忘れえぬ体験-原体験を教育に生かす

原体験を道徳教育にどのように生かしていくかを探求する。

ありがとうの一言(yutakaの学級通信:第7話)

2010年03月30日 | 教育談義
 家族の中では、親しい間柄のゆえに、「ありがとう」の一言が言いにくいことがあります。
長年一緒に暮らしているから「何も言わなくとも思いが通じる」、と考えている人もいるでしょう。
 しかし、本当にそうでしょうか。
あるお父さんは、会社から帰宅すると居間に座るなり、お母さんに向かって、
「お~い、ビール」「めし」「風呂」、お母さんと交わした言葉がたった、この三つだけだったそうです。
長年一緒に暮らしているのだから、この三つの言葉だけでもお互いを、思い合い信頼し合える関係なのだと、本当に言えるのでしょうか。
 お父さんは仕事で疲れていますが、お母さんにしてみても同じです。
家事だけ取っても大変なお仕事です。
女中さんのように命令されてばかりでは、嫌になってしまうでしょう。
 親しい間柄であっても「ありがとう」、という一言がとても大切なのではないでしょうか。
 互いの心の距離は、ささいなすれ違いから生じてくるものです。
夫婦の間であっても、親子の間であっても、相手を思い合う気配りをおろそかにしてはいけないと思います。
「ありがとう」「おはようございます」のたった一言ですが、その一言に温かい心を込めて、家族に対しても、誰に対しても、使いたいものです。

私の原体験 ⑫ (妻の死)

2010年03月30日 | 教育談義
 妻が病室で診断結果を、うれしそうに報告してくれました。
イレッサが効き、肺がきれいになってきた、ということでした。
担当の小澤先生も、興奮気味に説明してくれたようです。
 ガンが治ってきていました。
妻も私も心からホットしていました。
もう、直ったような気にさえなっていました。
 ただ気になるのは、共立病院で検査を受けた時期から、
頭痛が続いていることでした。
 甦生病院のレントゲンでは、頭に異常はありませんでした。
色々な頭痛薬が妻に試されました。
毎日、頭痛による吐き気が続き、食欲が落ちていきました。
 退院後、季節は夏に変わり、夏休みに入りました。
私たちは、小田原にある頭痛専門病院をインターネットで探し出し、
二人で車で行きました。
 そこでの検査でも、異常は見つかりませんでした。
しつこい偏頭痛だと、私も妻も思っていました。
 食欲はその後も落ち続け、体重は日に日に落ちていきました。
頭痛や吐き気、食欲不振に悩まされながらも、妻は夏休みの間に、
上越で暮らした時期の友人たちと、そして自宅のカントリーショップに関わる仲間たちと、加えて、家族や親せきたちと、計3回にわたって1泊の温泉旅行に出かけました。
 私はガンが完治しなくても、60歳まで生きられれば、その後もずっと生きられるかのような思いを抱いていました。
9月23日の朝、突然妻は自宅のベッドの横でけいれんを起こして倒れました。
(つづく)