DVD 怪奇大作戦 Vol.3ビクターエンタテインメントこのアイテムの詳細を見る |
今日ご紹介する『氷の死刑台』は、非常にやるせないエピソードです。まずは、DVDの解説書からあらすじをどうぞ。
7年前、岡崎はひとりの男に声をかけられた。企業戦士として疲弊していた彼は、「1日だけ蒸発しませんか?」という男の甘言に乗り、会社を休んだ。そして岡崎の運命はこの日以来、大きく狂ってしまったのである。声をかけた男の名は加瀬。岡崎は、その加瀬が研究していた冷凍冬眠の実験台にされてしまったのだ。そして、その7年後。目覚めた岡崎の細胞は、超低温に耐え得る物質へと変質していた・・・。
人間を冷凍状態にして保存するというアイデア自体は、古今東西の映画で繰り返し使われたものです。しかし、その冷凍人間が蒸発した企業戦士だったというところが、いかにも高度成長期の日本を象徴しており、物語に重いテーマ性をかぶせています。
仕事に疲れたサラリーマンが、声をかけてきた見知らぬ男の「1日蒸発」の誘いに乗ってしまうという設定は、現代ではちょっと考えられないのですが、当時は「蒸発」が流行語になるほどモーレツ(死語)な時代だったので、リアリティが感じられたことでしょう。落ちこぼれた企業戦士の行く末は・・・そんな世界をブラックに語っていると言っていいのでしょうか。
そう考えると、岡崎の最期はあまりに哀し過ぎます。なぜ、彼は殺されなくてはならなかったのでしょうか。(しかも牧の手によって・・・)現代の目で観ると、あまりに突き放した話に思えてしまうのでした。