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リュウ庵

尼崎市住む猫大好き人間。
駄文を書くのも好きです。

心とろかすような

2022-12-09 13:46:21 | 読書

12月7日(水)8時40分に起きる。寒く、薄曇りで太陽の光は弱い。起き掛けに見た部

屋の温度計は、10.2度をさしており一番寒い朝のようだ。

こんな寒い夜は暖かい豚汁にしよう。昼前、買い出しに行き豚バラ肉、大根、ゴボウ、油揚

げを仕入れる。買い溜めの人参、里芋を加えて・・・レシピ参考に具たくさんの豚汁が出来

上がった。

最近、「なんか違うなあ」と首をかしげることが多くなった。今夜の豚汁もそうだ。

レシピ通りに作ったはずなのに、味に「コク」が無いというか、ぴんと舌に響く心

地よい刺激が感じがしないのだ。どうしてだろう。

現役を退いて、本格的な外食と縁が薄くなって10数年、味覚もボケてきたのだろう

か。年を重ねるにしたがって、味の好みも変わってきたのだろうか。

最近「これは旨いなあ!」と納得できる料理がほとんどないのは、悲しいことだ。

 

仏さんの花が枯れてきたので、新しくする。薄いピンクのストック、黄色と赤のガー

ベラ、ピンクのカーネーション、青いスターチスなど、投げ入れで花瓶に活ける。

 

8日(木)9時15分に起きる。寒い朝、布団から出るのがだんだん勇気がいるようになっ

た。

読書の愉しみは、物語の世界にはまり込んで、笑いや涙、スリル、時代風景などを味わ

うことだが、新しい作家に出会い、新鮮な感動を体験することも、また楽しい。

小川糸さんの「ツバキ文具店」(幻冬舎文庫)を読みふけった。意表を突く内容と展開、

全編に漂うユーモア、登場人物に優しく包まれる、心とろかすような気分にさせる楽し

い名作。(宮部みゆきさんの小説タイトル「心とろかすような」を借用、感謝)

 

文具店を営むかたわら手紙の代書屋を請け負う20代の女性、名前は鳩子だからポッポ

と呼ばれている。その友人たちもバーバラ婦人、無骨だけど心優しい男爵、水玉模様の

服を着ているマダムカルピス、キュウピーそっくりだからQPちゃん(5歳)、名前は

ハンコ(帆子)で先生(ティーチャー)からハンティーだったが、パンを焼くのが好き

だからいつの間にかパンティーになったなど、愉快なニックネームで呼び合っている。

代筆を請け負う手紙は、友人への絶縁状、借金のお断り、天国からの手紙など風変わりな

ものが多い。ポッポは依頼者の心に寄り添って書くうち、自分の生きざまや仲たがいした

まま逝った祖母への想いに気付いていく。小説の舞台となっている鎌倉の四季、お寺や街

の雰囲気も色を添える。

「弔意の言葉は普段より薄い色の墨でしたためるのは、悲しみのあまり硯に涙が落ちて薄

まったため、という意味合いがある」とも、教えられた。

続編の「キラキラ共和国」(幻冬舎文庫)もアマゾンに注文、間もなく届く。 

 

   文中には「借金お断り」など、代筆手紙が添えられている