![]() | 狼花 新宿鮫IX光文社このアイテムの詳細を見る |
「狼花」読了。感想・・・一気に読める、読みたくなる魅力は相変わらず持っています。でも、何か物足りない・・・これは何なのでしょうか

地獄を覗かされ、日本を捨てた国際犯罪者・仙田。外国人犯罪を撲滅するため、限界を超えようとするエリート警官・香田。どん底からすべてを手に入れようとする不法滞在の中国人女性・明蘭。自ら退路を断ち突き進む男女の思惑と野望が一気に発火点に到達した時、孤高の刑事・鮫島が選ばざるを得ない「究極の決断」とは?理想と現実、信念と絶望、個人と社会、正義の意味、そしてこの国のありようが、骨太かつスピーディな物語に溶解していく。ターニングポイントとなるシリーズ最大の問題傑作、光文社初のハードカバーで登場。
鮫島の好敵手ともいうべき仙田が再登場し、彼の構築した闇マーケットを巡るドラマが展開するのですが、その扱い方が少々甘い感じがしてしまいます。仙田があれほどの苦労人なら、もっと慎重かつ冷静、非情に動くと思うのです。なのに、愛する女性、明蘭のために、仙田はすべてを捨てて暴走を始めます。魅力的な女のためなら、全てを捨てることもありましょう。でも明蘭は、それほどの女性なのか・・・そこに疑問符が付いてしまいます。
それと、これまた鮫島のライバル(?)香田の描き方にも疑問符がつきます。外国人犯罪を一掃するために暴力団組織と手を組むという、短絡的な方法を選択する人物であったのか?まあ、外国人犯罪を憎む個人的理由も付加されてはいますが、いかにも動機として弱い・・・

そして、鮫島の事件への喰らいつき方!相棒とも言うべき藪が銃撃され、その怒りを仙田に向けますが、いつもの迫力を感じません。(晶が絡めば、もっと燃えたんでしょうが、それはさすがに・・・


そんなこんなが絡み合って、読後の充実度は★★★☆☆くらいかな。私としては、次作に期待します・・・