井川駅を14時50分に発車する列車に乗りました。御覧のようにホームが左にカーブしているので、後続の客車は2両目までしか見えませんでした。出発直前になってにわかに10人ほどの乗客が後ろの客車へ乗り込んでいました。
私が乗った客車の出入口横の行先表示です。千頭駅と井川駅を往復する列車であることを示しています。大井川鉄道井川線の列車は通常はこの区間で運行されていますので、災害などで不通区間が発生しない限り、この行先表示のままであるわけです。
私が乗ったのは機関車が直接牽引している一両目の客車で、席も一番前でした。御覧のように三方が窓になっていますので、機関車の様子はもちろん、三方向の景色が見渡せます。
客車内の出入口脇にある、車掌さんの立ち位置スペースです。車内放送用の機器があり、壁に折り畳み式のシートが設けられますが、殆ど使われていないようです。ハンドル状のものは緊急時のブレーキだそうです。
客車内部を見ました。後続の客車内も見通せるのが、普通の旅客列車と違う所で新鮮です。この一両目に乗ったのは、私の他には、井川駅の待合室で雑談を交わした登山客の方のみでした。なんとなく雑談の続きをすることになり、その流れで向こうも私と同じ一番前の反対側の座席に座ったので、それから千頭駅までの二時間近くの間、色んなお話をうかがいまして楽しく過ごせました。
14時50分、進行方向の信号が青に転じ、機関車が発車合図の警笛を短く鳴らして動き始めました。
後ろを見ると、後続の客車が全て見えました。ホームはその先にずっと続いているので、かなり長いホームであるようです。分岐や留置線も見えるので、列車の待機線も複数あるようです。
井川ダムが見えました。
関の沢橋梁を渡りました。行きと同じように帰りも案内のアナウンスが流れるので、各所の観光スポットを見落とさずに楽しめました。
15時18分、尾盛駅を出ました。車内アナウンスでこの駅の概要を紹介していました。かつて現地にはダム建設関係者のための居住区があって多数の宿舎や小学校があり、医師も常駐していたため、駅が設けられたそうです。ダム完成後は住民が居なくなり、現在は駅周辺に民家は全く無いそうです。しかも、駅に通じる公道も全くないため、駅へは鉄道でしか行けず、秘境駅の一つに数えられるそうです。
15時26分、接岨峡温泉駅に着きました。ここで10人ほどが降りました。周辺には温泉民宿も幾つかあるので泊まる人も多く、また近くの長島公園の駐車場に車を停めている観光客も多いのだ、と井川駅から同道している登山客の方が教えてくれました。先方も以前に南アルプスへの登山時にここ接岨峡温泉の宿を利用したことがあるそうです。井川にも宿はあるけれど、こちらのほうが温泉付きだからね、と笑っていました。 (続く)