ザ・うなぎ

土用の丑の日は過ぎたが、今日うなぎをみんなで食べた。

格安で冷凍の蒲焼きを仕入れたからである。

うなぎは大半のメンバーが好物としている。

特に食いしん坊のトムやパトリシアなど、うなぎと言う単語が出ただけで目つきがとろんとするくらいだ。

今年の丑の日は26日だったが、順延して29日に決行した。

丑の日をずらしメンバーをじらした。

結果、待ち遠しさに心が騒ぎ、自然会話はうなぎの話題に。

待つこと待っていよいよ本番。

ブランド名は「渓流うなぎ」
かっこいいじゃん！
どうせ中国の渓流だろうが、どこの国でもかまやしない。
なんつったってうなぎはうなぎ。ザ・うなぎだ。

昨日から解凍し、さて、炙ろうか、レンジして温めようかレイチェル氏と話し合う。
レイチェル氏の自宅では、酒をかけて蒸し焼きにすると言う。

私は賛成し、錦糸卵を作り、みそ汁や浅漬けも準備する。

出来上がりはこんな具合。
ぶりっとした肉厚で油が乗っている。
しかも柔らかくジューシー。

むろんメンバーは大満足。
やっぱりスタミナつくよねうなぎって！

小学二年の頃、うなぎを売って小遣いを貯めたことがある。
漁師をしていた父が網にかかったうなぎを私にくれたのだ。

「マンスリー屋に売りに行ってお前の稼ぎにしろ」と。

マンスリー屋はうなぎを扱う専門店。
父がくれた天然のうなぎ を網に入れ、マンスリー屋まで走り、途中ぐったりしたうなぎに無人スタンドの水道水をかけ蘇えらせる。

うなぎは再度にょろにょろ動く。

へびは嫌いな私だが、金目のうなぎのその様はかわいく見えた。

あの頃、猫の貯金箱が一杯になるほど稼いだんだよ。八歳の夏休み。

猛暑酷暑参暑

あんなにじめついてうんざりした梅雨が、遠い昔の 出来事に感じるほど毎日が猛暑、酷暑、そして私流に言うと参暑の日々が続く。

参ったね、この暑さつう感じ。

なにせ連日33度を越える暑さなのだから。
37～38度つう馬鹿げた温度の市町村もある。

子どもの頃、夏休みの日誌で天気や温度を書く欄があった。

夏休みの暑さは厳しくて当たり前。しかし、暑いと言っても限度があった。
30度を越す日はまれだった気がする。

それがどうです？
35度前後がざらとなった ここ数年の夏。
今月すでに千人近い人が熱中症で運ばれた。

いずれ「今日は涼しいですな、39度しかないですから」
近未来夏、40度以上が当たり前になり、こんな会話が聞かれる日が来るのかもしれない。

過去に冷夏の年もあった。

印象的だったものだけ上げれば80年、会社の同僚たちと夏にキャンプに行った。若狭の海で泳ぎ浜辺でバーベキューをしたが、水は冷たく、上がった時には唇が青くなったほどだった。

あと93年にも。
雨続きで米も不作。外米が流通した年である。

私は夏に生まれたせいか、昔から暑いのは平気だった。
でも、だんだん体力がなくなり、暑いのはかなりこたえる。

早く秋にならないかなあ。

デンゼル一人旅

今日は息子のデンゼルが京都へ一人で旅した日。

二ヶ月ほど前から密かに計画していたようだが、直前まで本当に行く気なのか半信半疑だった。

慎重な子だけど、意外に気楽な雰囲気で出かけて行った。

早朝、新幹線の駅まで送り、そのまま駅近くの駐車場に車を入れて、彼が帰るまで私は一日ぶらぶらしていた。

暑いし、面倒なので送迎に往復したくなかったのである。

まず、時折寄るひなびた喫茶店でモーニング。
ここはコーヒーはもとよりサラダも美味しく、卵がボイルドでなく、しょうゆのかかったレンジ目玉焼きになっている。
これがいつも絶妙な半熟度でたまらなくうまいんだ。パンにもジャムが添えられ嬉しい気遣い。私おすすめ「汚なミシュラン」って感じ。

その後、大手書店やＣＤショップ、雑貨屋をぶらつき、昼は回転ずし。いきなり450円のひらめを取ってしまい焦った焦った。しばらく街並みを散策し、涼を求めスタバに。書店で買った小説を持ち込み長居をする。スタバでのんびり読書するのって、結構憧れてたんです。アッサムティーを頼み、コーヒーを追加、マカロン食べてカフェタイム。あ～優雅優雅。

４時。アマチュアバンドのライブを公園で聴き、 デパートの惣菜売り場をぶらつく。

するとまた小腹がすき、地下の老舗のタコ焼き屋に寄り迷いに迷ったが我慢できず注文。喫食コーナーで3つ食べる。3つから買えるこのお店。ほんと良心的だよ。


スイーツ売り場をぶらつき、5時30分、息子を駅に出迎え。
お土産の八ツ橋を下げて嬉しそうに帰ってきた。
一回り成長した感じ。

夕食は老舗のとんかつ屋 へ。がっつりみそヒレカツ定食注文。デンゼルは４切れ 私は2切れ。
ここのカツ、ありえないほど厚いのに柔らかいんです。叫びたいほどうまいんだよ。

午後７時、12時間ぶりに我が家に帰宅。
パワースポットを巡ったデンゼル。ほっとして疲れたのか、いびきをかいて寝てしまいました。(-_-)zzz

息子はあちこち回るのに忙しく、昼もろくに食べずにいたらしい。なのに母の私、暇に任せて一日中食べてたね。恐ろしい～！

サタデー！スパゲティー！

あまりの暑さにめまいすら覚えるこの頃、昨夜の乾杯ミーティングで深夜の帰宅。夜中は暑く寝苦しく寝不足気味で、今朝は頭も痛かった。

しかし、うだうだしているわけにはいかない。

今日は月一休日を利用したエルディムでの昼食会なのだから！

サタデー！スパゲティー！
ミートソースとツナおろしスパをメンバーと作るのだ。

集合は11時。持ち物はエプロン、ハンカチ。会費は300円。

昨夜、アルコールが入ったので、車はエルディムに置いてきた。
自宅は徒歩10分ほどの距離だが、微妙な二日酔い と夏バテで炎天下を歩いて行くのがつらく、ティファニーに迎えを頼んだ。

10時30分、私たちがエルディムに到着すると、ほどなくケンウッドが現れる。
そして、ミートソース大好き男トニー参上。

この人、無類のミートソース好きで、世の中のスパゲティーはミートソースとナポリタンだけだと信じている。

次はパトリシア。お出かけの日にはいつも流行のファッションでキメてくる。

自転車とバスを使ってやってきたのはニキータ。
月末の家族旅行を心待ちにしている。

お次はスーザン。クラシックを好むベテラン主婦だ。

午前中アルバイトをしながら作業所に通うベスが額に汗かきやって来た。

大幅に遅れてやって来たのは歯医者から直行の
ファーブル。最近作業所に復帰したためエルディムは初体験。
昨日の電話では、場所は調べてバッチリと豪語していたのに、迷いに迷ってレイチェル氏やトムが捜索したら、まるでとんちんかんな方向へ自転車で走っていた。やれやれ！

今日の調理の手順は簡単。玉葱、にんにくをみじん切りにする人。
それらと合挽ミンチを炒め、水煮トマト、ケチャップ他加えソースを作る人。サラダの準備をする人。
パスタをゆでる人。
大根おろし、ツナ、青じそを準備する人。
お茶、皿の準備をする人。

各自分担、しっかり任務を遂行し、短時間で出来上がり。見事だね！
二種を食べ比べ、暑いのも忘れ夢中で完食。
おかわりも競い合う。

食べたら皿洗ってとっとと帰る人。アフターコーヒー飲みながらのんびりおしゃべりする人、様々だった。

疲れたけどさ、ほんわか和んだね。
いい一日だったよ。

母と息子

あまりの暑さにさすがに頭がぼ～っとする。
ちょっと外に出ただけで汗が噴き出し、体が焦げて行きそう。

帰宅後、せんたく物をたたみ夕食を作り横になっていると、電話が鳴った。

メンバーのシルベスタからだった。
シルベスタはガタイが大きいが繊細な心を持っている。話を聞いてもらえますかと沈んだ声。

母と言いあってしまったと言う。

シルベスタは父と母と三人で暮らしている。母テレサはシルベスタにとってかけがえのない存在だが、それだけに近すぎて摩擦も多い。

シルベスタのもらした一言に母が投げたコメントが彼の気持ちを傷つけ、怒りが治まらないという内容だった。

母親に代わるから、ぼくの言い分を伝えてほしいと言うのだ。

はいはい、了解。ではお母さんに代わってね。
一通り彼の気持ちを聞き、自分の思いを確認させた後、テレサと代わる。

以前にも書いたが、テレサは慈愛の深い律儀な女性である。

指導員の私に、家族間のトラブルを解決させるのは きっといたたまれない気持ちだろう。

テレサにしては、作業所に五月雨的に通う息子に対しハッパをかけたつもりだが、自分なりに頑張っているつもりのシルベスタが憤慨した。

些細だが、親子ならよくあるトラブル。
私は二人に言った。
「私も夕べ、息子と大げんかしただよ。あなたたちとよく似てるよ。互いに疲れていると、小さな言葉にも反発して喧嘩になるだね」

二人の姿はまさに我が家の姿。

シルベスタからの相談で逆に学ばせてもらった。

シルベスタ、10年一昔というけれど、10年前退院して作業所に来た頃のあなたと今のあなたでは随分成長したよ。
怒りに任せて発散する昔とは違い、きちんと自分を表現してるね。

私がささやかでもお手伝いできるなら、いつでも電話するといいよ。

あなたとテレサが笑って暮らせる事が、私の望みでもあるからね。

地震の記憶

昨日の早朝、短いが確かな揺れの地震を感じた。

テレビの速報テロップを見たら震度3だという。

早朝の地震は嫌な感じだ。
阪神大震災を思い出すのだ。

あの日、私は出産を一ヶ月後に控えていた。

寝室が２階だったので、揺れをしっかり感じた。
不気味な時間だった。
その後、阪神大震災の被害を知り愕然とした。

建物や道路が崩壊し、多くの人が瓦礫の下で息耐えた。
阪神大震災は多くの犠牲を払ったが、震災への教訓を与えてくれた。

しかし、まだ私は地震の怖さを本当には知らない。

幼い頃、早朝に結構な揺れの地震が来た。
確かその時母親は入院中。留守中、四人の子どもの面倒を見ていた父が叫んだ。
「地震だっ！みんな外に出ろっ」

ねぼけまなこの子どもたちは、父の指令に従い皆
裸足で表に出た。

それからすぐに揺れは治まり、何事もなかったかのように三々五々、自分の床に就いた。

水曜弁当

なす天のそぼろ味噌かけ そばサラダ
南瓜の巾着しぼり
りんご

木曜女性弁当

えびと茄子のチリソース 千種たまご焼き
きゅうりしそ漬
メロン

映画ザ・ウォーカー

少し前になるが、デンゼルワシントンの話題作「ザ・ウォーカー」を観た。
近未来、人類が文明を失い、デンゼル・ワシントン演じる主人公イーライは、世界に一冊しか残らぬ「本」を西に向かって運ぶ。しかし、悪者の独裁者がイーライの行方を追い、絶えず繰り広げられる争奪戦。
さすがはベテランアクション俳優のデンゼル・ワシントン。見事な迫力で追っ手を交わす。

ハラハラドキドキの争奪戦を見つめながらも、それほどまでにして一冊の本を命がけで守るのはなぜかと疑問がよぎる。
そしてその本の正体は？

終盤になり、イーライに好意を寄せ旅の伴となった彼女の命と引き換えに
本を手放すイーライ。
しかし、無残にも裏切られ銃撃され一度は命を絶ったと思われたが、彼女の助けもあり無事生還。弱った体で西へと旅を続ける。本はもう剥奪されたというのに。

西に辿りつき、イーライは絶滅したあの幻の本を最後の力をふりしぼり蘇えらせる。

完璧に暗記していたゆえ、口答で筆記させるのだ。

その頃、イーライから奪った本を開いた敵は激しくうろたえる。

その理由は、ネタバレになるから秘密にしよう。暗記した内容を書き写させたイーライの行動から読み取ってもらえると思う。

ただ一冊の貴重な本がなんであるかも、たぶん敏感な人ならわかるかも？

イーライは本を再生させ天寿を全うした。

く～！かっこよすぎだよ。デンゼル・ワシントン。
うちのデンゼルも、あんな立派な男を目指してほしいけどね。

パニくる

連休中、久しぶりに車を洗った。つうか、スタンドにお金を払っての洗車ですが。

ちょっと高いけど、丁寧な洗車がウリのスタンドに行き、給油と洗車を頼みました。

給油口を開けるには運転席の下にあるレバーを引くのですが、なぜか見当たらない。

「え？なんでないの？うそっ」
手をあちこち動かしてみるが、ない、いつもの感触のあの小さなレバーにに指が当たらない。

なぜだっ！？

まさか、壊れて外れ転がってしまったか？椅子の右下のはずだが、ずれて後ろに消えたか？実はもっと違う場所だったろうか？頭の中をバカバカしいほどいろんな推理が横切る。

「やっておきますから」
スタンドのお兄ちゃんは落ち着きはらい、にこにこしながら対応してくれた。

自分の車なのにしゃくである。でもここは任せて車を降りた。仕事でも二台の車に乗るので、給油口の向きとかこんがらがる時がある。

慌て者なのだ。

店などでスタンプカード が見つからないと慌てふためく。

帰り際、鍵が見つからないと真っ青になる。

落ち着いて対処すれば見つかるのに、最初つまづくとパニックになる。

この性質困ったね。

洗車完了後、車に乗り調べたら、給油レバーは簡単に見つかりました。

あのガキを送るのはあなた

息子デンゼルが中学生の頃には、年二回から三回くらいの割合でＰＴＡの交通当番が回ってきた。

でかい旗を持って横断歩道の前に立つのだが、このたかだか30分の間に送迎の車をじゃんじゃん見かけた。

中高生の我が子を駅や学校に送り届ける親（大多数は母親）の車である。

我が子を遅刻させず送り届ける日課を使命とした親の車は、横断歩道で止まる余裕はない。

止まってくれるのは、たいてい自営業のおっちゃんワンマンカー。

旗で学生らをせき止めながら、車の往来を確かめていると、こんな替え歌が浮かんできた。

かなり古いが、和田アキ子のレコード大賞最優秀歌唱賞受賞曲 「あの鐘を鳴らすのはあなた」のフレーズ。

♪ 街は今～ 眠りの中～ あの鐘を～ 鳴らすのはあなた～
という歌詞が、

♪ 街は今～ ラッシュの中～ あのガキを～ 送るのはあな～たぁ～

顔見知りのあの方、この方が子を乗せて走り去る姿に無事を祈りながら私は、時間になると 旗をしまいスタコラ帰るのだった。

そうしてこの春からデンゼルも高校生。雨の朝は、頼まれもしないのに学校近くまで送り届けるのが常になった。

車から降り立つデンゼルの後ろ姿を見届け、そっと口づさむ。

♪ このガキを～
送るのは 私ぃ～

三つのING

照り付ける太陽を久しぶりに感じた一日。
そろそろ蝉も鳴きだしたし、梅雨明けは秒読みかな。

大雨の被害が続き、全国で亡くなった人が続出している。予期せぬ天災とはいえ悲しいことだ。

元メンバーのピエールは集団の中で浮いてしまい、在宅で人生設計をあれこれ考えてはいるが、なかなか思うように進まなくジレンマの連続らしい。

ピエールは、人恋しいからという理由をつけてよく電話をしてきた。

悪気はないらしいが、あまりに虚偽な話をするので、こちらも距離を取りたくなり電話に出る事をやめた。

すると、時折様子を伺うように、遠慮がちにメールを入れてくる。

「ぽぽんさん、今後ぼくに恋人は出来るのでしょうか？」
このメールと同じ内容を、以前にも電話で相談された事がある。

「私は占い師じゃないからわからないよ」

以前と同じ答を送る。

こちらが返事を送るとそれで満足なのか、次のメールは返ってこない。

以前電話の時には、食い下がってこう詰め寄ってきた。

「教えてくださいっ！人生の経験者として！」

う～ん！

頭をひねった私だが、パっとひらめきいい答を思い出した。少し前にテレビの特集で知った恋愛の法則を。確か…

「三つのINGが揃えば恋が始まるんだって」

「そのみっつは何ですかっ？」

ピエールは好奇心ムキムキで聞き返す。

「それはね、ひとつ
タイミング
ふたつ ハプニング

そして最後が
フィーリング」

「ううっ～！！」

電話口でうめき声を上げるピエールに少しヤバい気分になり、
「じゃ～ね～」と切り上げた。

あれから二年が過ぎたかな。
まだ30前の彼にとって、恋愛は至上の喜びで憧れなんだろう。

ある意味ピュアなだけに 夢も大きいんだね。