長いタイトルを付けましたが、地学雑誌の今年の4月号にあった総説論文のタイトルです。「日本列島形成史と次世代パラダイム」という特集がPartⅠとⅡと組まれ、そのPartⅠに掲載されていました。地質学の最先端を行く論文集ですのでかなり高度で私には手に負えない部分もありますが、それでも興味と読み応えはあります。
http://www.geog.or.jp/journal/chigaku/jpre_119_2.htm
内容をごくごくかいつまんでみると、明治初頭ナウマンに代表される海外から地質学を輸入していた時代があり、それが成熟して次第に発展し、いまや最先進国となり(例えば、マントル・トモグラフィーによる日本列島や東アジアの地下構造の推定など、地球物理学分野からの貢献と地質学・岩石学の分野のコラボレーションにより、さらに新しい概念が生み出されようとしていることなど)、「輸出科学の時代」になったというものです。
この論文全体をでは、「日本は地体構造論・造山運動論の歴史を対象に、西欧以外の科学後進国がいかにして先進国に追いつき追い越すのかという視点から再整理を試みたもので、日本地質学の「坂の上の雲」物語と言えるかもしれない」と結んでいます。
このような背景には、おそらく何百万歩にも及ぶ踏査、ハンマーで岩を割ってルーペで鉱物を観察する、崖に這いつくばってクリノメータで走向傾斜を測るといった、ローテクと呼ばれてしまっている地道な努力の積み重ねがあります。もっと世界に誇って教科書にも載せるべきと思います。
ところで坂の下の地すべりを扱う分野はどうでしょう。誇りを持って輸出できるとしたらどんなことが考えられるでしょう。詳しい方のご意見を聞いて勉強したいところです。