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ガヴァドンなボログ

ウルトラ指人形のことやら、仮面ライダーの感想やら、大河ドラマについてやら

没後10年黒澤明特集~隠し砦の三悪人

2008年09月20日 | 映画鑑賞
隠し砦の三悪人<普及版>

東宝

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 NHK・BS2で『隠し砦の三悪人』を鑑賞しました。概要等はウィキペディアでご確認下さい。

 「スターウォーズ」にも影響を与えたという、この作品。気にはなっていたのですが、今まで見る機会がありませんでした。ですから「没後10年」企画で、黒澤映画全作品をやる!と知ったときから、最も楽しみにしていた作品でした 
 で、感想ですが、「文句なしに面白い!」で決まりでしょう。太平と又七コンビの掛け合い、真壁六郎太と田所兵衛の堂々たる武者振り、そして雪姫のセリフ棒読み… 雪姫役の上原美佐さんは、大抜擢されてデビューした「素人さん」だそうですが、いやいや、その素人臭さがかえって「特別なお方」という印象を際立たせる「特殊効果」になっているように感じました。起用した黒澤監督に脱帽 
 
絶対的に脱出不可能な状況で登場人物のキャラクタを十二分に活かしながら、次から次へとピンチをすり抜けていく時の、手に汗握るスリルと痛快感。これは、シナリオ作成にあたり無理難題を最初に設定し、それを4人(菊島隆三、小国英雄、橋本忍、黒澤明)の知恵を絞って解決策をみつけるという独特の手法によるものと言われている。〈ウィキペディア〉

 この作品の面白さの元は、やっぱ、この脚本の出来の良さによるのでしょうね。欲に駆られた太平&又七が引き起こす危機を真壁六郎太がどう切り抜けていくか…ハラハラドキドキの連続です。これ、黒澤明の最高傑作ですな、実感しました。

没後10年黒澤明特集~七人の侍~

2008年09月08日 | 映画鑑賞
七人の侍(2枚組)<普及版>

東宝

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 NHK・BS2で『七人の侍』を鑑賞しました。概要等はウィキペディアでご確認下さい。

 途中に「休憩」をはさんで3時間半という大作でしたが、退屈する暇もない傑作だと思いました。コッポラやスピルバーグ、ジョージ・ルーカスといったハリウッドの監督達が絶賛したのも頷ける出来です。まさにハリウッド的なサービス精神てんこ盛りな「日本映画」!
 しかし、落としていけないのは、そうしたアクション性だけでなく、「戦争の忌まわしさ、空しさ」「無償の愛」といったメッセージも届けようと丁寧な作り方がされていることでしょう。また、登場人物の造形が素晴らしい… 一人一人の個性が見事に描き分けられ、それぞれが互いに関わり合うことにより、響き合って観客に迫ってきます。
 当然ながら名シーンの連続なのですが、私が一番好きなシーンは、菊千代が燃え盛る水車小屋の前で幼子を抱きしめて「これは俺だ!」と叫ぶシーンです。あの絵によって、戦の怖さ、空しさがくっきりと浮き出ており、また菊千代という戦争孤児の人生を雄弁に語ってくれていると思います。
 そして、「雨中の合戦」ですね… これは言うまでもなし。雨中の戦いを描いた映画としては『プライベートライアン』が私のお気に入りなんですが、久々(約15年ぶりかな)に鑑賞した『七人の侍』も落としてはいけないな、と改めて思いました。

没後10年黒澤明特集~どん底~

2008年09月04日 | 映画鑑賞
どん底<普及版>

東宝

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 NHK・BS2で『どん底』を鑑賞しました。概要等はウィキペディアでご確認下さい。

 ゴーリキーの「どん底」を翻案した作品なんですが、見る者の視点により、解釈が大きく変わってしまうだろうなと思いました。江戸の掃きだめ、文字通り「どん底」に位置する長屋が舞台となり、そこに棲む(「住む」というより「棲む」の方がしっくりくる)連中の悲惨な生活が描かれているのですが、彼ら最底辺の人々の生き様を虚無・デカダンと見るか、それとも人情の「希望の火」を読み取るか、それによって随分解釈が分かれるように感じたのです。
 「どん底」の暮らしの中で、酒に溺れ、人の悲しみを茶化して喜ぶようなポーズを取る長屋の住人達が、いざという時には「連帯」してことに当たる姿が随所に見られました。確かに、鋳掛屋の女房が衰弱死したときなど、長屋の住民が吐いた言葉は、どれもきつくてむごいものでしたが、それは「極貧」を受け入れざるを得ない境遇が言わせた「弔い」の言葉と見ることは出来ないでしょうか。「極貧」からはい出る術がない以上、その境遇を受け入れる覚悟を持って生きてゆく… そんな強い意志をいろいろな場面で見せてくれたように思います。ラストシーンでは「辛い日常を蹴散らすように踊り歌う」長屋の面々が、更に「どん底」に突き落とされてしまうわけですが、私には、見る者を滅入らせる終わり方だとは思えませんでした。そう、落語のオチのような余韻を感じたと申しましょうか… 彼らは「どっこい生きてゆく」のだろう、と。
 役者さんたちは、どなたもいい味を出しています 左ト全の巡礼もいいし、山田五十鈴の悪女もいい!でも、個人的にはまったのは藤原釜足の役者ですね アル中で、おつむもやられた男を、ユーモア&ペーソス溢れる演技で見せてくれます。

没後10年黒澤明特集~蜘蛛巣城~

2008年09月03日 | 映画鑑賞
蜘蛛巣城<普及版>

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 NHK・BS2で『蜘蛛巣城』を鑑賞しました。概要等はウィキペディアでご確認下さい。

 BS2で展開中の「没後10年黒澤明特集」ですが、不覚を取りまして「醜聞」「生きる」「白痴」「生きものの記録」は見落としました ついつい、酒を飲んでうつらうつらとして… でも、もうそんなヘマはしませんよ!何と言っても9月からは「七人の侍」を始めとして、私の見たかった作品のオンパレードですからね
 で、昨夜(9月2日午後9時~)は「蜘蛛巣城」を鑑賞しました。
 この作品が「マクベス」の翻案ものであることは有名な話ですが、そんな西洋の下地と幽玄の世界が、見事に融合していることにため息がでました。
 特に主人公・鷲津武時と妻・浅茅が絡む場面は、間の取り方が絶妙です。能の舞台を見ているような、不思議な感覚に囚われてしまいました。山田五十鈴という女優の凄さを再認識させられましたね!この人は凄いとしか言いようがない… 有名な、主人公が「首を、射抜かれる」ラストシーンも印象深かったですが、それ以上に、浅茅が主人殺しをそそのかすシーンが脳裏に焼き付く映画でした。
 山田女史は、「どん底」でも名演技を見せてくれているとのこと、今晩も楽しみです。

没後10年黒澤明特集 ~酔いどれ天使~

2008年06月09日 | 映画鑑賞
酔いどれ天使<普及版>

東宝

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 NHK・BS2で『酔いどれ天使』を鑑賞しました。概要等はウィキペディアでご確認下さい。

 昨日は、日本の犯罪史上に残る大事件のあった1日でした。歩行者天国でにぎわう秋葉原を狙っての通り魔事件とは!17人を殺傷しなくてはやまなかった、その犯人の心の闇を、我々はきちんと検証しなくてはならないと思います。政府は銃刀法の改正も視野に入れて検討に入るようですが、罰則の強化等だけでは抑止にならない「底無し沼」の恐ろしさを感じます。ごく普通の生活を送っていたはずの人物が、ある日突然に暴走を始めることが、映画やテレビドラマの中だけの「お話」ではなくなった恐怖と言いましょうか・・・

 この『酔いどれ天使』には、昭和20年代の混乱する風俗と不衛生な環境を象徴する舞台装置として、ゴミ捨て場と化した『池』が出てきます。そんな中で自暴自棄になって暮らすやくざ・松永(三船敏郎)は、そんな環境に身も心も毒された男ではありますが、はい出ようともがく人間性を持っていました。結核に冒され、周囲の人間に裏切られ、自暴自棄の沼に引きずり込まれながらも、彼なりの「正しさ」を追求した結果が、兄貴分・岡田への殴り込みだったと思います。決して個人的な恨み辛みだけでない「人間的な優しさ」が、あの殴り込みには、あったと思います。故に、主人公・真田や飲み屋の女将・ぎんは、その死を悼み悲しむのでしょう。

 さて、今回の通り魔事件の犯人は「ワイドショーの独占」、ヒーロー視されることを狙って犯行に及んだとのことです。そんな方法で自分を輝かせることができると、本当に考えていたのでしょうか?その心理も異常ですが、「自分のことしか考えない」神経にもやりきれないものを感じます。他者を思いやることのできなくなった社会が産んだモンスター・・・ 松永の対極にある「非人情」を感じ、ぞっとしました。

没後10年黒澤明特集 ~わが青春に悔なし~

2008年05月12日 | 映画鑑賞
わが青春に悔なし<普及版>

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 NHK・BS2で『わが青春に悔なし』を鑑賞しました。概要等はウィキペディアでご確認下さい。
 
 伝説の女優「原節子」を、恥ずかしながら初めて見させていただきました。もうそれだけで感涙ものです。芸能界を引退後、自らの姿をマスコミに晒すことのない女性というと、私の世代では「山口百恵」がすぐ頭に浮かぶのですが、先輩達の世代では間違いなくこの方でしょうね・・・
 もちろんスチール写真なんかでは見てましたが、動くお姿は今回が初めて。いっぺんでファンになりました 
 女性の描き方としては、やや理想化し過ぎの感はあります。八木原幸枝という女性が、意固地になって農村で生きようとするのは無理があるなあと感じました。でも、そんな無理のある展開の中でも、それぞれの時の「八木原幸枝」を見事に演じわけていた原節子さんの演技力には圧倒されました。京大の学生達と野を走る奔放な娘時代、非国民と蔑まれる中で鍬をふるう姿、まるで別人でした 「目」に力があるんですよね・・・ 彼女の代表作「東京物語」も見なくては!

 

没後10年黒澤明特集 ~虎の尾を踏む男達~

2008年05月10日 | 映画鑑賞
虎の尾を踏む男達<普及版>

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 NHK・BS2で『虎の尾を踏む男達』を鑑賞しました。概要等はウィキペディアでご確認下さい。
 あらすじはこちらが詳しく記載されています。

 もろもろの制約の中で作られた本作品、それだからこそ、尚更黒澤監督の「映画魂」を感じさせてくれます それにしても、そうそうたるメンバーを集めたものです・・・エノケン、大河内伝次郎、岩井半四郎、志村喬、そして初期の黒澤映画に欠かせない藤田進・・・藤田さんの富樫左衛門ははまり役ですね!にま~と笑う、あの独特の笑顔が実に爽やかでした。
 そして、強力役のエノケン!最初から最後まで義経主従の周りを飛び跳ね、単調になりがちな画面に動きを出しています 特にラストシーンの跳び六法は、余韻の残る名演技だと思います。エノケンが演じる「豊臣秀吉」が見てみたいのですが、そんな映画ってないですかね?

 

没後10年黒澤明特集 ~続姿三四郎~

2008年05月08日 | 映画鑑賞
続・姿三四郎<普及版>

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 NHK・BS2で『続姿三四郎』を鑑賞しました。あらすじ等はこちらでご確認下さい。(ウィキペディアは執筆途上で、あらすじがありませんでした。)

 娯楽に飢えていた戦時中の人々にはたまらないプレゼントだったことでしょうね・・・って、昭和20年5月公開の映画ですが、見る余裕のあったのはどんな人でしょうかね?主要な都市は軒並み空襲にあっていた頃でしょ?上映館なんてあったのかしら・・・ それと、作中、アメリカ人のボクサーと試合をするシーンがあるのですが、そこにたくさんの西洋人が登場します。彼らはどこから集めたのでしょうか?全部同盟国ドイツやイタリアの方々でしょうか?それとも捕虜となっていた連合国兵士?まさかね・・・ さらに、ラストの対決シーンは極寒の志賀高原で撮られたそうですが、なんでわざわざという感がします。 役者さん達は、よく了承しましたね・・・
 ストーリー展開は二番煎じの感が否めませんが、そこかしこにほっとするようなユーモアがあって、決してつまらない作品ではないと思いました。ラストで檜垣兄弟が口にする「負けた」という言葉が、実に爽やかで、戦争末期の重苦しい空気の中でこれを見た人は、さぞ心が軽くなっただろうなと思いました。

没後10年黒澤明特集 ~姿三四郎~

2008年05月07日 | 映画鑑賞
姿三四郎<普及版>

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 NHK・BS2で『姿三四郎』を鑑賞しました。あらすじ等はウィキペディアで・・・あれ?あらすじは出ていないですね
 柔道家矢野正五郎に弟子入りした姿三四郎が、他の柔術家と試合を重ねる中で、人間的に成長するお話です。
 何と言っても、昭和18年、太平洋戦争中に作られた作品なので、フィルムの状態が尋常じゃなく悪い・・・しかも、上映時間短縮のためにはさみが入っていて、良さそうなところ(良い場面かどうか、見てないので本当のところは分からないですが・・・)がテロップの説明で終わりになっている・・・等々、「不完全」としかいいようのない状態の作品です。
 でも、面白かった これが黒澤監督の第1回監督作品なんですが、まあ最初から黒澤的な味付けが随所に見られて、「やっぱり、クロサワはうまいよな・・・」と唸ってしまいます。
 私的にヒットしたのは、三四郎が村井半助を見舞いに行き、そこで食事を馳走になっていた折も折、ライバルの檜垣源之助が上がり込んできたシーンですね。檜垣が一同を蛇のような目で見渡すと、三四郎、村井、小夜が「いやな奴に、イヤなところを見られた」とばかりに萎れていくんですよ。4人のそれぞれの心情が、見事に活写されています。主役・三四郎を演じたのは藤田進、ウルトラセブンの「ヤマオカ司令長官」の若き日の姿が見られるのも嬉しい作品です。

没後10年黒澤明特集 ~野良犬~

2008年05月06日 | 映画鑑賞
野良犬

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 NHK・BS2で『野良犬』を鑑賞しました。あらすじ等はウィキペディアでご確認下さい。

 冒頭、満員の路面電車において、スリに拳銃を盗られるシーンがあるのですが、ポケットに拳銃を入れたまま、電車に乗るか?普通?と突っ込みを入れてしまうのは、『仮面ライダーキバ』で突っ込みばかり入れているうちに悪い癖がついたようで・・・ 舞台は戦後のどさくさ期ですからね、そんなこともあり得たわけでしょう。拳銃を盗られたと上司に報告して「辞職します」と言っても、辞職願いを破って捨てて「自分で捜してこい」ですからね・・・ 最近の刑事もの、警察ものとは、別世界です。
 盗られたコルト拳銃によって、次々と被害者が出ることに悩む村上刑事を演じるのは三船敏郎。若い人には三船美佳の父親と言った方が分かりやすいですか 三船敏郎というと、軍人とか浪人役のイメージが強いのですが、この映画では若い刑事役を野太く演じています。正義感が強く、ややぶきっちょな生き様が、まさに「MIFUNE」という印象です。拳銃ブローカーを捜して町中を彷徨うシーンとかで彼の目が大写しされているのですが、ギラギラとした野性味を湛えていて、今の俳優にない力を感じました。
 踊り子の部屋にあったマッチ箱を手がかりにして志村喬演じる佐藤刑事が犯人を追うシーン、駅の待合室で村上刑事が犯人を捜すシーン、そして犯人遊佐と対峙するシーン、それらは今の観客が見てもハラハラドキドキするサスペンス効果を持っており、黒澤明の力量に今更ながら驚かされます。