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ある日の作業時、ケンウッドの足元に目が行きぎょっとした。
左右とも土踏まずから踵にかけてぱっくり剥がれ、素足が見えていたのだ。
ああ、これだったのか!
その数日前のエルディムでの昼食会。
帰り支度をするケンウッドが七つ道具のぎっしり詰まった手提げかばんをゴソゴソさばいていた。
靴下がぱっくり大きく裂けているのに気づき驚いた。
え?なんで?
穴あき靴下、メンバーの中には珍しくない。しかし、この破れようはなんだ。
疑問が解けた。靴底が剥がれ落ち、彼の足そのものが靴と化していたのだから。
他にも靴を履きつぶすまで履いている人はいる。しかし、彼の場合、靴底が半分以上抜けていた上、必然的に靴下も破れ、木切れのような硬い踵をしていた。
これで片道30分もの距離を歩いて通っていたとは。涙が出そうになった。彼の我慢強さとあまりの無防備さに。
すぐに呼び出し、靴下と靴を買おうと話をした。
素足で道路を歩く危険性を説きながら。
彼も困っていたのだろう。
すぐに私と買い物に行くことを承諾したから。
そして、その日を境にケンウッドの足は新しい靴で守られた。
今までにも裸眼0.02での生活、悪化した虫歯放置、そして今回の素足の靴。
とりあえず、すこしずつ改善提案を試みてきたけど。
改めて自閉症の人の生きづらさを思い知る。