ガエル記

本・映画備忘録と「思うこと」の記録

ドラマ『MAGI-天正遣欧少年使節-』予告編

2019-01-20 07:07:43 | 芸術
ドラマ『MAGI-天正遣欧少年使節-』予告編



あんまりおもしろいのでここでもう一度宣伝を。

野村周平主演の歴史ドラマ『MAGI -天正遣欧少年使節-』が全世界180超の国と地域で配信へ 吉川晃司は10年ぶりの織田信長役で登場


私は見始めてまだ3話までですが、思った以上の力作だと感じます。ともに観ていきましょう!



MAGI -天正遣欧少年使節 3話まで

2019-01-20 06:42:05 | ドラマ


17日よりAmazon Prime Videoで独占配信されている「MAGI -天正遣欧少年使節」 3話まで観ました。

正直言うと見つけただけの時は、そこまで面白くはないのではないかとも思っていました。ありきたりの粗筋を追っているだけじゃないのかと。
ところがこれが興味深い内容が次々と物語られていくのですね。一般のTV放送ではなくアマゾンプライムというネットドラマの強みもあるのでしょうか。

以下、思い切りネタバレですのでご注意ください。







まずは選ばれた四人の少年を極端に祭り上げておらず普通の少年であると描いたところですね。四人がそれぞれ個性があるのも惹きつけられます。主人公である伊藤マンショを演じる野村周平を私はほとんど知らなかったのですが(wikみたら中国クォーターとのことで急に注目するという)主役をやれる良い顔です。前回書きましたがマンショが過酷な生い立ちだったこともこのドラマを深くしていくと思います。単純にキリスト教を信じていない(という演出でしょうか)彼がどのように成長・変化していくかを見ていきたい、と思わせます。
史実でも伊東マンショたち少年が大友宗麟の名代としてローマへ馳せ参じたのではなくすべてイエズス会のヴァリニャーノたちの計画だったとされているようですが、その計画は「東洋の三賢人がキリストのもとへ集う」という伝説を現実にするためだったというのが面白いです。財政難だった彼らにとって教会からの義援金を引き出せる最も有効な神聖なる演出だったわけですね。
4人を連れていったのは過酷な長旅で一人くらいは死んでしまうだろうという計算だったというのも現実的です。神のご加護も計算に入っているのでしょうね。

そして織田信長の描き方にも注目です。信長を出してくるのは日本の歴史ドラマとして最も視聴率を稼げる駒であることは確かですが人気絶大なキャラであるがゆえに下手な演出をされると逆に失望してしまいます。
信長を演じるのは吉川晃司です。不埒な侍を切って捨てる場面やヴァリニャーノたちから献上されたヨーロッパのお洒落なマントや帽子を伊達に身に着けるのも様になっています。
そして信長のそばに控えるのが前髪立ちの美しい小姓たちだと描かれているのも他のドラマではあまり見られない納得のいく設定と場面でした。おかげでますますこのドラマ男性率が高くなっていきますが。
にほ宣教師たちがこれも信長に献上しようと連れてきた黒人の奴隷・弥助も登場します。ヴァリニャーノたちは黒い肌の者たちは私たちに仕えるために存在する、という言葉や宣教師たちの奴隷に対する仕打ちなどが描かれていることもこのドラマに意義を持たせます。

さらにマンショ達少年使節が乗り込んだ船には多数の日本人が運ばれていました。日本で身売りされ異国で奴隷となるのです。
少年4人の中でも千々石ミゲルはこのことに強い義憤を表します。
後にイエズス会への不信から棄教することとなるミゲルの片鱗が伺えます。

こうしたキリスト教・少年使節の闇の部分はもしかしたら他の媒体では表現することに躊躇があるのかもしれません。天正遣欧少年使節のドラマがこれまであまり描かれてこなかったのはそのあたりの困難さにあったのかとも思えます。

しかし歴史の闇に目を背けるのではなく見つめたうえで考えることは大切なことだと思います。
ドラマもまだまだ冒頭部分です。今後の少年たちの運命を見届けたいです。