防災ブログ Let's Design with Nature

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「危険と判断」した後の価値へ - 宅地耐震化進まず -

2009年06月04日 | 災害の記憶と想像力
いよいよ明日から長期優良住宅に関する法律が施行されますが、水をさすかのようなニュースがありました。

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宅地耐震化:自治体の66%検討せず - 工事費負担が障害に -
http://mainichi.jp/select/today/news/20090603k0000m040139000c.html
   対象の147自治体に聞き取り調査したところ、昨年度までに事業を開始したのは、21自治体のみ。今年度新たに予算をつけたのは7自治体で、「前向きに検討」と答えたのは22自治体にとどまった。

 障害になっているのは、原則として対策工事費の半分を住民が負担する点だ。多くの自治体が「工事をしても完全に被害を防げるとは言い切れず、住民の合意を得るのが困難」と説明する。造成地を「危険」と判断した場合、土地の資産価値が下がることを懸念する自治体も多かった。国の補助率が調査費の3分の1、工事費の4分の1と低いことへの不満も出ている。
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相変わらずだなあという印象です。まず、「工事をしても完全に被害を防げるとは言い切れず、、」という部分ですが、”完全に防ぐ”というところが、まず自然現象をイメージできていないと思います。コンクリートモルタルで急斜面を覆ってしまえば、がけ崩れは完全に防ぐ事ができるというのと同じ発想ではないでしょうか。自然は複雑系であって、土砂や水、植物がいろんな規模でいろんばペースで動きます。マニュアルどおりには行きません。

そして、これも相変わわらずなのですが、「「危険」と判断した場合、土地の資産価値が下がる」という間隔です。これは宅地耐震化事業に始まったことではなく、地すべりや土石流、活断層についても伝統的に言われてきたことです。

しかし、一度被災して多くの人が二重ローンを組む場合がもっと深刻です。エコブームでは"自然とうまく共生しよう”といいますが、地震は「来るべき」現象です。日本の豊かな自然は、地震や豪雨のたまものなんです。自然は”強制”
するものではないのです。

要は最悪の事態だけを避ければなんとかなるのです。危険と判断されたあとに、安全にする努力をすることが、最高の資産価値とはいえないのでしょうか。