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モラモラ会社員がムラムラしながらお届けするヌルヌルアーカイブ。

ゲド戦記は少子化対策映画だった! でXserve

2006-08-27 | シネシネアーカイブ
ゲド戦記をみた。
「宮崎吾郎? どうせダメジュニアでしょ?」という先入観。知育コンテンツのようなコンサバCM。「つまらない」という周りの評価。どうでもいい豪華声優陣。正直ぜんぜん期待していなかった。でも、すごくよかった。

人はいつか死ぬんだと。持っているものもいつかすべて失うんだと。苦しいが、限りがあるからこそ宝物になりうるのであり、天からの慈悲(人間の本分?)なんだと。そんなシンプルなメッセージが、ストレートに伝わってきた。こういうベタなのをクオリティー高くやられると、俺はけっこう弱い。

ファンタジーの様式美的なところをつっけんどんに表現しきっているのもよかった。取捨選択がちゃんとできている感じ。ガキは本能で感じとれ。大人は分かるやつだけ分かればいい――という、本来は非常にマイナーなことを、メジャー配給でやるというのは文句なくすばらしい。

そして、限りある命だからこそ子孫を残していけ、といわんばかりの締め。これも素直にすばらしい。厚労省は認定すべきだ。ゲド戦記こそ、少子化対策映画である――と。

思えばガキのころから宮崎アニメに慣れ親しんできた。ものごころついたときには、ルパンの再放送をみていた。親が毎週末、未来少年コナンのビデオを借りてきていっしょにみていた。

そして、「風の谷のナウシカ」。上映前のあの劇場内の特別な空気はいまでも鮮明に覚えている。その空気は、細野晴臣が作曲し安田成美が歌っていたテーマ曲によってもたらされていた。2本立てになっていて、1本目は「名探偵ホームズ」のTVシリーズ2本が上映された。これもガキにとってはもうたまらないハヤオ流エンターテインメントだった。そのあとに始まった王蟲やらメーヴェやら蟲笛やらユパさまやらガンシップやらやらなどの圧倒的最高品位の妄想ビジュアルの連続。当時8歳になったばかりの俺は、完全にヤられてしまった。

その後、一時期はラピュタ派に転向したこともあったが、いまはやっぱナウシカがいちばんすげぇと思う。

個人的には、カリオストロからラピュタまでがハヤオ黄金期で、トトロ以降は商業主義に走ったんだと思っている。この転換点に、ハヤオは目的のひとつを達成したんだろう。それはたぶん有名になるとか、成功したいとかそういうことだと思う。手塚治虫へのコンプレックスとかなんかいろいろあったらしいが、ラピュタで商業的に軌道にのったことがデカかったんだろう。

その後はもうひとつの目的であるロリコン趣味を極めることに注力。見事、千と千尋で結実した。あれは非常に業深い映画だ。昔の湯屋で女の子が働くというシチュエーションは、いまでいえば「風呂に沈める」のメタファーだし、千尋の動きだけほかのキャラよりやたら細かいのもとても気持ち悪い。変態ストーカー・カオナシは自分自身だ。しかし、そういう自分の恥ずべき趣味を、完全にパンツを脱いで国民的映画たらしめたハヤオはやはり天才だ。そもそも、すぐれた民話とは、そういうグロテスクな人間の欲望が渦巻いているものだ。「本当は怖いグリム童話」という本がむかし流行ったけど、そういう現代のフォークロアをあらたに創造し、しかも大ヒットさせてアカデミー賞までとり、ディズニーに世界配給させるなんて、あまりにすごい。そんなことを意図的にやれている監督は、世界中どこを探してもまずいない。

しかし、その後がまずかった。成功→ロリコンときて、その次のハングリーがなかった。
適当に外国から原作をもってきてつくったハウルは、心底クソだった。

天才ハヤオは、すでに死んだ。
そして、ゴローがやってきた。

で、デビュー作がコレなんて。
出来すぎているゼ?

「ダ・ヴィンチ・コード」でXserve

2006-05-30 | シネシネアーカイブ
ネットの劇場予約で久々に見た満席表示と、教会が激怒したという過激な宗教的解釈と、原作本のベストセラーっぷりと、荒俣宏が出ていたフジの特番と、いつも以上にフサフサなトム・ハンクスの髪形が気になったので、映画「ダ・ヴィンチ・コード」を観にいった。

指定席に座ると、客席は最前列までいっぱい。しかも、ひと席も間が空いていない。こんな状態は、子どものころお母さんといっしょに観にいった「ドラえもん のび太の宇宙開拓史」以来だ。否が応にも期待に胸はふくらみ、額には汗をかき、鼓動はジャングルビートを紡ぎだす。本編開始前のCMや予告を観ながら、

「あ~、ノドが乾いちまったゼ」。

俺は、前もって買っておいたアイスティー(ミルク付き)に――汗ばんだ手のひらが冷やせるという期待も若干しつつ――そっと手をのばした。

「おろ? なんかこれ、アイスティーっぽく……ねぇ」
「あれ。むしろこれ……ウーロン茶じゃね?

そう。なんと俺は、自分のアイスティーではなく、となりの席の人のウーロン茶に手をつけてしまったのである。ガーン。間接キッス……いやいや、そんなこたぁどーでもいい。うん。もうなんか、これから目の前のスクリーンでめくるめく展開されるであろう「ダ・ヴィンチ・コード」のどんな衝撃的なナゾよりも、ガーン。ガーン。ガーン。…………。

はたと我に返る。いや、むしろショックなのは、俺自身よりも、となりの人なんじゃないのか? という、まことしやかな疑惑が浮上する。横目でそっと様子を見ると……ほっ。となりの人は、反対側の連れっぽい人と話し込んでいた。こりゃぁたぶん気づいていないだろう。謝るのはカンタンだ。しかし、知らぬがホトケともいう。ここはちょっと様子を見よう。

約30分が経過した。映画は最初のツカミの展開がなんとなく終わり、起承転結でいうところの「承」っぽい、いかにもこれから盛り上がっていきそうな雰囲気である。トム・ハンクスの髪形も予想以上にフサフサだ。

しかし俺は、それでも映画に集中できずにいた。となりの人が、一向にウーロン茶を飲まないからだ。

「飲めー。飲ぉ~ めぇぇえええ!(←毒電波)」

――あ。飲んだ! 飲んだよ、オクレ兄さんっ。
しかし、となりの人が飲んだのは、俺との間のそれではなく、反対側の連れっぽい人との間のそれだった。

「気・づ・い・て・い・た・の・か・あ」

いや~、本当にごめんなさい。
心の底から申し訳ない。
今日というこの日、映画館にきてすみません。
そして、となりに座ってすみません。
むしろ、生まれてすみません。

懺悔の言葉はつきないが、結局、私は完璧にタイミングを逃してしまった。あなたに謝ったり、弁償したりという、人としてごくあたりまえのことができなかった。あまつさえあなたは、席に置いていってしかるべきそのウーロン茶を、エンドロールとともにお持ち帰りなされた……カッコイイ。カッコよすぎる。神々しくすらある。

その者、青き衣をまといて銀幕の席に降り立つべし。失われしウーロン茶との絆をむすび、ついに人びとを、青き清浄の地に導かん。

おお、ジーザスよ。マグダラのマリアよ。そして、聖杯よ。
あなたは、そんなところにおわしたのですね。

「ハウルの動く城」でXserve

2004-11-24 | シネシネアーカイブ
「ハウルの動く城」を観た。ふつーに面白いんだけど、え……あれ? これで終わりっすか? という感じで、正直物足りない。というかユルい。ユルユルだ。まるで……そう、ユルい肛門からはユルい糞しか出てこないように……。しかし、ではなぜ、ユルいのか? それは……彼が年をとってしまったからなんだろう。まだ、個人的なロリコン趣味全開にもかかわらず、その数奇な民話性を盾に世間(世界)を最後までだまくらかした「千と千尋の神隠し」の方が、はるかに希少価値が高かった。「老いてますます盛ん」という言葉があり、実際過去に“老齢期の作品の方が有名な水墨画家”などもいる。が、しかし多くの場合、人間老いるとユルくなる。それは、肛門に始まり、しまいにはすべてのアウトプットにまで及んでしまうんだ。残念ながら。

ところで、俺は「老いてますます盛ん」を目指している。さらには、身近で最強のナンパ師である某“舘ひろしにちょい似の男性”に、「君は29歳になったらモテるよ」と2年前に言われ……そしていよいよ……あとちょうど2か月たらずで、その29歳がやってくる……!

「老いてますます盛ん」の、第一歩

……だぜ?

「忍者ハットリくん」「ranKingranQueen」「マロニー」「妹」Xserve

2004-09-28 | シネシネアーカイブ
■「NIN×NIN 忍者ハットリくん THE MOVIE
観た。なんというか、

・マイナーなネタをマイナーなテイストで“あえて”メジャーに出す
ってことが流行っている昨今において、

・マイナーなネタをメジャーなテイストで“当然のように”メジャーに出す
っていうことって、意味性が薄いというか……ああ、やっぱりつまらないなぁ……という感じ。

■「ranKingranQueen」
渋谷駅の「ランキンランキン」で、

・「ふりかけ」ランキングの2位 「納豆ふりかけ」
・同3位 「唐辛子ふりかけ」
・「ゆず」ランキング1位の 「チューブ入りゆずコショウ」

をお買い上げ。たまにしか来ないけど、ここに来ると毎回必ず何か買ってしまう……きっと、最高に気持ちよく衝動買いができるからだろうな。

情報受発信拠点としての駅の潜在的価値に注目し、駅を「メディア」として捉え、膨大な量の情報の中から取捨選択した「話題」の提供と商品販売を結びつけることで、「リアル」と「バーチャル」を融合させた新コンセプトのショップ

東急みたいなオールドエコノミーの代表のような会社に――ホリエモンやらミキティーもクリビー間違いなしの――こんなコンセプトを、考えて実際に形にできる人間がいるということが、すごいよなぁ……とあらためて思った。

■「マロニー」の由来
高校時代から腐れ縁の男5人で渋谷の「しゃぶ禅」でひたすらしゃぶついていると、ある男がこういった――「もっと、マロニーが喰いたい」――数分後、出てきた皿には、通常あるはずのほかの具材は一切なく、マロニーだけが……そう、マロニーだけが……ただ悠然と、鎮座ましましていたんだ……。

あまりにも感動的な光景だったので、写真に収めるだけでは飽き足らず、思わず「マロニー」の由来を調べだす始末。それがまさか……

・まろやかに煮えるから、マロニー
・シベリアの少女「マロンちゃん」にちなんでるから、マロニー

ダブルミーニングだったなんて……。

■「妹」に彼氏ができた
長年付き合った凸○印刷のSEと別れ、○産の営業マンとも速攻で別れてはや数か月。妹に彼氏ができたらしい。2歳年上の中堅SIのSEで、一週間くらい前に合コンで知り合ったとのこと。つーか……もう外泊かよっ。

ああ、俺も、某H谷君みたく、血の繋がってない妹10人と箱根に行きたい……。
(↑これって小さくまとまってなくない?)

「スター・ウォーズ」旧3部作DVD観て親指骨折…!? Xserve

2004-09-24 | シネシネアーカイブ
午後5時……。今日、俺が起きた時間……。いったい、今の今まで生きてきて、何度この後悔という名の苦汁、諦めという名の辛酸を嘗めてきただろう。キダ・タロー

しかし、落ち込んでばかりもいられない。今日というこの日を糧にして、明日という名の壮大なサーガをストーリーテリングしていこうじゃないか。ましてや、今日は待ちに待った「スター・ウォーズ」旧3部作DVDの発売日。amazon.co.jpと書かれたダンボールを豪快にデストロイし、現れたるそのDVD-BOXを見るやいなや――脳内ジョン・ウィリアムズが、例のテーマをフェードインさせるんだ。

♪ジャーン ジャーン ジャーン ジャッジャジャーン ジャッジャジャーン

そして、脳内C3POが手際よくビニールをはぎ取り、我がスーパースターデストロイヤー級のスーパーホームシアターのスーパーDVDプレーヤーに、タトゥーインする。脳内R2D2がピコピコうるさいなぁと思っていたら、あっついお茶をもってきてくれた――。

そんな至福の時間は――まるでおとぼけキャラのヨーダのように――あっという間に過ぎ、今日のところは「帝国の逆襲」まででとりあえず打ち止め。俺の大好きなキャラ、アクバー提督との逢瀬は、次の機会にとっておこう。ウフフフフ……。

――そんなふうに余韻を楽しんでいたときだ。今年高校受験の弟が、真っ青な顔をして俺の部屋に突然入ってきたのは。

「アニキ、ちょっと見てくれよぉぉぉ」
「ん、どした?」

見ると、弟の右手の親指が腫れ上がっている。

「ハンモックから落ちたんだよぉぉぉ」
「……え?」

聞くところによると、今日弟は友だちから使っていないハンモックをもらってきて、それを大喜びで自分の部屋にセッティング……したはずが、派手にすっころんで床に親指を強打した……ということらしい。

「いたいよぉぉぉ。しかも、曲がらないよぉぉぉ。きっと、折れたんだよぉぉぉ」
「救急車呼ぶか?」
「………。本当は折れてなかったらカッコ悪いからいいよぉぉぉ」

――パシャッ――

「なんで写真とるんだよぉぉぉ」
「まぁまぁ、こういうのは記念になるから」

とか言いつつ、心のなかでは「ネタ (σ・∀・)σゲッツ!!」と叫ばずにはいられない。しかし、いい年して泣き叫ぶ弟を、いくら面白いからといって、これ以上おもちゃにもできない。俺は、手際よくインドメタシン入りの軟膏を患部に塗ってやり、ガーゼと――割り箸で作った即席の――添え木を足したあと、包帯でぐるぐる巻きにしてやった。

040924_0115~01.jpg

とりあえず、これで明日の朝まで様子を見ようと思う。もしかしたら、朝イチで病院に連れていくかも……。

「ブルークラッシュ」でゴーイングマイウェイXserve

2004-09-12 | シネシネアーカイブ
サーフィン映画「BLUE CRUSH」を、マイ☆スーパーホームシアターにて鑑賞。ハワイ、オアフ島ノースショア――。オアフ島といえば、相撲で行司があの何ともいえないイントネーションで宣(のたま)う台詞、「ハワイ、オアフ島出身、○○部屋」が頭をかすめるばかりではない。いま、眼前の80インチと7.1チャンネルサラウンドから迫りくるのは、紛れもない――CGその他も一切なしの――パイプ・ラインのビッグウェーブなんだ。

この映画を観ると、サーフィンをやりたくなる――っていうけど、ご多分に漏れず俺もやりたくなった。ビッグウェーブじゃなくてマイクロウェーブとかでもいいから、ライディングしてみたい……あ、マイクロウェーブっつったら電子レンジの電磁波のことじゃん。ライディングどころか、ライデイン状態になっちまうぜ。でも、そもそも土台からして無理な話なんだろうな、俺に……サーフィンなんて。だって、危なそうじゃない?

主人公が3年前にパイプラインのサンゴ礁にドタマをぶつける――という描写があるんだけど、これが痛そうなことこの上ない。痛いのキライ。痛いのコワイ。それに、このブログを読んでいるひとは、サーフィンをやってる俺なんぞ誰も期待していないだろう。期待されていないことは、やらないに限る。

しかし……もしも仮に、俺の趣味がサーフィンだったとしたら……きっと、ブログの更新なんか二の次にしてハマってしまっているに違いない。そう、新しい――青く広大な世界が無限に広がって俺の魂を開放し、すべての世迷い言をデリートし、貧弱な男の見本な自分とおさらばし、お目当てのあの子をついにゲットし、キライなアイツは事故ってクラッシュバンディク……したりするに違いない。

閑話休題。

来週のジャンプ(近所の薬屋で土曜に出るのを弟がたまに買ってくる)の巻末読み切り「ゴーイングマイウェイ進」が面白かった。悪者にさらわれた愛しのあの子を救ってかつ“告る”ため、友だちのミソゴリラと――14142(ひとよひとよに)――瞳五郎、落ち武者と落ち武者2、釈迦とオバケ……などなどと協力するという、最高最低のバカバカしさ。そして……ミソゴリラは魂をすいとられて別次元の存在となり、瞳五郎はサイボーグ化し、落ち武者はタイムスリップし、釈迦は特に何もせず、オバケはお月様になる……最高じゃない? 読み切りって一期一会だし、切り抜いて保存しとこうかな……くらいまで思ってしまった。

というわけで、「ブルークラッシュ」のように「ゴーイングマイウェイ」な人生を歩みたいものです(←どんなオチだよ)。

「華氏911」でXserve

2004-08-31 | シネシネアーカイブ
「華氏911」を観た。某シネコンで観たんだけど――ロードオブザリングとかマトリックスクラスを上映する――いちばんでっかいスクリーンを、こんなポリティカルな一ドキュメンタリー作品が押さえてしまっているという事実に、あらためてびっくり。心ある反ブッシュの若き急先鋒であり、無類のマイケル・ムーア好きでもあるこの俺ですら、思わずサザンの「メリケン情緒は涙のカラー」を鼻ずさみだす始末。・・・Oh No!

劇中、これでもかっ、とばかりに明らかにされていくのは、ブッシュの無能さと、器の小ささ、そして、俗物性ばかりではない――そう、気付くと俺は、いつもの反省モードに突入していたんだ。

「今、自国がテロリストに攻撃されています」と側近から耳うちを受けてからも、自分がいま何をどうすべきなのかが判断できず、ひたすらただボケーッと絵本を眺め続けたブッシュは、確かに筋金入りのバカチンだ。しかし、である。考えてみれば、例えば俺もしょっちゅう似たような無能っぶりを発揮してるんじゃないか・・・? 公私ともに。

結局何が言いたいのかというと、ナニが言いたい。

ブッシュはあなた自身の心の鏡――ブッシュの振り見て、我が身振り直せ。

♪ところでセブンイレブンにはいつもの顔ぶれで
冷凍モノのコロッケしかできねぇボディコンと
ソイツのアソコにひざまづき舐めまくる包茎どもが
深夜テレビのどまんなかにドップリ浸かってる

――なんで、なぜここでいきなり長渕の歌の歌詞を俺は書くのか? 自分でもよくわからない。よくわからないんだけど、日本公開版のエンドクレジットでは、この曲が聴きたかった。

なぜなら、この曲のこのフレーズで表現されている世知辛さと、ブッシュという存在のマズさが、とてもイコールな気がしたんだ。

勝ち組が負け組に強いるのは、いつだって――何かを犠牲にさせてまで隷属させるための――残酷・残忍・ザンギャックな儀式なんだなぁ、と思って・・・軽いめまいに襲われた。

人事じゃない。ヒトゴトじゃないんだ。

ごく日常の、ごくごく身近な身の回りのあらゆるレイヤーで、それは――起こっているんだぜ?

韓国ドラマの次は韓国ホラーらしい。「箪笥」でXserve

2004-08-03 | シネシネアーカイブ
・韓国で330万人を動員!
・スピルバーグが史上最高額でリメイク権を獲得!
・“アジアン・ホラー”の頂点を極めた号泣ホラー!

――みたいな景気のいいキャッチが並ぶわりには、いまいち話題になっていないというか、そもそも上映館が少ない韓国映画「箪笥(たんす)」を観た。

箪笥といえば、俺のマイ☆箪笥はすごい。もう、全面、シール。「ドラえもん」やら「パーマン」やら、「人形劇三国志」やら「太陽の子エステバン」やら、「600こちら情報部」やら「天外魔境」やら、「ミッキーマウス」やら「ニッポンハムのわしもそうおもう博士」やらやら……とにかくそういったシールで、ごはん三杯――Xserveなら10回分くらい――はおかわりできるほどのシールで、あふれ返っている。ここまでくると、もう、どうあっても、捨てられないのら(ドラえもんは昔「なのら」言葉をしゃべっていた……!)。

で、映画の箪笥は、俺のシール箪笥とは比べようもないくらい(あたりまえだけど)、綺麗で美しく、そして、おっかなくて哀しかった。

なんか、もう、ね。ビジュアルがイケてますよ。画(え)が出来てるっつーやつでしょうか。このスチール見て、「あ。」って思ったら、もう観て間違いないね。ちなみに、韓国の公式サイトは、カンヌ広告祭で銀獅子賞をとった会社が作っているらしい。ちょっとたるいけど、良く出来ている。

説明要素は最小限に、しかも――頭のなかで自らピースを合わせないと完成しない――パズルゲームのようなシナリオも良かった。あまりに頭の悪いシナリオだった「呪怨」はもとより、アイデア一発勝負の「リング」、サブカル閉塞感満載の「回路」、セクハラ妖怪“チンポ”が大暗躍する「ゲゲゲの鬼太郎 大海獣」といった、最近の日本のホラー映画をはるかに凌駕していた。

最近の韓国からは、成長のカオスを抜けきって洗練されたものがちょくちょく出てきているような気がしていて、なんというか、勢いみたいなものを感じる。こういう勢いを出せる人たちっていうのは、何らかのジャンルなり概念なりを切り拓く余地がないと出てこないと思うんだけど、韓国はそういう余地がまだまだたくさんあって、それが映画という金と才能が最も集まるジャンルで実を結びはじめていて、なんかそういう状況が「いいなぁ」と。日本って、もうニッチしかないもん。

ちなみに、その前の日に村上龍×宮藤官九朗の「69」も観たけど、いまいちピンとこなかったなぁ。いや、面白かったんだけど。いかんせん、こう、はじけっぷりがね。中途半端。どうせ「ちんぽ吸われてどうのこうの~」みたいなシーケンスをだすなら、ついでに庭手入れ用の青ホースを駆使して、流血くらいさせろよ、みたいな。っあ、今のは俺の個人史入ってましたが。まぁ、俺にとっては、ちんぽといえば、ホースなわけで。なんで、ホースなのか?――詳細は次号で!

「スターシップ・トゥルーパーズ2」でXserve

2004-06-20 | シネシネアーカイブ
ものすごく、金のかかってない映画だ。いわゆる低予算映画であり、スターウォーズやジュラシックパークでアカデミー特殊効果賞を受賞している、特撮&CGのオーセンティックなオーソリティー=フィル・ティペットの初監督作品――

スターシップ・トゥルーパーズ2」。

前作の「スターシップ・トゥルーパーズ」がスキトキメキトキスな俺としては、これは見ないわけにはいかない。当たり前のように、公開初日にこの映画の数少ない上映館のひとつ、銀座シネパトスへと馳せ参じたのだった。

ところで、この銀座シネパトス。初めて行ったんだけど、とてもヘンなとこにありやがる。なんつったって、道路の下にあるンだぜ? 道路をくぐって、反対側にも出れるときたもんだ。そんな地下歩道橋のような場所に、映画館があるというミスマッチの妙。そして、たばこ屋やら定食屋やら飲み屋やら床屋さんやら、果ては大人のおもちゃ屋まである(!)という、昭和のダメ横丁みたいな雰囲気。オマケに、地下鉄が近いのか、映画を見てる最中たまに「ガタンガタンガタン...」と地響きとも嗚咽ともつかないような、心地良いゆらぎを感じることまでできるんだ――。ああ、アタイ…(以下略)。

で、「スターシップ・トゥルーパーズ2」は結局南極どうだったのか?

フツーに面白かった。

低予算映画であることはいい。フィル・ティペットの初監督作品ということも興味をそそる。しかし、前作の監督であるバーホーベンは参加していない。ネット上の前評判もイマイチ。一番の懸念点は、低予算映画であることについての理由だった。フィル・ティペットほどのビッグネームが初監督する作品であるにもかかわらず、なんで低予算なの……? という素朴な疑問。金を集めることができないということはつまり、

・企画がショボイ
・プロデューサーがヘボイ
・そもそも誰もやる気がない
・出資者がみな呪われて変死した
・出資者がゲーム化権が欲しいだけのエレクトロニックアーツのみ
・スタッフの誰かが金庫にあった金をすべて持ち逃げした
・実は借金のカタとして無理矢理作らされた

などなど、想定される原因はいろいろあるんだろうが、要は「フィル・ティペットがバ監督(←バカ監督の略)だからなんじゃないの?」という疑念があったんだ。スペシャリストとしての技能と、ゼネラリストとしてのパフォーマンスって、全然別次元だと思うから……。

でも、映画はフツーに面白かった。このフツーに面白いということに、なんか無意味性を感じた。しかし、作った側の満足度の高さは、(600円もする割にはレコショの無料冊子より薄くてちっこい)パンフレットを見て感じた。

帰り路。

ginzaPICT0167.JPG歩行者天国の銀座通りで、謎の着物族の一派を発見。頭のなかで、悪代官がよくやる例の「あ~れ~」がめくるめく。

この人たちは、一体何だったんろう。次の逢瀬では、シネパトスの地下道に連れ込んで「あ~れ~」を決行し、はす向かいの大人のおもちゃ屋でゲッツした極太電動マトリョーシカをねじ込んで、Xserveと夜のおかずのネタにしてくれるわ! ギコハハハハ……ひ、ひぎぃ~っ……そんなことを、思ったり。思わなかったり。

それでは、またね。

・追記
「世界に先駆け日本で先行公開」とか宣伝してたのに、メリケンでは今年の4月24日にテレビ放送されていた説。
そもそも最初からテレビムービーとして企画されていた説。
シネパトスで俺が観た前の回に喧嘩が勃発し警察沙汰にまで発展していたとの噂。

「スターシップ・トゥルーパーズ」でXserve

2004-06-14 | シネシネアーカイブ
巨大な昆虫型エイリアン(=バグズ)がいる惑星に宇宙艦隊で殴り込み、機動歩兵がマシンガンでひたすらバグズをブチのめして行く。世界は封建的で、人々は特権階級の「市民」と、それ以外の「一般人」の2階層に分かれている。兵役をこなすと誰でも「市民」になれ、市民権を得られる。そして、主人公は惚れた女のために、両親の反対を押し切って軍隊入りする――。

スターシップ・トゥルーパーズ」といえば、「ロボコップ」「トータル・リコール」「氷の微笑」で知られる監督・ポール・バーホーベンが、ガンダムとかの巨大ロボットモノの元ネタにもなったといわれるハインラインの「宇宙の戦士」を原案に制作した、スペクタクル宇宙戦争ラブロマン巨弾。

この素晴らしすぎる映画の公開は、1997年。当時は、フィル・ティペットが何か月もかけてレンダリングした、多種多量なバグズ軍団のCGが話題になった。しかし、それほど大ヒットはせず、世間ではすでに忘れ去られた映画という印象が強い。が、あえてここでXserveしておきたい。それは、この映画が大好きだからだ。

先に挙げたバーホーベンのどの映画と比べても、明らかに出色のデキ。面白い。面白すぎる。ところどころにあるB級テイストをバカにする人がいるが、それは違う。あれは、ワザとアイロニーを込めてああしてるんだ。

フィル・ティペットのバグズもスゴイ。リアルでグロテスクで、質感まで伝わってくる邪悪なその存在感。スターウォーズやジュラシックパークでアカデミー特殊効果賞を受賞しているだけのことはある。

宇宙船がカッコイイ。あの存在感、重量感、操縦感。特に、戦艦が真っ二つになって轟沈するシーンで、中身のいたるところで人が落ちたり火災が起きたりしているディテールは、ソニー・イメージワークスが150枚以上のレイヤーを使って何か月もかけて作りこんだというだけあって圧倒的。タイタニックなんざメじゃ9th(ナインス)。

俳優もヒロインがカワユイし、ビバヒルな人も出てるし。その他もろもろ、もう何もかもが本当に素晴らしいのれす。

この映画のDVDは2バージョン出ていて、通常版と特典付きのコレクターズエディションが出ているのだけれども、2千円近く多めに払ってコレクターズエディションを手に入れて本当に良かった。

まず、未公開シーン。これが、よくある“単なる尺詰めで切られた何気ないシーン”なんてなモンではなく、ストーリーの骨格にもなるヒロインの重要なシーンがここに入っており、なぜ本編で削除されたのか不思議でしょうがない。きっと、やはり尺の問題で削らざるを得なくなって、より戦争描写を濃くするためにこちらを削ったのだと思った。しかし、この謎はもうひとつの特典、バーホーベン監督と脚本のニューマイヤーによる音声解説(オーディオコメンタリー)で明らかになる。

そして、もうひとつの特典。音声解説。これがすごい。

まず、音声解説付きモードに切り替えたとたん、ブエナビスタとその親会社ディズニーから長ったらしいメッセージが表示される。「この解説の内容には、私たちは一切関係ないし、責任も取りません」みたいな意味なんだけど、こんな表示を入れつつもDVD化するって一体……?

内容はもう全編聞きどころなんだけど、特に印象に残った部分を。

・この映画は、アメリカを代表するメディアでも散々の評価だったらしい。タイムも、ワシントンポストも、ローリングストーンも、「ファシズム翼賛的な内容だ」と卑下し、「バーホーベンは特撮がやりたかっただけ」とコキ下ろしたそうだ。しかし、バーホーベンは「彼らもこの映画の真の意図に気づいていたはず」と言い放ち、「60年代の彼らは反政府主義だったのに」「すっかり怖気ずいた犬と化してやがる」「ヤツ等はみ~んな、バッド! バッド! バッド!」みたいな毒を吐く。

・バーホーベン監督は、子供のころにドイツ占領下のオランダで戦争を体験しているらしい。だから、劇中の数々の凄惨な描写も、彼にとっては経験してきた日常に過ぎないのだと。戦災者であるという点、反体制を貫いている点、だけど作るのはいつも娯楽映画という点……バーホーベンは、メリケンの深作欣治!?

・監督の戦争経験談に「ランカスター重爆撃機」という巨大戦闘機の名前が上がっていた。気になったのでググってみると、派生機のプラモを発見。もっとごつい、こう未来少年コナンのギガントみたいなのを連想してたのでちょい残念(そういえば、ソ連に実在した飛べないくらいデカい戦闘機って何だっけ?)。

あ~、面白かった。とても、もう7年も前の映画とは思えない。ブッシュ糞くらえ。

そして、今。プレゼントデイ。巷では、「スターシップ・トゥルーパーズ2」が公開中だったりする。
デイアフタートゥモローなんぞ、観てる場合ではないのダ!

・追記
m@stervisionさん。お願いだから、この映画のレビューを書いてくらさい。

「キューティーハニー」でXserve

2004-06-03 | シネシネアーカイブ
庵野秀明の「キューティーハニー」を観た。すごくつまらなかった。びっくりした。丹波哲朗の「大霊界」みたく、わざわざ死んでみなくても人間はおどろくことができるんだ、ということをあらためて発見した。大発見。

押井守の「イノセンス」もひどいもんだったけど、あれはまだ何かを語りたくさせた。しかし、キューティーハニーは違うんだ。あらゆる言葉を観た人からもぎ取るマイナスの破壊力。そのすさまじさ。オタ映画なのに。オタ映画なのか?

終わったあと、劇場は静まり返っていた。多分、その場にいたみんなの想いは一つだったはずなのに、だ。そのたった1ワードですむ感想のひとことすら誰も漏らさない。言っても意味がないから。デート映画だということで宣伝しているらしく、確かにそれっぽい男女は観たとこの場所柄もあり多かったが、彼ら彼女らの今日の行く末が心配だ。沈黙。沈黙。沈黙。沈黙……(無限ループへ)

考えを捻れば、なんかいろいろ書けそうだけど、でもそれをしたら間違いなくとてもイヤ~な気持ちになりそう(自分自身に起因する部分大)なので、書かない。そこで、印象に残ったことだけメモってみる。

・サトエリはデブ
・サトエリは旬を過ぎている
・ほんとに22歳なの?
・サイゾーの表紙でジャージ着てたときはあんなにカワいかったのに
・でも先週のファミ通の表紙とグラビアは結構良かった
・でも身近にいたら間違いなく惚れると思う
・サトエリが「にょ~~~」と言ってたが、言わされてる感がすごかった
・片桐はいりがペーソスのある怪人像を理解できていない感がすごかった
・ミッチーって最近の因果な映画には欠かせない存在になってしまっている感がすごかった
・「ラブ&ポップ」の方が100倍マシだった気がする
・「式日」は2年くらい前にDVD買ったけど、どうしても観る気がしない
・「エヴァ2」か「ナディア2」でもやった方がよほど有意義なのでは?
・なんで俺はこんなことを書いている翌日に「トップをねらえ!」のDVDを同僚に貸す約束をしているのだろう?
・「トップをねらえ2!」ってどうなんだろう?
・ガイナックスに面接して落ちたUさんは今ごろどうしているだろうか
・きっと今ごろ胸を撫で下ろしているに違いない
・PC98版「サイレントメビウス」「不思議の海のナディア」「トップをねらえ!(タケルで購入)」を処分したいので誰か買ってください

はぁ、印象を書いてただけのはずなのに、なんだかとて~もイヤ~な気持ちになってきやがった。というわけで、おやすみなさい。

カンヌと14歳でクラムジーなXserve

2004-05-25 | シネシネアーカイブ
第57回カンヌ国際映画祭の悲喜こもごも

進ぬアポなし監督ことマイケル・ムーアがブッシュをこき下ろした「華氏911」がまさかのパルムドールを受賞し、押井守の「イノセンス」は当然のごとくシカトされる。相変わらず不協和音と予定調和とシンコペーションがうずまくカンヌの地。

そんな中、一人の少年が最優秀男優賞をゲルゲット。柳楽優弥(やぎら・ゆうや)――その名前から、「あ、そういえば、なぎら健壱ってまだ少年ジャンプ読んでるの?」などと不覚にも思ってしまった人も多いだろう(多くねーよ)。いや、問題は名前ではない。14歳という年齢だ。

――14歳。

・聖武天皇が元服した年齢
・江利チエミやアグネスチャンがデビューした歳
・楳図かずおのマンガ
・エヴァを操縦できる
・りえちゃん14歳

などなど、様々なキーワードが想起される(なんかロクなのねーな)。

そして、極個人的には、俺の弟の年齢なんだ。

片やカンヌで賞を取る俊才。もう一方は勉強もスポーツもモテ度も、その他もろもろのすべてが兄の轍をキレイになぞったかのごとく、まったくうだつの上がらないボロメガネのバカッ小僧。この違いは何なんだ。いや、そんなことわざわざいうまでもなく詮無いことだと分かっているし、当の弟にしたって同じ思いだろう。ハナから、同じ土俵じゃないと思ってやがるンだ。たまたまそこでスポットライトに照らされた、自分よりいい化粧まわしを身に付けた力士を見て、何の感慨があろうか。なんにもありゃしない。

自分と他人との得体の知れない関係性に気づきはじめて悶々とし、三者面談の最中に「西遊記」の再放送が気になってしょうがなく、好きな女の子とたまたま指先が触れ合っただけで耳たぶの根元まで真っ赤になり、バカを正当化する唯一のキーワード「大器晩成」を呪文のように唱えられつづけたあの頃。もう二度と戻りたくないけど、戻ったらきっと「あそこのあの場面で俺はスターになれる」と確信にも似た妄想を禁じえない。ググってみれば、「clumsy age」なんて言葉を提唱している人もいた。

そういうハングリーさなりアンバランスさなりやるせなさが、我が弟にはまったくもって見受けられない。お前も年長さんのころは、ジャンプする前には必ず屈んでいたんだぜ?

で、結局何が言いたいかというと、ナニが言いたい。

俺の部屋からエロDVDを持ち出すのは100歩譲ってよしとしよう。でも、頼むから元あったとこに戻しておいてよ。管理できなくなる。それと、こないだ、アレだ。妹の部屋に置きっぱなしにしやがって。疑われるのは俺なんだぜ? そもそも、と~っても高価な「プラチナ殿堂入り」アーカイブってことが分かっているのか? 俺がお前くらいの歳の時分にこのアーカイブにアクセスできたと仮定して、それはどんなにうらやましいことであるかが、お前に想像できるカ? 表向きにはお前はPS2では「モンスターハンター」ばっかやってることになってるのかも知れない。けど、俺の目は、俺の目は……節穴じゃぁねーんだぜ?

分かったか。こんの、バカッ小僧が!

世界の中心で、愛をさけぶキャシャーンでXserve

2004-05-10 | シネシネアーカイブ
行定勲の「世界の中心で、愛をさけぶ」と紀里谷和明の「CASSHERN(キャシャーン)」を観た。

【世界の中心で、愛をさけぶ ~世界の中心って結局どこなんだろう~】

文字通りの感動巨編。こういうのって、その映画のプロモーションでも「感動しまっせ?」的な説明が必ずつくので、どうしても観る前に身構えちゃうんだけど、いや、ここまでスキが無いとは。もうなんか、感動せざるを得なかった。

なんだけど、でもそういえば一つスキを感じた点があった。主人公がヒロインの名前の漢字を間違えて覚えていたことが明らかなになるシーンがあるんだが、フツー高校生にもなって自分が惚れている、しかもクラスメートの女子(←ああ~イイ響きだ~)の名前の漢字をちゃんと覚えてないなんてことがあり得るのか?(俺なんかジャポニカ学酋長に1日10回は楷書書きしてたヨ?)

しかし、そんなおひおひという点ですら、気づくと必然になっている。おひおひでなくなるサイドストーリーが、頭のなかで勝手に駆け巡りだす。それほど、この映画の世界観は完成している。

世界観といえば、舞台の香川県には小学校から中学校にかけて5年ぱかし住んでいたことがある。その経験から言わしてもらえば、あそこはあんなキレイな空間ではない。田舎特有の強烈な差別意識(、学歴、職業etc...)が、海と山で囲まれた閉鎖的な溜池的平面に抄いようがないくらいに沈殿し底面にこびりついている、非常に生々しい土地柄……そんな空間だ。それを背景として、訛りや方言も結構キツめ。

しかし、このドラマの香川県(の多分丸亀市)はとても幻想的で美しく、しかも主人公たちは訛ってすらいない。

だけど、これがめちゃめちゃ成功しているんだ。考えてみたんだけど、きっと、主人公たちのピュアさを強調させるためのヘタな生々しさって、あえて排除しているんだと思う。監督の好みもあるんだろうが、

「わざわざ映画の中でそんなもん表現しなくても、映画館を一歩でれば、テメーらの世界が十分生々しいんだよ」

といわれているような気がして、ちょっと空寒くなった。

【CASSHERN(キャシャーン) ~新造人間、悪を照らし、世界を拓く~】

これは一言でいうと、反戦芸術だ。ピカソのゲルニカや、ダ・ヴィンチらを生んだルネッサンスの歴史背景などをなんとなく思い出した。要は、オイル怪人ブッシュとバターライオン仮面小泉を、殺す! たたっ殺す! ってことですね。

ビジュアル的にほかの紀里谷作品と比べてみると、宇多田ヒカル「トラベリング」のクリップに一番近いと思った。圧倒的量感・質感のCG、クレイアニメ、セルアニメといろいろな手法を使ってたたみかける映像の紀里谷マジックは、ビデオクリップでも思い知らされた美☆トリップ感覚の延長線上にあった。思わず、カラリオのCMの優香ばりに「どどっどどっどどキ・レ・イ!」と宣(のたま)ってしまったのもいうまでもない。

各所で酷評されているストーリーテリングも、変身ヒーローモノやふしぎ系邦画にちょっとでも免疫があれば、難なく吸収できるレベルだと思うんだけどなぁ。これは、反戦芸術と捉えればなおさら。

ただ、芸術に寄りすぎたことで監督のエゴもいつもより若干塩加減多めで、その結果映画としてのパワーが損なわれているような気はした。

ちなみに、Yahoo!オークションとかやってる人なら、昔なつかしのアニメ版をここで見れます(5月13日まで)。

【これらを同時に観た感想】

両作品にいえるのが、系統はぜんぜん違えど、右傾化と反動化がまったなしに進む最近の日本の情勢についてのアンチテーゼとしての意味合いを強く感じたこと。今後、さらにやばい状況になっていけばいくほど、こういうオモロい映像作品がますます出てくるのは間違いない。嬉しいのと同時に、とても陰々滅々とした気持ちにもなってくる。

そんな、らいおんみどりの日ようび。

・追記
「世界の中心―」を「冬ソナ」製作チームがリメーク
丸亀市じゃなくて、木田郡庵治町ってとこでした地図

・さらに追記
面白かったキャシャーンテキスト。「竹内力が悪役を、哀川翔がキャシャーンを演じた三池崇史バージョン」って、確かに相当観たい。

「スター・ウォーズ」旧3部作DVD発売決定記念Xserve

2004-04-28 | シネシネアーカイブ
20世紀 フォックス ホーム エンターテイメント ジャパン株式会社は、映画「スター・ウォーズ」旧3部作を収録したDVD-BOX「スター・ウォーズ トリロジー」を9月23日に発売する。価格は9,975円。なお、単品版の発売は予定されていない。

やー、待った、待った。アマゾンでは速攻で予約が始まっている。もちろん、速攻で予約しましたよ。「SLUM DUNK」で流川楓からリバウンドをもぎ取る桜木花道ばりの過剰なワンクリックで(2回以上クリックしてはいけません)。

・これって、エピソード1ムーブメントのときに劇場公開されたリメイク版ではないっぽい?(リメイク版は別であと出しして儲ける魂胆?)

・ホームシアターオタとして気になるのが、やはりサラウンド音声フォーマット。現時点では、ドルビーデジタルEXしか発表されていないが、ぜひ、よりビットレートが高いDTS-ESフォーマットも入れてほしいにゃ~。

・思えば、生まれて最初に覚えたアルファベットが「C3PO」「R2D2」だった。これが言えるだけでジェダイの騎士なみのヒーローになれたあの頃に戻りたひ!

・「親指ウォーズ」の再評価がはじまる。間違いない。

・「エクスタシーウォーズ」で抜いたことをネタにするヤツが出てくる。間違いない。

それにしても、である。

アマゾンの「気になるDVDの発売日が決まり次第お知らせします」というふれ込みの、「DVD化 トップリクエスト」機能は使えない。この「スター・ウォーズ」旧3部作を登録してたのに、いまだにお知らせメールが来ない。たしか、キルビルのDVDのときも、アマゾンに商品情報が載ってトップページとかでフィーチャーされてから1日か2日たって「発売日きまったにょ~☆彡」ってなお知らせメールが来てた。

おせええええええええええんだよ、ハゲ!

と言いたい。

ちなみに、他にもこの機能を使って登録している、個人的に大期待な発売未定DVDがほかにもいくつかある。

・「西遊記
西遊記といえば、まちゃあきや夏目雅子が主演で音楽がゴダイゴのあの名作ドラマに決まってる。頼み.comあたりでもたしか上位にきてたはずなのに、未だに発売日未定なのはやはり権利処理が複雑だからなのか!?

・「伊丹十三作品
伊丹十三作品……数多ある伊丹作品を十把一絡(じゅっぱひとからげ)にするこのアバウトさがたまらない。宮本信子を最近見かけないのは、「におわ納豆」を食いすぎてハラをこわしたからなのか!?

・「きょうのできごと
きょうのできごとといえば、桜井よしこに決まってる。でも、俺がかつて好きだったのは桜井幸子なんですよ。さて、桜井幸子で当時の俺は何枚ティッシュを使ったのか!?(←どうでもいい&行定監督ファンの方ごめんなさい)

・追記
旧三部作DVDは特別篇をさらにCG処理した第3のバージョンで、エピソード3のあとにはオリジナル版も入れたBOX(9本)がリリース予定の

「KILL BILL Vol.2」でXserve

2004-04-17 | シネシネアーカイブ
キルビル2」の試写会に行ってきた。

Vol.1を“動”だとすると、Vol.2は“静”。あいかわらず過激な描写を道具として使っているし、血みどろ笑グロアオミドロなイカすナンセンスサウンドトラックなんだけど、根底には副題に「ザ・ラブ・ストーリー」とあるように、いたってまともで普遍的な大文字の「LOVE」が描かれていてびっくり。

タランティーノは、ビデオ屋の変態従業員の延長線上のアリアから軽やかに浮上し、これまでのベースラインを基礎としつつも、また毛色の違うメロディーを奏ではじめたようだ(←うまいこといいますな、拙僧も)。

印象に残ったシーンはたくさんあったけど、ネタバレしちゃうとそれこそ「キル」されそうなのであえて書かないでおこう。

あと、言っときたいのが「スタッフロールの最後までちゃんとミロ!(セガ田三四郎風に)」ということだ。「スタッフロールは読まなくてもいいから終わるまで席を立たないのが違いの分かる男の作法ってなもんだぜ?」とか、そういう話ではない。つまり、なんでか知らないが、スタッフロールが異様に凝っているのだ。喩えるなら、そう、偏執と偏愛と偏屈が融合した「ねるねるねるね」を例の婆さんが口に入れる寸前に横取りしちゃったような、なんかそんな感じだ(例えになってない)。さらにいえば、梶芽衣子ファンならクリビー間違いなし、なのである。

上映時間だが、本編が136分くらいあった。1時間36分だと思ってたので、この進数桁を間違えたのはイタく、ちょっとのっぴきならないキルな状況に、あとで追い込まれたり。

にしても、試写会なんぞにわざわざ来るヤツってのは、基本ろくでもない。ほんのちょっとした何気ないシーンで、「うひ? うひひひ。……ウヒョ?」とかいった、「ボクチン、このシーンの元ネタしってるもんね~♪ ゲフン」的な思わずドスを握り締めたくなる系の笑声を、頼んでもいないのに上げてくれたりするので、首を切り落として墓土を盛ってやりたくなる一幕も。

ゲストのオーレン石井が、

   _,,.-'" ̄ヽ  <  ヤ
  /λ    ヾj  <  ヂ
  i:/  \    | <  マ
  l `   ´ヽ、_ノ <  イ
  |  ‥   |ノ  <  ナ
  i、 {ニ}   ,i   <  ァ
    >ー '",、    ∠  |
  / y'"/ ヽ    VVVVV

と言ってたよ(主に俺の心のなかで)。

今日、30,000個限定生産の割には結構最近まで予約できていたVol.1のDVD-BOXが届いた。週明けにはここぞとばかりにこのBOXに入っている、ブライドが着てたオキナワTシャツ(Lサイズ)を着て、出社しようと思う。そして、出張という名のキャバクラ通いをアメリカで満喫してきて血色がいいであろう上司の肛門に、名刀ハットリ・ハンゾウ(1/10スケールモデル)をブッ刺してやりたい。さらに、小腹が減ってどうしようもないときには、ベアブリック(“マーダー・ブライド”バージョン)をチューイングして、とりあえず唾液を出そう。

思ったのが、復讐するブライドと復讐されるビルという構図が、今まさしくこの現世(うつしよ)で起こっているイラクV.S.アメリカにもあてはまるなぁ、と。

たとえば、こちらで紹介されていたこの記事(一部抜粋)。

私がその小汚い医院にいる間に、米兵に撃たれた女性や子供たちがひっきりなしに運び込まれた。ひとりの女性は首を撃たれ、息をするたびに妙な音をたて、苦しそうにもがいていた。

 同じく首を撃たれた小さな子供は、医者が必死で命を救おうとする間も、うつろな目を空に向けて、口から何かを吐き続けた。30分たったころ、医者は二人の命をあきらめざるをえなかった。

 夜になると、私たちは地元民の家に泊まった。そこの家主は、自分がここ数日間に撮影したビデオを見せてくれた。次々に出てくる、血まみれになって殺されたファルージャ市民たちの映像・・・中でもひどかったのは、お乳を吸っていた赤ちゃんが、母親の胸から引き剥がされ、海兵隊員によって、無惨に殺されてしまった姿だった。。


――実際に起こっている出来事は、常に己の想像を上回っているかもしれないと思うと、目眩にも似た自己の存在意義の揺らぎを感じる。

このタイミングで殺し(=破壊)と愛(=創造)という相反する要素を観客に突きつける「キルビル2」は、破壊神であり創造神でもあるヒンドゥー教のシヴァ神のような存在を想起させる。結果、期せずして同時多発的な時代背景を吸収するという名画の条件をクリアーした、示唆深い内容足りえている。

何としても劇場興行期間中にチェックすべき作品であると、本ブログでXserveしておきたい。

・追記
タランティーノ監督、「キルビル」3作目を計画」しつつ、「キルビル・ゼロ」を企画中の噂。