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物件 32

2021-12-01 08:38:55 | 日記
レッスンに来なくなった枝美ちゃんを心配して家を訪ねたが…、呼び鈴を鳴らしても返事は無い。

実家に帰ったのかな?

帰り道、駅までの道のりを心配しながらトボトボと歩いていると、駅前の商店街の灯りの中から、同じようにトボトボと歩く人影を見つけて驚いた。

枝美ちゃんだ!

「枝美ちゃん!」

「あ、アンコちゃん!どうしたの?」

「最近レッスンに来ないでしょ。心配して来てみたの。どうしたの?大丈夫?」

「あ、とりあえずお茶しない?」

買い物途中らしい枝美ちゃんと、近くのカフェに入った。

枝美ちゃんの目の下のクマは、また戻ってきた。

「また、窶れたね…。」

「そう?」

「眠れないの?」

「うん。眠れない」

「あの…その…例の件は…?そのまま?」

"例の件"と言葉を濁したのは、枝美ちゃんがどのくらい"まりちゃん"に心酔しているかによって、どんな表現をしたらいいのかわからなくなっていた。だから、つい、言葉を濁した言い方になってしまっていた。

「例の件?…あ、まりちゃんのこと?」

「…うん」

「…それがね…困ってるの。」

急に声をひそめた。

「最近、姿を見せて来て…、私を引っ張るの」

「ひ、引っ張る?💦💦」