気分はガルパン、、ゆるキャン△

「パンツァー・リート」の次は「SHINY DAYS」や「ふゆびより」を聴いて元気を貰います

ガルパンの聖地 ・ 大洗を行く37 その3 「継続高校ウイスコ型舟艇です!!」

2022年01月10日 | 大洗巡礼記

 大洗の町営駐車場から商店街を歩きました。今回の大洗においては、優れたガルパンモデラーの一人としても知られるHさんの寄贈作品を拝見するのが主な目的の一つでした。あらかじめ、Hさんにどこの店にどんな作品を寄贈したのかを教えていただきましたが、そのなかで最も興味があったのが、上図の日野屋石油店に寄贈したという、継続高校チームのウイスコ型上陸用舟艇のジオラマ作品でした。
 そこで、Hさんを先頭に、いつしか雪がパラつき始めて小雨になりつつあった中を日野屋石油店に向かいました。

 

 件の作品は、お店の入り口を入って右側の展示コーナーのテーブルの上に置かれてありました。予想していたよりも大きなジオラマ作品でした。
 劇場版にて、カール小隊との対決を勝利に導いて自らも刺し違えて白旗離脱、そのまま自チームのウイスコ型上陸用舟艇に搭乗車BT-42を積み込んで、その後の試合の経緯をテレビで観戦しつつ、川から海へ出て帰路についたミカたち三人組の姿です。操舵室の上に劇中では描かれなかった旗が、実際のフィンランド海軍旗のパロディで加えてありました。

 

 この作品に関しては、拝見する前からネット上の画像などで見て、Hさんにも概要を説明されていました。それによると、元ネタのフィンランド海軍のウイスコ型上陸用舟艇は、実際にはもっと小さく、戦車は載せられない、ということでした。調べてみるとその通りで、貨物および兵員の搭載スペースに載せられるのは2.5トンまでで、15トンもあるBT-42は無理なのです。

 しかしガルパンでは、しっかりBT-42を載せて余裕で悠々と水上を移動しています。アニメによくある独自設定で、外見上はウイスコ型上陸用舟艇と同じ戦車積載用の大型舟艇を継続高校チームが保有している、という事なのでしょう。殆どスクラッチだったか、1/35スケールの他の舟艇のキットを使ったものだったか、Hさんにベースキットの詳細を聞き忘れましたが、とにかく劇中の舟艇に合わせて設計し、BT-42が収まるように作った、ということでした。

 私はもともと旧日本海軍メインの艦船モデラーであったのですが、上陸用舟艇という種類のキットは一度も経験したことがありません。旧日本海軍には正式な上陸用舟艇がしまいまで無く、陸軍の大発や戦訓改造の内火艇を上陸作戦に使用し、太平洋戦争の後半期になってやっと専門の揚陸艦を配備しますが、それでも専用の舟艇は設計せずに大発や内火艇で済ませていた歴史があったからです。しかもスケールが1/700の世界でしたから、舟艇があったとしても豆粒ほどの大きさにとどまります。

 なので、上陸用舟艇のキットそのものに物凄く興味があって、それをガルパン仕様で1/35スケールに作った場合はどうなるのだろう、とずっと思っていました。それへの答えを、今回見せていただいたわけです。

 

 店主さんに撮影許可をいただきましたが、最初はHさんに許可を、とか何とか仰られていました。作品の保護ケースをHさんに外して貰い、さらに上図のように舟艇の操舵室の屋根も外して貰いました。そうやって中のミッコが見られるようにしてあるので、普段でも時々外して巡礼者に見せているそうです。

 

 アニメでは、こういうアングルや操舵室の内部空間を描写したシーンはありません。なのでこの範囲はHさんのイメージでそれらしく作り込まれています。ガルパンに関しては常に緻密な考証を示されるHさんのことですから、実際のフィンランド海軍のウイスコ型上陸用舟艇の資料なども色々参考にしたことと思われます。

 御覧のように、漁船の操舵室とは明らかに違った装備品の雰囲気、軍用の小型舟艇ならばでの無駄のないスペース配分、などがリアルに感じられて大変に見応えがありました。私自身も以前に知波単学園の特二式内火艇のインテリアを再現製作した際に、似たような事を感じながら作りましたので、この作品の「凄味」がよく理解出来ました。

 

 継続高校チームのウイスコ型上陸用舟艇の背面部です。このあたりもHさんなりのイメージでそれらしく仕上げてあるようです。フェアリー企画から発売されているウイスコ型上陸用舟艇の1/144スケールのガレージキットの完成見本品の画像を見た記憶がありますが、基本的な形状は大体同じであったと思います。これに加えて救命具、チェーン、金具などを加えてリアルに仕上げてあります。窓枠の防水ゴムパッキンまで再現してあるところは、1/35スケールならばでの再現工作の醍醐味です。

 

 劇中シーンと同じく、ミカがBT-42の砲塔上に腰かけてカンテレを弾き、アキが試合の成り行きを舟艇の先端に据えた赤いテレビモニターで観ています。フィギュアそのものはプラッツから発売されている「劇場版 継続高校 フィギュアセット」および「劇場版 継続高校 フィギュアセット 制服バージョン」を使用しているようですが、ポーズは劇中のそれに合わせて改造してあります。

 

 ミカとアキの間、BT-42の右側面に据えられたテレビアンテナも見応えあるものでした。劇中シーンではあまり目立たなくて黒い線程度にしか見えませんが、こうした立体の作品でみると、いかにもテレビアンテナだという実物感が発散されていて説得力を伴います。こういうふうに作るあたりに、Hさんの「再現力」の凄さが表れています。

 

 御覧のように、モニター画面までちゃんと再現してある点には、梅原屋のNさんの激しいほどの作り込み精神にも共通するものを感じてしまいますが、要はHさんもNさんと同レベルの辣腕モデラーであるわけです。そのことは、以前にHさんの作品に関してNさん自身も「自分と相通じるものを感じます」と述べていましたから、間違いなくそう思います。

 

 BT-42自体もきちんと劇中シーンに合わせて細部まで作り込まれています。劇中では、履帯が外れて装輪走行での追撃戦をしばらく展開したのち、パーシングの最後の1輌の砲撃で片輪を吹っ飛ばされつつも、もう一方の車輪で片輪走行して刺し違え、地面にめり込みながら静止して白旗を挙げます。その際のフェンダー辺りのダメージ痕をエッチングパーツで再現し、地面にめり込んだ際の泥汚れもちゃんと施してあります。お見事です。

 しかし、Hさんなりの独自の考え方も付加されたものか、BT-42の車体塗装が劇中のマダラにはなっておらず、ライトグレー一色のみでシンプルにまとめてありました。色彩表現的にはそのほうが、ダメージ痕や泥汚れを明確にアピール出来ると思うので、Hさんもそうしたのだろうと思いますが・・・。

 

 再び全容を撮りました。フネが好きな元艦船モデラーの私としては、こういうフネの再現ジオラマ作品と言うのは心躍る楽しい芸術品に等しい、と思います。
 水面の表現も、川の静かな凪のかたちを最低限の加工痕でさりげなく作ってあって、よくみると船尾からの穏やかな航跡波もきちんと表してあります。箱型の船首からの独特の僅かなウェーキまでは作られていませんでしたが、それでも筏のごとくの微速前進、時には水流に乗っての漂流感、というものがよく示されています。

 

 これがHさんの繊細で情熱的で意味のある模型道なんだよ、ポロロローーン・・・とか何とかミカが呟いていそうです。

 

 細部に至るまで愛情が詰め込まれた、真摯な鑑賞に堪えうる素晴らしい作品でした。梅原屋のN氏の作品が東の横綱とすれば、こちらが西の横綱に相当します。日野屋石油店に寄贈されている数多くの継続高校関連作品のなかで最も優れた白眉の存在です。大洗巡礼にてガルパン模型を見物する方には、必見のジオラマ作品です。

 

 同じ店内にあった、戦車のペリスコープの実物の部品です。これもファンからの寄贈品であるようです。どこでこういう代物を買ってくるのでしょうか・・・。戦車の部品の処分セールでもあるのでしょうか・・・。  (続く)

 

コメント (2)
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