A → Z : Xserve

モラモラ会社員がムラムラしながらお届けするヌルヌルアーカイブ。

スーパーエースに見送らずファウルで対抗したXserve

2005-03-20 | ヌルヌルアーカイブ
めちゃくちゃ仕事のできる男が会社にいる。彼は俺よりも3つも年下だが、俺よりも社会人経験が長く、しかも前職では生き馬の目を抜く芸能界の最先端で修羅場をくぐりまくってきたため、誰よりも肝が据わっている。

彼が入社したとき、たまたま俺が直前の入社だったので、なんとなく俺が教育係っぽいことをした。議事録の書き方とか、HTMLの小ワザとか、今思えば「なんであんなこと教えたんだっけ?」という感じだが、彼はそれが嬉しかったらしい。

だが、俺は彼が怖かった。それは、あまりに頭の回転が早いから。それは、あまりにバックボーンが違うから。あと、なんだか良く分からないけど、彼だけ毎日スーツだったから。あと、飲み会とかに誘うと「それって僕が行くと楽しいんでしたっけ?」とか、とりつく島もないことを言うから。

あれから3年の時が過ぎた。その間、俺は7つものサービスを渡り歩き、定住地のないボヘミアンっぷりを発揮したが、彼は最初から一貫して1つのサービスに取り組み、確実に結果を出してきた。

ここまでで、俺と彼の素養の決定的違いが分かる。それは、仕事に対する“気負いの大きさ”だ。「○○業界を変えたい」という、彼がそのサービスを担当することでしか持ち得ないスケールの大きな気負いが、結果、何人の侵食をも許さない。気負いがビジョンによって生成されるとするならば、彼は自らビジョンを設定し、その気負いをバネにミッションを遂行している。

ミッションのなかには理不尽な数字も、無責任なリクエストも、無意味な雑用も多々ある。が、自らビジョンを設定できれば、それらは通過点に過ぎず、大した問題ではなくなる。俺は、自らビジョンを持ち得なかった……それは、「なんか大きなことがやってみたい」という曖昧な理由でいまの会社に入り、以降与えられたミッションをひたすらこなすことに終始してきたからだ。

もちろん、俺も気負いは持っていた。だが、それはあくまでミッション単位での気負いであり、バックボーンとしてのビジョンはなかった。

また、「世の中をどうしたいか?」という領域にまで踏み込むような大きなビジョンは組織が持つもので、個人がそれを持つのは全体として非効率的だと思っていた。

そんな彼と俺が、出逢ってから約2年半後にあたる去年の年末に、はじめていっしょにちゃんとした仕事をした。それは、現場から会社に大きなビジョンを提示するという、とても刺激的な仕事だった。個人が持つビジョンが、組織にミッションを生み得るということを知った。そして、ほとんどすべての数字目標をクリアした。

この仕事は実は単発の効果測定であり、その結果をもとに今後2年間の事業計画を立てる予定だった。しかし、諸般の事情で彼も俺もその他のメンバーも、もうこれに関われそうにない。

それは、なぜか?
何が問題だったのか?
誰に責任があるのか?
ビジネスモデルは煮詰まっていたのか?
ほとんどの数字目標をクリアしたのに?
現場からの評価は高いのに?
営業の引き合いもものすごいのに?

これを、今週末の飲み会で、議論した。「朝生」ばりに。いやがおうでもヒートアップする、彼と俺。しかし、前述の様に相手は超々豪速球を投げるスーパーエース。俺は、やっとの思いでファウルを打つのが精一杯。しかも、ときどき一塁か三塁の内野手に、フェンスギリギリでキャッチされる。

でも、実は答えは明白なんだ。

“俺の気負いがちっぽけだった”
……って、ただ、それだけ。

しっかし、とても有意義な時間だった。
多分、一生忘れないと思う。

ありがとう。

モテモテニューカマーでXserve

2005-03-18 | ヌルヌルアーカイブ
物凄い人材が現れた! 出会い系なんぞ糞喰らえ! ていうかそもそもオンライン反対! オフラインで培ったすべての人脈は、合コンのために使え! 合コンでひっかけ、後日待ち合わせ、デートに持ち込み、数々の“脈ありテスト”を駆使してGOサインが出たら即(タイミングを見計らって)ターゲットの懐に斬り込め! しかし、あくまで自然に! かつ、大胆に! 成功を手にしたら、最後の締めのセリフと、さらにそこから新たな人脈を広げることを忘れるな!

……すげぇ。マジですげぇ。ここまでの合コン・口説き・新規開拓スキルを持ちながら、それを惜しげもなく開陳する豪胆さ。曰く「数こなせば、自然とモテ選択肢だけが残るんスすよ~。HA HA HA~」――すばらしい。すばらしい人材が現れたよ、父さん!

いやぁ、モテるイケメンの話を聞いていると、なぜかこっちまでモテたような気になってくるから不思議だ(←勘違い)。不思議、大好き。オンナ、大好き。おいしい、生活。

俺はケチなので、彼から伝授してもらったモテテクニックを、あえてここには書かない。が、しかしそれでは皆さまのライフエンジンたる(?)本アーカイブのアイデンティティークライシスを招いてしまうので、彼が宣(のたま)っていたモテキーワードを、ここに列記してみたいと思う。

■プッチの手帳もしくはハンカチ
■オーゴッド(原宿のボエムの隣の地下の映画バー)
■801(芋洗坂のマンションの8Fにある隠れバー)
■海ほたるの隠れ絶景スポット
■お台場にある誰もいない隠れ海岸
■手をつなぎたいときは、「手つないでも大丈夫?」とさりげなく訊いてると見せかけて、同時に手を取りに行け!
……あ、テクニックひとつ書いちゃった。

“ニューカマー”にして、もうなんかすでに“師匠”――そんな型破りな彼にも、実は意外な一面がある。

「俺、ファミ通が大っっっ好きなんスよ~っ」

そう語るときの彼の目からは、獲物を狙うジャッカルのごとき鋭利な眼光は消え、ひとりのモラモラ会社員少年ボウイの眼差しになる……そんな瞬間を、俺は見逃さなかった。

つーか、いや、ほんと、そんな微妙に微笑ましい話は実はどうでもよくて、お願いだから、師匠の“現場”を見学させてください。頼みます。マジで。織田裕二が「事件は会議室で起こってるんじゃない。現場で起こってるんだ」と怒鳴っていた意味が、いまやっと分かった気がします。うん。まいった。本当に。

ソウルを震わす「中国雑貨」でXserve

2005-03-13 | ヌルヌルアーカイブ
かなり久しぶりに東急ハンズに行ったら――毎年この時期に飽きもせず同じキャッチでやっている――「ハンズのホワイトデー」のとなりの売り場で、「中国現地買い付け品物市」という期間限定っぽい企画が催されていた。

「コイツぁ、いまか屋がほっとかねーぜ!」と思った俺は、“古本を詰める段ボールを買いに来た”モードから“中国雑貨をあさりに来た”モードへと、素早く華麗にシフトチェンジ。まるで、お魚を狙うドラ猫のように――目を皿のようにして、中国雑貨にガンを飛ばす。

すると、どうだ……ただの陳列された商品群でしかないはずの彼らのたたずまいのその先に、中国の雄大な大地の面影が……4,000年にわたる悠久の歴史の記憶が……俺の眼前に広がりだしたんだ。

四川省の複雑な山影が、始皇帝の兵馬俑が、関羽のヒゲが、愛新覚羅の弁髪が……永年抱き続けてきた中国への憧憬とともに、ここぞとばかりに奔流となって俺のソウルを震わせる。建前としての共産主義が、実態としての資本主義にとってかわる。結果、俺は衝動買いにひた走った。

■ドラセット 3,000円
朝これを使って嫌いな人などを叩き起こそう!

■虎出没注意ステッカー 100円
虎みたいに目つきが悪かったり人に噛みついたりするイヤな奴の背中にこっそり貼ろう!

■ミニチュア箪笥 1,000円
玄関に散らかりがちな小物をしまおう!

■禁煙プレート 100円
ホームシアターなどの禁煙スポットにオシャレにセッティングしよう!

これらのセレクト……プライスレス。

ああ、中国行きたいなぁ……。


至高のラーメン「ふぐつけ麺」でXserve

2005-03-07 | ヌルヌルアーカイブ
近所に、「勇次」というラーメン屋がある。5年前、東京都は町田市郊外にきら星のごとく現れ、TVや雑誌のラーメン特集で“懐石ラーメン”ともいうべきその独特の存在感を誇示し、瞬く間に――日清「名店仕込み」シリーズでの商品化や、標語「一麺一心」などで知られる――町田の雄「雷文」を凌駕する存在となった、超のつく銘店である。

ここのラーメンはとにかく美味い。旨いでも巧いでもなく、“美味い”。まず、店がまえからして違う。ラーメン屋っぽくない。一見料亭……とまではいかないが、品のいい小料理屋という雰囲気。そういえば、「勇次」になる前、ここはうなぎ屋だった。ガラガラと引き戸を開けてなかに入ると、鰹出汁と鳥ガラのいい匂いが鼻腔を刺激する。その匂いはどこまでも繊細で、一般的なラーメン屋のそれとは明らかに異なる。もっとこう……あっさりとして、それでいてコク豊かな……そう、まさしく日本的な和のテイストたる、わびさびを地でいく……えーと、つまり、ひとことでいうと、“懐石ラーメン”。

ちなみに、店名は長渕剛の名曲「勇次」からきているらしい。壁には、莫山先生ばりの達筆で書かれた「勇次」の歌詞の額縁が掛けてある。

実はこのラーメン屋、毎年末に「ふぐラーメン」という特別メニューをやっていて、俺はそれを毎年食う気満々なのに、毎年食い損ねている。毎年くやしい。毎年悲しい……しかし、同じ煮え湯を飲んできた人々が、かの地にいた……!

その結果、見よ! この麗しきもおごそかな、「ふぐつけ麺」を……!

「ふぐラーメン」は年末だけってことにしているので出せないけど、皆さまのご要望にお応えして出しちゃいましたよ、「ふぐつけ麺」……!

もー、美味いのなんのって! つけだれのなかに沈み込む、ふぐさまのお骨にむしゃぶりつきながら、適度な太さで適度に硬い謹製の麺を、半分だけつけだれに浸してから口にかっ込む。う……うめぇ。しかも奥さん! ふぐ刺し付きっすよ。ふぐ刺し付き! 昼間っからふぐ刺し! つけ麺食いながらふぐ刺し! ふぐさまのお骨にむしゃぶりつきながらふぐ刺し! もうこうなったら、ほかのものもいろいろ刺したい! あと、抜いたり……!

いやぁ、これで1,200円ぽっきりたぁ、父ちゃん嬉しくって涙がでらぁ。

町田一の銘店の、底力を知った思いだ。この店が家から歩いて行ける距離にあるということに、運命を感じる。いまのうちに、せいいっぱい享受しておこう。

今月、俺は家を出る。


泣いて内定? Xserve

2005-03-03 | ヌルヌルアーカイブ
まさか、この歳で、このシチュエーションで……「泣く」とは、自分でも思ってもみなかった――。

一連の自己プレゼンのあと、彼は何かを考えていたようで、何回か沈黙が生じる瞬間があった。俺はそんな彼の様子が理解できず、いささか怪訝に思いながらそれを見守っていた。すると、彼はおもむろに……

「オマエって、謙虚?」

と訊いてきた。

「めちゃめちゃ謙虚ですよ」

と、俺は答えた……しかし、彼は見抜いていたんだ……俺が単なる“モラモラ会社員”だということを……。

この2、3コ前の質問で、「オマエがいままで生きてきて、一番尊敬してる人って誰?」というのがあり、俺は前の会社の上司でいまも同じ職場にいるある人のことを話した。

そう、彼の物言いは、その人とまったく一緒だったんだ……。

そして俺は、普段から常に心の奥底で感じている自分のウィークポイントを、このたかだか1時間くらいの本当にわずかな時間のなかで、見事に射抜かれてしまった。

……でも、なぜ? なぜそんなことを、わざわざあなたは言ってくれるの?

俺の言葉にならない疑問を察知したのか、彼は次のような主旨のことを言った。

「俺はこのたかだか1時間という限られた短い時間のなかで、例えもう二度と逢うことはないだろう相手だとしても、自分がその人に“何を与えられるか”ということを常に考えている。せっかくの稀な機会を、お互いにとって無駄にしたくない。一見非効率的かもしれないが、俺はそうしていくことによって世の中が少しでも良い方向に向かっていき、ひいては自分自身に返ってくると信じている」

着ていた鎧が――まるで「ホムンクルス」に出てきたヤクザの親分のように――ガチャンガチャンと音を立てて崩れ脱げていった。

気づくと俺は、号泣していた――。

……こんな経験は、もちろん生まれてはじめてだし、何より彼の器のでかさに驚いた。

今日という日を忘れずに、今後の人生を歩んで行こうと思う。

隠れバーでシガーをくゆらす将来の自分を想うXserve

2005-03-01 | ヌルヌルアーカイブ
大人のシガー――湿度に最大限の注意をはらうらしい――までをも楽しめる大人のバーで、シガーには手を出せないながらも、ホワイトラムに漂うライムを見つめながら人生について語り合う瞬間――それは、ああ、大人になったなぁ……と、思う瞬間。

大人の二人……ましてや、明日ともに人生の転機となりうる重大な発表を控えた身とあれば、話す言葉はごくごく自然に紡がれる。

将来の夢。
現状の認識。
自己の肯定。
失敗の可能性のリスクと分析。
自分へのリスクヘッジ。
過去の挫折。
いままで生きてきた結果獲得した座右の銘...etc

んー、なんだろう……この感じ。充実した時間。すすむ酒。たゆたう意識。襲いくる眠気。

久々に、こんないい酒を飲んだという、得もいわれぬ満足感を味わったんだ。そして、俺と同じタイミングで一歩を踏み出す今宵の相手は、前Q最大の恩人であるという、奇妙な縁。

……いやぁ、面白い。ホント面白い。人生。そして、この店はいい店だ。会社からも近いし、いろんな人を連れてこよう。

あとね、10年後くらいに、この店のシガーを何気にオーダーできる――そんなオッサンになっていたら、カッコイイかもなぁ……と、思った。

しかし、見得切って店でちょっと多めに支払ったら、帰りのタクシー代が620円足りなくなったのには、参った……相当、参った。カッコマンへの路は、まだまだ遠い……。