玄文講

日記

構造改革派 VS リフレ派

2005-03-02 01:05:35 | 経済
(昨日の続き)

今、日本では、不景気の原因とその対策をめぐる争いが行われている。
それは政策の優先順位をどのように設定するかという問題でもある。

彼らは大まかに2つのグループに分類することができる。

一方はこう主張する。

日本が不景気なのは、その経済の効率が非効率だからである。
生産性の低い産業が淘汰されないからである。
財政が不健全だからだ。
不良債権の処理が進んでいないからだ。
モラルハザードのせいだ。

だから政策で最優先されるべきなのは「構造改革」である。

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そしてもう一方はこう主張する。

構造改革派の主張する問題が解決すべき問題であることは認める。
しかしそれらは不景気の原因ではない。それらは結果である。

デフレ

これこそが日本人が不幸になった原因である。
デフレは貨幣の価値を高める。お金の価値は日々高まり続けるのだから、使わないで貯めれば貯めるほど有利になる。

経済学では、人々は一定の制約の下で自分の効用(満足度)を最大にするように活動をする。
デフレの下では投資を控え、消費を抑え、貯蓄をすることが最大の効用を得るための手段である。
しかしその結果、消費が冷え込み、雇用が減り、税収入が減り、運用資産の利ざやが減ることで年金制度や保険制度が破綻しているのだ。

私達が不幸なのは、私達が最適な行動をとっているせいなのである。
今の日本ではマクロ経済学の公式通りのことが起きているのだ。


だから最優先に行うべきは「構造改革」ではない。
「このデフレを終わらせる政策」こそが断固として行うべき最大の課題なのである。

そしてこの問題を解決する方法は、消費することが私達にとって最適な行動になるように日本を変えることである。
それを可能にするのが金融政策である。


財政再建?それは家のリフォームのようなものである。
今は日本の土台を固めることを考えるべきであり、いくら家を改築しても砂の上に建てた家ではすぐに崩れてしまうであろう。

不良債権処理?実はバブル期に発生した不良債権は既に90年代に処理が終わっているのである。
今ある不良債権は「デフレ」のせいで新たに生み出され続けているものなのである。
源泉を止めずに水をいくらくみ出しても、水がなくなるわけはないのである。

モラルハザード?確かに役人の不正は監視し、糾弾し、なくなるようにすべきだ。しかしそれは私達の不幸の原因ではない。
目立つ悪を自分たちの不幸の原因と勘違いし、彼らを叩くことで満足してはいけない。
大きな悲劇とは常に悪意のないところから生まれるものなのである。

今、すがるべきなのは金融政策なのである。
その具体的中身としては、クルーグマンの唱えた「インフレ目標政策」や「政府通貨の発行」などが提言されている。

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以上が2つのグループの大まかな主張である。
前者のグループはさらに細かく分類することができる。むしろ彼らは、その人数の分だけ主張があると言えるほど多様な提言をしている。

後者は細かい違いはあるが、大筋ではだいたい似たようなことを言っている。少なくとも経済学の定理から逸脱したことはあまり言わない。

そして私は後者の「金融政策派」を応援している。
だからここの文章もかなり後者寄りのものになっている。

そしてこの2つのグループの論争は見ていて飽きない、実にくだらなくて素敵なことになっているのである。
どのように素敵になっているかは、明日に説明したいと思う。9

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