蜘蛛網飛行日誌

夢中説夢。夢の中で夢を説く。夢が空で空が現実ならばただ現実の中で現実を語っているだけ。

東京国際書籍交易會

2005年06月24日 03時28分57秒 | 本屋古本屋
毎年四月の下旬ころになると、東京ビックサイトで「東京国際ブックフェア」が開催されてきたが、ことしは七月に開催されるという。四月から七月に変更なった経緯は知らないが、わたしにとっては頗る迷惑だ。だってそうでしょう、蒸し暑くて雨勝ちな時期にやられた日にはたまったものではない。と当初は腹が立ったのだけれども、冷静になってよくよく考えてみると、どうこもれは事務当局の深謀遠慮なのではないかと思われだした。
わたしは「東京国際ブックフェア」をもう何年も前から観覧しているけれど、年を追うごとに盛大かつ一般的になってきている。十年ほど前は幕張メッセで開催されていたけれども、その頃はもっと落ち着いたこじんまりした雰囲気の催し物だったように思う。わたしなどは会場でのんびりとサンドイッチをつまみにビールを飲み、ベンチで居眠りをしたりしながら見て回ったものだ。幕張というロケーションが普通の人たちに「ちょっと覗いてみよう」って気にさせなかったのかもしれない。たしかにわたし自身にしてからが自宅からは遠いし、交通の便は悪いしで帰りの電車ではぐったりしてしまった。京葉線海浜幕張から東京駅まで戻り山手線で品川に出て、そこから京浜急行で横須賀までたどり着いた記憶がある。会場が東京ビッグサイトに移ったので新橋からゆりかもめを使うようになったが、やはり近くなったことを実感した。そしてわたしが実感したことは他の多くの人たちも実感しているはずで、だから一般公開日には「ちょっと覗いてみよう」派のお客がわんさか押しかけるようになった。賑々しいのはよいが過ぎるのも困りもので、硬派の出版社例えばみすず書房とか創文社などのブースの前で子供がはしゃぐ姿をわたしはあまり見たくはない。要すれば少々お祭り化してしまったこの催しを本来の姿に戻そうという意思が、事務局に働いたのではないだろうか。その結果がこの鬱陶しい時期の開催という形になって現れたのだと、わたしは密かにそう睨んでいる。雨が降ったら普通の家族連れは先ず来ない。その結果、やって来るのは業界関係者のほかには生真面目な読書家と、そしてわたしたち書痴ということになる。
「東京国際ブックフェア」は扱っているものがものだけに、最新技術やデザインの発表といった華やかさはない。とくに娯楽本以外のブースでは出展物も展示レイアウトもほぼ毎年同じといった状態で、これはこれで問題だと思う。そのほか作家の朗読パフォーマンスなどもあるが、他のブースの音響で聞こえなかったり、逆に朗読パフォーマンス側の音響機器の設定が悪く音が割れてしまっていたりなど、無神経なエベントが目立っている。運営する事務局はこのようなところにも目を配って、より意味のある催し物にしてもらいたいものと強く強く強~く、願うものです。