月水食堂のお弁当

地産地消と昭和の香りをコンセプトにした安くておいしいお弁当を届けます。

気のいいおっさん

2010-05-31 07:48:19 | 日記
デンゼルの通う高校の近くに古くから開いている自転車やさんがある。

そこの店主であるマイケルさんは、今どき珍しく欲のない気のいいおっさんである。

パンクしたと電話すれば、夜でも駆け付け直してくれる。

しかも出張費などとらず、修繕の値段も安い。

自転車操業と皮肉られるほど儲からぬ仕事を、渋い顔ひとつせずやってくれる。

無類の子ども好きらしく、子を見る眼差しや言葉かけも優しい。

マイケルのおっさんは、三年前におくさんを亡くした。

子宮がんの末期だったという。寂しい、脳病院(精神病院)に入りたいとぽつりと漏らす。

おっちょこちょいで、慌て者。
自転車を届けてくれる軽トラックは乗りなれているはずなのに、毎回エンストさせる。

しかも、エンストしても焦ることなく、それどころか、嬉しそうに笑いながら手をふり帰ってゆく。

もう60をかなり過ぎているが、おっさん版ふしぎちゃんである。
今日の月水弁当

アジフライのたまごとじ

ほうれん草とベーコンのソテー
餃子

大根とトマトのハーブサラダ

あまなつのはちみつ漬け

ASK

2010-05-30 11:36:34 | 日記
29日土曜、隣市の精神病院で、アルコール専門病棟20周年を記念し、式典と講演会が開かれた。

その精神病院には、うちのメンバーも何人か通院しており、私がこの仕事に就くきっかけの一つになったご夫婦が、昔働いていた場所でもあった。

この病院が、新築移転して10年近くなるだろうか。
アルコール問題に関心のあるティファニーを誘い出かけてみた。

飛び込みで行ったのだが、入口で丁寧な案内をしてもらい、会場に入る。

式典、当時者活動の発表が終わり、小休憩の時間と重なり、続々と顔見知りの関係者が出てきた。

その中に、メンバーのダニエルもいた。

緊張しているのか顔が硬直し、汗をかいていた。

ともかく来れてよかったねと声をかける。

飛び入り参加のため、講演講師が誰かも知らずにいたが、レジュメを見て驚いた。

ASK室長 水澤都加佐氏とある。

ASKとは、アルコールおよび薬物問題全国市民研究会の略らしく、アスクヒューマンケアとも呼ぶ。

室長の水澤氏は、Askの室長を長年努める初老の男性。

実は、私も15年くらい前から、何度かAskの研修に東京まで行った事があり、水澤さんの話も聴いたことがあった。
水澤さんをお見かけするのは、10年ぶりくらいだろうか。
Askでは、沢山の書籍やDVDも販売している。

私も年間購読をしていた。ためになる機関紙だった。

水澤さん自身、実兄をアルコール依存のため亡くした苦い経験がある。

テーマは「依存と共依存」
私も以前とことん追求した懐かしいテーマだった。
ベテランPSWの質問
依存の本質は?

「痛み」だと、水澤さんは静かに語る。

なるほど。私はうなづいた。
痛みによってぱっくりあいた傷口を埋める手段が依存かなと感じている。
しかし、それは回復への消毒薬でなく、痛みを疼かせる塩だったり、一時的に麻痺させる劇薬だったりする。


帰り際、ダニエルの後ろ姿を見た。背中には「寂しい」という荷物を背負っている。

ダニエルも気づきから先を歩き出した。

ダニエル、気づきからが長いんだよ。きつい道のりだけどさ、もう少し、あと少し、がんばろう。

アンルイス

2010-05-29 21:35:24 | 日記
少し前になるが、久しぶりにアンルイスをテレビで見た。

息子のみゅうじが、離れて暮らす母アンとステージに立ち歌いたいと言うメッセージを、親友研ナオコを通じて届けたのだ。

アンルイスはいつの間にか、芸能界を引退していた。

パニック障害だったという。

みゅうじは、アンと前夫桑名正博との一粒種。

みゅうじが幼い頃にはアンが親権を取っていたが、思春期になり荒れた息子を持て余し、アンも様々なストレスから心理的にダウン寸前。みゅうじは、桑名と再婚した妻の家に預けられた。
以来、母と息子は適度な距離を保ちながら、いい関係でいるらしい。

私は20代後半から30少し過ぎくらいまでアンルイスが大好きで、その歌の世界やアンの人柄そのものに惚れこんでいた。

アンが歌う女のイメージは、はかないのに潔くて、あばずれなのに純粋で、ともかくかっこいいのだ。

コンサートにも行ったなあ。元夫のダークネスを誘い大垣まで。

大垣は、アンの故郷だが、会場はぼろく、音響も悪く、アンも、今思えば、体調不良だったのだろう。

声もつぶれ、ノリも悪く 、トークも冴えなかった。

当然、観客はシラケる。

まだ終盤にならないのに、つぶれたアンの歌声から逃げるように、ホールを後にする客もちらほら。

私もあのコンサート以来、アンの歌を聴かなくなり、カラオケでも選曲しなくなった。

しかし先日の放送で、現役引退後もアメリカで元気に暮らすアンの姿に安堵し、波瀾万丈だった彼女の人生を思い胸を熱くした。

早速アンのCDを取り出し、歌声をまた感じている。

ケンウッドとシルベスタ

2010-05-29 18:31:50 | 日記
今日はエルディム4班の実習日。

5月中に、メンバーがエルディムを初体験できてよかった。
反応も良好です。

今日のメンバーは、
30代シルベスタ、40ほやほやケンウッド、還暦の シューマン、そして接遇の鬼マーガレット。
スタッフは私とセンター長レイチェル氏。

今日のメニューです。
串かつ コールスローサラダ 新じゃがとツナの煮物 みそ汁

揚げもの得意のシルベスタが上手に揚げてくれました。
ケンウッドは煮物、
シューマンはみそ汁
マーガレットはサラダの野菜をきれいに刻んでくれました。

食事の後、二班に別れ洗いものと掃除をするのですが、ケンウッドは1時には次の仕事、内職の納品補助にでかけなければならない。

ケンウッドだけ早めに上がるよう、補助指導員のサマンサが迎えにきたのですが、トイレの近いケンウッド、出かける前にトイレに入ったのだが、待てど暮らせど出てこない。

トイレは皆が片付けをしている台所の隣にあり、 たぶん過敏なケンウッドにはトイレから出てくる自分をみられるのが辛かったのでしょう。

しかもガタイのでかいシルベスタがドアの前でガーガー掃除機をかけている。迫力満点。

私には、ケンウッドがトイレの中でノブに手をかけながら音に怯え、うなだれてる姿が浮かび切なくなりました。

「シルベスタ、ちょっと掃除機止めて」
シルベスタにそっと頼み、トイレのドア越しでケンウッドに、
「ケンウッド、大丈夫?そろそろ出られるかなあ?」

すると、合図のように水が流れ、ほどなくケンウッド出てきました。

やはり恥ずかしかったのね(^_^)

ケンウッドは自分から声を出さない人。

質問に対し答えることで精一杯。

だから朝のミーティングでサイコロトークをしても、皆の前で話すことはできません。

でも、そこはメンバーたちもよく心得てて、ケンウッドに対して圧力をかけることもない。

みんなが自分でいられる場所なのでしょう。

働くこと

2010-05-27 23:07:18 | 日記
自宅近くの交差点で、右折のウィンカーを出し待っていたら、無人の直進車が通りぎくりとした。

おっと、無人かと思ったら、ハンドルの間から顔がわずかに見えた。近所のたまごやのおばあさんである。

かなりの高齢で、腰も曲がっているというのに、この人は朝から晩まで忙しく動き回る。

朝市への出荷、鶏舎への往復、自宅の作業場での選別作業、さらには農作業までも。

歳の頃はたぶん母ミッチーナと同じくらい。
骨も筋肉も衰えているだろうに、バリバリの現役労働者だ。

それにしてもあの身長で、どでかいワゴン車まで運転するからあっぱれだ。

働くことは、はた(周り)を楽にすることだという。

働くことが日常の全て。働くことこそ、この世代の人にとって幸せなのかな。

仕事したくないなあ。
辞めて楽したいなあ。

時にぐったりと疲れ果て、そう思う。

宝くじでも当たらないかな。
金持ちと結婚できたらな。

妄想に身をゆだねる。

しかし、今こうしているのは自分で選んだこと。
後悔しても仕方ないね。

今日の木曜特別弁当

いつも在庫を使って工夫してますが、今日はいつもより注文が多くて材料に苦心しました(汗)
ティファニー、アシスタントお疲れさま!

鮭と鶏のマリネ
ふきと大豆の旨煮
焼売
新じゃがのからしマヨネーズ
いちご寒天

時間に追われてしまい、写真撮るの忘れました。
息子のデンゼルに、「お金持ちになって、ガーデンプレイスの中で花の匂いに囲まれ、毎日アフタヌーンティーパーティーでも開きたいなあ」と言うと、
奴はふふんと鼻で笑い、
「無理無理!お母さんにはそんな暮らし無縁だよ」
とにべもない。

そりゅあ私だってわかってるけどさ、
夢くらい見たっていいじゃんよねえ。

セクシーミュージック

2010-05-26 18:13:54 | 日記
本日、お弁当の配達に出るため車に乗ったら、懐かしい音楽がラジオでかかっていた。

ノーランズの「セクシーミュージック」

イギリスの女性4姉妹のグループ。ボーカルの声がいいんだあ。

ノーランズのアルバムは、20才くらいの頃、ドライブしながらよく聴いていた。

音楽って不思議です。それを聴いていた時代を鮮やかに思い出せる。

昔、ノーランズのカセットを聴きながら、よく遠出をしたことが蘇る。

東名高速から中央高速道路にさしかかるジャンクション。標示板の矢印。カーブを彩る街灯の列が音楽とともに浮かび上がる。

あの頃、同じ歌を聴きながら、同じ景色に心を動かした。

そんな時代をともにした人とは やがて別れ、互いに違う相手と違う音楽を違う場所で聴くようになった。

人の縁ははかなくも不思議だと思う。

今日の薬膳お弁当

餃子皮の包み揚げ ※ポテトサラダ※ 梅肉とチーズとしそ
キャベツのカレー和え
大豆のサラダ
なすとそら豆の含め煮
鮭の照り焼き
こんにゃくの味噌炒め
黒米ごはん
いちごの寒天寄せ
佃煮

そら豆は今が旬。この季節これで飲むビールやチューハイはたまりませんな。

メニューのそら豆を、これ以上ないくらい上手に色よくゆでたのは、センター長のレイチェルさん。
三世代の中心を走る主婦として、忙しくも元気に乗り切るキャリアウーマンです。

SKY そら

2010-05-26 07:43:11 | 日記

5月25日、今日は幼なじみユニットSKYで隣県の温泉ホテルへ癒しの旅。

SKYとは、仲良し三人 の本名の頭文字を取ってついた名前。
「SKY~空」 会えばいつも青空に向かい大笑いしている私たちに、何とぴったりな名前。

私たちは地元保育園からの付き合いで、中一の頃は、三人同じクラス。
いつもつるんで、転げ回りながら笑っていた。

担任は、そんな私たちに「三人娘」とあだ名をつけてからかった。

私たち三人は、シングルである。天然キャラの美人キャディー、ライラは 隣市でアパートを借りている。自らのゴルフ好きが転じてこの職に就いた。

ムードメーカーのお茶目なシャーロットは、長年のDVから脱出し、シングル四年め。連れて出た末息子は今年高校を卒業し自活した。生活苦のためスーパーと工場をかけもちで働いている。

そして私、高校生の息子デンゼルと二人で暮らすようになりやがて12年。精神障害者の支援者として、メンバーたちの照明係のような存在でありたい。

私たちは、経済的に余裕のない生活を余儀なくされているが、心はいつも前向きに、一日一日を大切に生きたいと願っている。

互いを励ますためにも、年に数回は持ち寄りパーティーをしたり、誕生月に遠出を計画してきた。

そう、今日がその日。

昼間から温泉につかり、懐石料理のランチを食べ、パワースポットを巡る。

ゆったり深呼吸できる贅沢な時間。

あ、うんの呼吸の会話。
互いの存在が、励みとなり明日への活力となる。

かけがえのない親友。

幸せな一日に、神様に感謝。そして願う。
誰かが欠けることなく、来年もその先も仲良しで いられますように。

追伸
地元仲良しは、あと三人。ジャニーズのV6に対抗し、地元校区の頭文字からD6と名付けている。

今はなかなか6人揃うことは難しいが、今年中には皆で揃って飲みたいと思っている。

接遇マーガレット

2010-05-25 08:09:53 | 日記
お風呂から上がったら、留守番電話が点滅していた。

息子のデンゼルに
「ねえ、電話あったの?」
と聞くと、寝そべったまま携帯をいじりながら、
「ぼくぁ、電話嫌いだから出なかったよ」とぬかす。

「大事な電話かも知れないんだからつないでよ」

すると、
「この時間ならどうせヨーゼフさんだろ?」

ヨーゼフさんとは、社会的入院の代表のようなメンバー。無自覚のまま家族の希望で退院できない初老の男性である。

「ともかくっ!居留守を使わないことっ」

怒りつつ、再生ボタンを押した。すると、中身はヨーゼフのだみ声ではなく切羽詰まった女性の声。

「ぽぽんさんのお宅ですかっ?夜分に失礼します。マーガレットですっ。いつもお世話になっておりますっ。あの~、明日ですが、父の入れ歯が出来るので歯医者に行きます。したがって、朝遅れますので、弁当は…」

ここでしばらく唸り声、迷いを振り払うかのように、
「お弁当はい、いりません。よろしくお願いいたします。マーガレットでしたっ!」

マーガレットは、私とほぼ同年代の礼儀正しい女性メンバー。

色が白く、顔立ちも端正。言葉の節々に頭のよさを感じさせる人。

マーガレットは、接遇の鬼。メンバーの中に、礼節をわきまえない者を発見したならば、容赦なくにらみをきかせた流し目で斬る。

最近休んでいるマロンも、がつんと叱られべそをかいていた。

マロンは、30代の女性メンバー。ほんわかにこにこ素直なキャラは、スタッフたちの癒し的存在。

マロンちゃ~んと呼ぶ声も顔もにやけてしまう。

マーガレットがマロンを叱りつけてた姿は、さながらロッテンマイヤーさんに叱られうつむくハイジみたい。こっちまでびびりました。

マロンみたいな存在も大事だし、マーガレットみたいな接遇の鬼も必要だよね~

世の中うまくできてます!!

大切な人だから

2010-05-24 07:45:03 | 日記
「わが家の母はビョーキです」という漫画に出会ったのは、一年くらい前だったと思う。

著者は中村ユキさん。
30代後半のフリー漫画家である。

たまたまその頃、女性誌でユキさんと漫画のモデルであるお母さんとのインタビュー記事を読んだ。

衝撃的だった。ユキさんがわずか4才の頃、お母さんはストレスと 過労で発病し、それからは長い闘病生活を余儀なくされている。

そして、そんなお母さんを支えてきたのがユキさんだった。

現在は、夫タキさんと三人でつつましく暮らしている。

このタキさん、無口で純朴な楽天家で携帯オタク。今では妻であるユキさんとお母さんのキーパーソンとなる存在なのだ。

金曜日、事務員のティファニーから書籍小包を渡された。

宛名は中村ユキさん。
なんと、「わが家の母はビョーキです2」を送ってくれたのだ。
帯には「一番大切な人だから、一番大切な過去を話せなかった」とある。

大切な人とは、夫タキさんの事で、大切な過去とは、母親の再発に揺れ続けた長い苦悩の日々。

私は1月の下旬、ユキさんの講演会に行き、サインをいただいている。

ちゃっかり写メまで撮ってもらい、うきうきだった。

ユキさんはすらりとした知的な美人。優しく思いやりのある女性だった。

互いに過酷なこども時代を生き抜いたサバイバーとして、親しみを感じている。

ユキさんありがとう。
新作も感動的でした。

タキさんやお母さまとどうか末永い幸せを!!
5月24日今日のメニューは、
豆腐ステーキの野菜あんかけ
かきフライ
ふきの土佐煮
なつみかんとレタスのフレンチ和え

春との旅

2010-05-23 11:59:42 | 日記
以前から要チェックしていた映画「春との旅」を観に行った。

19才の孫娘春と、少し足の不自由な老人は二人暮らし。職を失った孫娘が上京したいと希望し、老人は半ばやけになりながら、自分の兄弟の家を一軒一軒訪ね歩く旅に出る。

その後ろを追いかける孫娘の赤いジャンバーが痛いほど目にしみる。

やりきれない哀しみを背負う二人の姿は、始まりからしばらく台詞がないが、体で台詞を語っていた。

老人は昔、ニシン漁に夢をはせ大海原に出た。

家族とはその夢との引き換えに絆を弱めていた。

何年も疎遠だったそんな兄弟の元に、自分の面倒をみてほしいと訪ね歩くのだ。

無謀である。しかし、本気ではないのだと次第にわかる。

老人は、肉親に別れを告げに行ったのだと。

孫娘はわずか19才で、人生の辛さ、哀しみを全て知り尽くしている。

両親の離婚、母の自殺、祖父の世話、失業、生活苦。

本来なら、自分のことだけにかまけることのできる年齢だというのに…

祖父がことごとく兄弟から見切りをつけられ、孫娘は決心する。

自分が一生おじいちゃんのそばにいるから と。

そして、孫娘は生き別れの父に会いたいと申し出る。
おじいちゃんが兄弟に会っているのを見て、自分も父に会いたいと。

二人の旅は後編に入る。
父の家を訪ねると、すでに父は再婚していた。

父との再会。ここからは、思い出すだけでたまらなく泣ける。夫婦が別れた頃には幼かった娘。しかし、幼いなりに全てを心のシャッターに納め知り尽くしていた。

こどもはなんと賢いのだろう。


最後の結末は語れない。
あまりにつらく、しかし 見方を変えれば壮大な人間讃歌とも言える。

見終えた後はかなりこたえる。

いつまでも、涙が止まらないのだから。

主演は名優仲代達矢さん、若手実力派の徳永えりさんのお二人である。