むかし、むかし、ある所に正直者ですが、運の悪い男が住んでいました。朝から晩まで、働けど働けど、貧乏で運がありませんでした。
ある日のことです。男は、最後の手段として、飲まず食わずで、観音さまにお祈りしました。
すると、夕方暗くなった時、観音さまが目の前に現われ、こう言いました。
「あなたは、このお寺を出るとき、転がって何かをつかみます。それを持って西に行きなさい。」
確かに、男は、お寺を出ようとしたとき、石につまずいてスッテンと転び、何かをつかみました。それは、一本のわらでした。
「観音様がおっしゃった、始めにつかんだ物って、これの事かなあ? とても、これで何かが起こるとは思えないが」
男が首をひねりながら歩いていると、プーンと一匹のアブが飛んできました。
男は 「おや、おもちゃが飛んできた(笑)」 と、あぶをつかまえると、わらの先に縛りつけ、ぶんぶん飛ばしながら、また歩いて行きました。
町にやってくると、立派な牛車(ぎっしゃ)がやって来て、中に乗っている子どもが、わらの先のあぶを見て、「あのアブが、欲しいよう」「ああ、いいとも」
うれしそうな子供を見て、男は、あぶを結んだわらを子供にやりました。代わりに、家来のものが、男にミカンを三つくれました。
「わらしべが、ミカンになったな」
ミカンを三つ持って、男はさらに西に歩いて行きました。
しばらく行くと、娘さんが道端で苦しんでいるのを目にしました。水を欲しがっていたので、男はミカンをあげました。じきに、娘さんはよくなりました。代わりに、男は、きれいな絹の布をもらいました。
「今度は、ミカンが布になったな」
絹の布を持って、男はさらに西に歩いて行きました。
しばらく行くと、ウマが倒れて困っている男の人がいました。「どうしたのですか?」「ウマが病気で倒れてしまったのです。町に行って布と交換する予定だったのに。今日中に布を手に入れないと、困るのです」
「では、この布とウマを交換してあげましょうか?」 男の人は、大喜びで布を持って東の方へ行ってしまいました。
男が、夜通し馬の面倒を見てやると、馬は、たちまち元気になりました。よく見ると、大変立派なウマです。
「今度は布が、ウマになったな」
馬を連れて、男はさらに西に歩いて行きました。
城下町にやってくると、今度は引っ越しをしている家がありました。引っ越しのための運搬に困っていた長者さんが、馬を見てたいそう気に入りました。
「急に旅に出る事になってウマが必要なのじゃが、そのウマをわしの家や畑と交換してもらえないかね」
男は長者さんの家に招かれました。娘さんが、長者さんと男に、お茶を持ってきました。
何と、男がミカンをあげた娘さんでした。
長者さんは、不思議な縁と男のやさしさに心打たれ、娘を男に嫁がせることにしました。
男は、観音さまに言われたとおり、わら一本で長者になりました。
男はそれからというもの、生涯、わら一本をはじめ道具を粗末にすることはありませんでした。
村人からは、「わらしべ長者」と呼ばれました。めでたし、めでたし。
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この10日ほどのトラブルで、私はすっかりへこんでいた。
へこみはとっても大きかった。 けれど、すぐにどうなるものでもなく。
そんな私に 元気を出せ!と、ある方が助言を下さった。
そのメッセージの中に、「わらしべ長者」 があった。
やはり、できることから歩き出すしかないのですよね。
一つやったら、その結果から次の一つがまた動き出す。
少しずつ、少しずつ、前へ進んでいこうと思います。
W様 いつも見守って下さり、ありがとうございます。