もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

イージス護衛艦3,950億円

2023年08月13日 | 防衛

 イージス艦の建造費が1艦当たり3,950億円であると報じられた。

 秋田県のイージスアショア配備反対に対して防衛大臣の河野太郎氏が、ほぼ独断でアショア配備計画を白紙撤回したことによって浮上したイージス艦2隻新造での代替処置である。
 建造費は2隻で8,000億円となる勘定であるが、間接費用を加えると初度経費だけでも1兆円は下らず、艦齢30年までのライフサイクルコストも同程度が必要と観れば、総額で2兆円近い事業と見るべきであろうと思っている。
 イージス艦とイージスアショアを比較すれば、抗堪性(発射母体の生き残り度)に関してはホボ同じであると思うが、可動率に関しては概ね100%が期待できる陸上施設に比べて艦艇には検査修理で非可動とならざるを得ない期間が必要とされることから陸上施設には及ばないように思う。また、即応性に関してもリアルタイムの応射が可能な陸上施設に比べて艦艇は射撃可能な場所までに進出・移動しなければならないことを考えると、素人観ながら総合的なミサイル防御能力はイージスアショアの方が僅かに(若しくは断然に)上回るのではないかと思う。
 2019年時点におけるイージスアショアの装備には、導入経費で1基1,202億円(2基2,404億円)、ライフサイクルコスト4,389億円(2基・30年運用)とされていたが、お役所の事前発表(計画)が過少であるという常識を当て嵌めても1兆円内外では無いだろうか。
 秋田県のイージスアショア配備反対の主な主張は、「ブースタロケットの残骸が私有地に落下する可能性」であったと記憶しているが、想像力豊かな杞憂を防ぐために能力が劣る物を倍の経費をかけて整備することには釈然としない感が残る。 

 北朝鮮のICBM発射が疑われた際には、原発がある自治体からは挙ってPAC3の急派が求められたが、そこには、制御を失ったパトリオットミサイルの墜落、断薬駐滞における不測事態などの杞憂は無かったのではないだろうか。
 地域住民の反対によって、ゴミ焼却場・火葬場の建設計画頓挫、公園の廃止、児童養護施設の計画変更・・・が報じられる。「総論賛成・各論反対」が世の習いとは言え、地域エゴは各地に猖獗・猛威をふるっている思いがする「・・・況や秋田県においておや」


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