もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

対極超音速兵器の開発

2022年01月08日 | 軍事

 日米の安全保障協議委員会(2+2)で、対極超音速兵器の共同開発が合意された。

 既に米軍は、対極超音速兵器としてレールガンの実験段階にあるために、日本としては手始めに同開発計画に参入することになるのだろうが、実現させてほしいものである。
 レールガン研究参加が報じられるや否や、敵基地攻撃能力云々の意見が飛び交っているが、考えてほしいことがある。
 大東亜戦争末期における米軍の本土空襲においては、防空戦闘機が上昇できず・高射砲も届かない高空から投弾するB29爆撃機に対して撃墜手段を持たない日本は、隣組を動員しての「火叩き消火」「バケツリレー消火」訓練と「竹槍訓練」しかできなかったために、100万人に近い市民が死傷するとともに家財・生業の全てを失った人も多い。閑話休題
 ここに、ある程度好調な会社があるが、A部局は前時代の装備しか与えられていないために業務に忙殺され、誤りも多い。社長は新装備導入によってA部の近代化を図りたいが、B部局が会社の資産を使用することに反対でA部局員の苦闘にも冷ややかである。社長は問う。「なぜA部の近代化に反対ですか」、B部員は答える、「Aに金を掛ければ昇給が少なくなる。Aだけ頑張れば会社は生き残れる。Aが近代化すれば他の会社に脅威を与える」からと。

 大東亜戦争時の本土防空能力が低かった要因は数多いと思うが、最大のものは「戦争は外で行うもので、そのための正面装備にしか手が回らなかった」ことであると思う。この点ではアメリカも同様で、真珠港攻撃やイ号潜水艦艦載機の本土爆撃を受けて漸くに本土防空に着手している。また、山本提督もドーリットル隊の本土爆撃によってミッドウエー作戦の強行を余儀なくされている。
 現在の日本では、経済・技術の面ではそこそこの存在であるが、「他国から攻撃されることはない」との前提で外交・防衛が語られる。
 レールガン研究に異論を唱える人々の主張は、自衛隊員に竹槍だけ与えて恐竜に対処させるもので、退嬰的なB部局員の主張であるように思える。
 岸防衛相は「あらゆる選択肢を排除せず、防衛力を速やかに・抜本的に強化する」とも発言している。明日の日本に「新自由主義を排除した富裕拡大」しか求めない一団に対して、国家が存続して初めて諸施策が語られ、何より「命あっての物種」と個人も説いていることを思い起こして頂きたいとねがうところである。


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