。水ダウで爆笑したあとに、小田和正のクリスマスライブというチャレンジングすぎるTBSの編成。なかでも松崎ナオ「川べりの家」がすごかった。

NHKの「ドキュメント72時間」のテーマソングで何回も聞いてきた歌だが、小田和正の意向なのか歌詞が画面に表示されるので、あらためて見るとこれが「方丈記ばりの無常観」と「誰もが共感する人生観」を同時に内包する、人間賛歌であると気づいた。

歌詞の意味をググっても、うっすい解釈しか出てこないため、自分で解釈を試みた。

大人になってゆくほど 涙がよく出てしまうのは
1人で生きて行けるからだと信じて止まない
それでも淋しいのも知ってるから
あたたかい場所へ行こうよ

→大人になるということは強さと弱さを同時に獲得していくことである。ただひとりでは淋しいので人は行動を起こす。

川のせせらぎが聞こえる家を借りて耳をすまし
その静けさや激しさを覚えてゆく
歌は水に溶けてゆき そこだけ水色
幸せを守るのではなく 分けてあげる

→ここでいう川は「世間」や「社会」のメタファーと思われる。社会に出て初めは思い通りにならなかったり、流れについていけなかったりするが、次第に慣れると自己効力感を得られる場所(それは会社だったり家庭だったり仲間内だったり人それぞれ)を見つけられる。そこで得られた果実を独占するのではなく、シェアすることでさらに幸福の総量は増える。

なるべく大きくて なるべくりっぱな水槽を
自転車で買いに行き はなしてやろう
なんて奇跡の色を持っているの
キラキラ揺らめいてる

→社会で見つけた果実(自分の役割や才能、熱中できること、生まれた子どもなどこちらも人それぞれ)を、自分の力でせいいっぱい育てていく。するとそれは奇跡的な光を放つ。しかしそれは安定していない。でもだからこそ価値がある(命や炎のゆらめきのような)。

水溜まりに映っている ボクの家は青く透け
指でいくらかき混ぜても もどってくる

→とはいえ社会で努力したことが必ず報われるとは限らず、気づけばゼロリセットになることもある。しかしそれすらもメタ認知すれば希少価値があることかもしれないし、次につなげられることかもしれない。

とても儚ないものだから 大切にして
一瞬しかない
一瞬しかない

→すべての価値、自分の人生が輝きを放つのは、過ぎ去ってしまえば一瞬である(あのとき輝いていたという事実すら過ぎ去ってみないと気がつかない)。だからこそ、日々のすべてを大切にしたい。

あらためて、なんつー懐が深すぎる人間賛歌だ。
72時間の年末特番を見ながら、自分の来し方を振り返り、行き方を考えたい。

――良いお年を!