政治家天国ニッポン

ワールドカップ・ドイツ大会に向けて、サッカー日本代表の国内最終合宿が福島・Ｊビレッジで行われている。ベスト・コンディションで試合に臨むべく、選手達が汗を流している訳だが、其処を１９人の国会議員達が”乱入”という記事が載っていた。

当初は東京で国会議員によるサッカーの試合が予定されていたのだが、「今福島に行けば、ジーコに会える。」という事で、急遽Ｊビレッジに会場変更したとの事。余りにも突然なグラウンド使用の申し入れに、同施設の関係者は憤慨しているという事だが、それだけに止まらず、「ジーコに会えないのか？」、「選手から指導して貰えないのか？」といったリクエストが当該議員達の間から挙がっているというのだから、物見遊山としか思えない迷惑な連中だ。恐らく与野党のサッカー好きな議員達がメンバーなのだろうが、国会では問題が山積しているというのに、この能天気さは何とかならないものか。

「”永田町歌劇団”結成」というニュースが報じられていたのも最近の事。宝塚歌劇団出身者を講師として自民党本部に招き、所謂”小泉チルドレン”を中心とした同党女性議員７人と一般参加者２８人が、ダンスのレッスンを受けた。「女性議員と参加者との触れ合い。」や「歌＆ダンスを通じて健康増進を図る。」というのが目的で、７月には自民党のホールで発表会が行われるそうだ。若い女性支持者を獲得するという下心が在る様だが、今問題となっている共謀罪等、国会で審議されている事柄を理解した上で、こういった御遊びをやっているのだろうか？よもやとは思うが、内容も満足に理解していない諸法案を、何でもかんでも賛成として通しているとしたら・・・これは非常に怖い話で在る。

ロックバンドを組み、「安倍晋三氏を次の首相に！」と飛び跳ねながらシャウトしていたパフォーマンス議員も居たが、それよりも先ず先に遣る事が山積みされていないのか？と聞きたい。

本当に不思議なのが、血税から多額の報酬を食んでいる政治家達のアホ馬鹿加減に、どうしてこれ程迄に我が国の国民は寛容なのだろうか？一般人が為した些細な過ちですら、やれ自己責任だと糾弾する国民性が、こと対象が政治家になると非常に甘い判断基準になってしまうのは何故なのだろうか？

昨年の衆議院議員総選挙で多くの新人議員が当選した事に、「政治というのもが身近に感じられる様になった。」、「一人前の政治家として育って行こうとしている若い芽を、マスメディアを始めとした保守派が摘み取ろうとしているのは許せない！」といった好意的な意見を寄せる人々が少なくない。確かに、政治というものに関心を寄せる国民が増えた事はよい事だとは思うが、「身近に感じられる政治家が多くなった。＝政治が良くなる。」という事に直結する訳では無い。

皆さんが会社勤めをしている人間だと想定しよう。その会社（国）は莫大な負債を抱え、明日にでも倒産しそうな状況に在る。社長（首相）は「多くの社員（国民）を路頭に迷わせる訳にはいかないので、会社の建て直しを図りたい。ついては、全社員に等しく厳しい要求（リストラや増税）を求める事になるが、明るい未来の為に我慢して欲しい。」と主張。多くの社員がリストラされ、残った社員も大幅な減給が為される。

ところが、減給された社員達が馬車馬の如く働かされている一方で、社長の御気に入りの一部の社員達（国会議員）だけは、他の社員達の減給分（血税）を上乗せされて今迄以上の高給を貰っていた。それも勤務時間中（会期中）に「自身の誕生パーティー（集金パーティー）の開催」や「組合活動（選挙応援）のみに奔走」、「おねえちゃんのナンパや社費を使ってのカルチャーセンター通い」等を仕事も全くする事無く続けていた。

そんな状況でも、「あいつはやんちゃな奴だから仕方ないなあ。」と貴方は笑って黙認していられるだろうか？その結果、会社が倒産して自らも路頭に迷う事になるのに、そんなアホ馬鹿な一部の社員愚考を「温かい目で見守ってやろう。」と思えるだろうか？

政治が近い存在になった事と、アホ馬鹿な政治家の大量生産を許す事を同一視してはならないと思う。与野党を問わずアホ馬鹿な政治家の大量生産は、とてつもない”ツケ”を国民に負わせるもので在り、そのツケを最も負わせられるのは、これから先が在る若い人達なのだ。