レッスンに来なくなった枝美ちゃんを心配して家を訪ねたが…、呼び鈴を鳴らしても返事は無い。
実家に帰ったのかな?
帰り道、駅までの道のりを心配しながらトボトボと歩いていると、駅前の商店街の灯りの中から、同じようにトボトボと歩く人影を見つけて驚いた。
枝美ちゃんだ!
「枝美ちゃん!」
「あ、アンコちゃん!どうしたの?」
「最近レッスンに来ないでしょ。心配して来てみたの。どうしたの?大丈夫?」
「あ、とりあえずお茶しない?」
買い物途中らしい枝美ちゃんと、近くのカフェに入った。
枝美ちゃんの目の下のクマは、また戻ってきた。
「また、窶れたね…。」
「そう?」
「眠れないの?」
「うん。眠れない」
「あの…その…例の件は…?そのまま?」
"例の件"と言葉を濁したのは、枝美ちゃんがどのくらい"まりちゃん"に心酔しているかによって、どんな表現をしたらいいのかわからなくなっていた。だから、つい、言葉を濁した言い方になってしまっていた。
「例の件?…あ、まりちゃんのこと?」
「…うん」
「…それがね…困ってるの。」
急に声をひそめた。
「最近、姿を見せて来て…、私を引っ張るの」
「ひ、引っ張る?💦💦」