もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

国連専門機関の事務局長と中国

2020年03月10日 | 中国

 国連の専門機関である「世界知的所有権機関(WIPO)」の事務局長選で中国が破れたことが報じられた。

 15ある国連専門機関のうち、既に中国は4機関(国連食糧農業機関(FAO)、国際民間航空機関(ICAO)、国際電気通信連合(ITU)、国連工業開発機関(UNIDO))で事務局長を出していることを知ったが、自分のような素人でも中国の知的財産権侵害を知っているが、それを監視・調整する機関のトップに候補者を臆面もなく擁立していた中国の鉄面皮ぶりには驚きである。中国の知的財産権侵害については進出企業に対する技術移転強要、諸外国での産業スパイ摘発、キャラクターの丸パクリ、松阪牛・丸亀うどんまで意匠登録、等々が報じられているが、最新鋭国産戦闘機J16の核心部はロシアのスホイ35とアメリカのF35のコピーであることは周知のことであり、アメリカが空母の電磁カタパルト採用を見送ったら旬日のうちに中国も電磁カタパルトの採用を見送ったように西側の新鋭技術や技術開発の進捗状況はリアルタイムに取得(盗用)できる体制にある。WIPO事務局長に中国人が就くことをアメリカの首脳や主要メディアは一様に「銀行強盗が頭取になるようなもの」と悪し様に表現しているが、言い得て妙であると思う。中国がトップを務める国際電気通信連合(ITU)では中国主導の「一帯一路構想」への協力を推進するとともにファーウェイ社を援護する発言も多いとされ、国際民間航空機関(ICAO)では中国政府の意向で台湾が総会に参加できなくなったともされている。また、世界保健機関のテドロス事務局長(エチオピア)が極めて中国寄りの発言に終始するとともに台湾の総会参加に難色を示し、新型肺炎の蔓延に手を貸しているともされている。国連専門機関トップに中国出身者を送り込む手順は、投票権を持つ途上国に多額の援助を約束して集票につなげるもので、WHOについてもエチオピアに多額の援助がなされている。また、これらの機関では中国人スタッフが急増し、全体的に中国寄りの雰囲気になっているとされているのも気懸りである。過去にも、韓国の潘基文氏が国連事務総長であった頃には、韓国人スタッフが急増して親韓雰囲気を醸成し慰安婦問題を国連の場に持ち込み得たともされている。

 中国がWHOに2億ドルの寄付を申し出ていることも併せて報じられた。現在、国連は本部や専門機関で各国分担金の延滞や支払い拒否が相次いで全体的に資金不足に陥っているとされているが、その中で2億ドルの拠出は将に干天の慈雨であろう。アメリカ政府高官が「武漢ウィルス」と表現しようとも、一応の権威を持つWHOが「中国はウィルスの封じ込めに貢献。憂うべきは韓国・イタリア・イラン・日本の対応。」と矛先を転じてくれたことへの謝礼と思えば納得できる。職員にとっても給料を肩代わりしてくれた中国に阿ることは必定で、中国にとっては安い出費であろう。ともあれ、中国が国際世論と国連専門機関の決議を自国有利に導くためのトップ獲得志向は今後とも継続されるものと思われる。ユネスコの改革がとん挫しているのも中国の思惑通りであるのかも知れない。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿