続ストーカー55

2023-06-29 09:28:05 | 日記
その日、原田が来て、カメラを仕掛けてくれたことを、たけるにも話した。

たけるは、少し安心しながらも、もしかしたら七美が『坂元だったらどうしよう…』と思っていることを、察しているのだろう…。

「知らない人だといいね…」と、つぶやいた。

夜がやって来た。

たけると一緒に寝ることにしたのだが、気になって寝付けない。

たけるも頻繁に寝返りをうつ。

たけるも気になっているのかも知れない。

うとうと…としても、通路の微かな音でも覚醒していまう。



…コトン…。

…コトン…。

例の音だ…。

続ストーカー54

2023-06-25 08:48:00 | 日記
その日、夕方遅くに、原田が七美の家を訪れた。

そして、アパートの通路に面した台所の窓を念入りに見て、少し開けた。

「ここに、コレを置いてもいいかな?」

そして、小さなカメラのようなものを置いた。

「これ、昔、自宅の自転車を2度盗まれる事があってね。その時に、防犯の為にネットで買ったカメラなんだ。このカメラ、小さいし、見つかりにくいし、だけど、わりと画質がいいから犯人の顔がハッキリ映ると思うよ。」

確かに…、しっかり見ても気づかないほど小さい。

これなら、玄関先に現れて、謎の音を立てる犯人が映るかも知れない。

「まぁ、今夜来るかどうかわからないけど、とりあえずこれを仕掛けて、犯人を確認しようと思うんだ。坂元かも知れない…って、言ったけど、違ったら大変だしね。明日回収しに来るよ。」

「いろいろとありがとうございます」

「いいんだよ。だけど、本当に危険を感じたら110番するんだよ」

「はい。」

原田は心配そうな顔をしながら帰っていった。


続ストーカー53

2023-06-21 08:58:55 | 日記
通報する…という事に抵抗を感じる…。

本当に坂元だったらどうしよう…。

「明らかにストーカー行為なワケだから、仕方ないよ。」

しかし、原田の毅然とした言葉に背中を押された。

「…そうですね…。次に何かあったら通報します。」

「ところで、それがあったのは、昨日?」

「はい。一昨日も、もしかしたら、同じ人だと思います。」

「火曜日と水曜日か…。実は火曜日と水曜日は、坂元は会社を休んでいるらしいんだ。」

「今日は?」

「今日も休んでる」

「それじゃ…、もしかしたら…」

「うん。今夜も来るかも」

「…どうしよう…」

「今日、仕事終わりにお邪魔してもいいかな?」

「…え?あ、はい。」


続ストーカー52

2023-06-17 09:28:53 | 日記
玄関先に居たのは、坂元に違いない…。

私を怖がらせて、フラれた復讐?

その日は、朝まで一睡も出来ずに過ごした。


「実は…ちょっと怖いことが起きているんです。」

思いきって原田に相談した。

「それは…もしかしたら坂元かも知れないな…」

「確かに誰かが玄関先に居る…とわかったら怖くて…、警察に通報しようと思いました」

「坂元かどうかハッキリしないワケだし、通報した方がいいよ」

「はい…。だけど、本当に坂元さんだったら…仕事がしにくくなりそうで……」

「…だけど、明らかにストーカー行為なワケだから、仕方ないよ。」

「…そうですね…。次に何かあったら通報します。」

続ストーカー51

2023-06-13 11:33:31 | 日記
扉を叩く音は弱まった。

微かに香水の香りがする。

坂元…?

この香水…たぶん、坂元だ。


ドンッと開ける勇気があれば…。

そんな勇気はない…。


やっぱり警察に電話しよう…。

そう思ってスマホを手にしたとたん、コトコトコト…。

遠ざかるような足音が聞こえてきた。

耳を澄ますと、息づかいは消えた。

去ったようだ。