子供の頃の不思議体験 5

2019-11-30 05:29:21 | 日記
どちらともなく悲鳴を上げて、私達は洋館を飛び出した。

どこをどう走ったのか、私は佳代ちゃんに着いていくのか精一杯だった。

「もう大丈夫…!」

しばらくすると、佳代ちゃんが石垣に座った。

「ここって、よく通る場所だ…。なんであの家に気づかなかったんだろう…。」

確かに洋館そのものの出で立ちは、田舎の町には似合わず、目立つ。

「たくさん走ったから、あの家から、ずいぶん離れたと思うよ。ここからはあの家、見えないし…」

確かに、振り返ると洋館の姿は見えない。

「ううん…、あの家から出てすぐに、もう見覚えのある景色だったの…。知ってる場所のハズなんだけど…。」

プチ探偵団隊長の佳代ちゃんは、顎に手を当てて考え込んだ。

「…だけど、怖かったね…💦あの音、何だろう?」

「音?」

「聞こえてなかった?『ゴソッ』って」

「聞こえてない」

「じゃ佳代ちゃんは、なんで逃げてきたの?」

「誰かが私の背中に触ったから」

「え?触った?私、触ってないよ」

「うん。わかってる。だから逃げたの」

私は言葉が出ないほど鳥肌がたった。

私達は、洋館に入ったことを後悔した。

つづく。。。


子供の頃の不思議体験 4

2019-11-29 08:04:50 | 日記
「ここまで来たんだから、もうちょっと中まで入ろうよ!」

佳代ちゃんの勇気には底知れないものを感じました。

本当に怖いもの知らずです。

狭い廊下の奥はさらに薄暗く、何か未知の世界へ繋がっていそうな雰囲気です。

気のせいなのか、廊下の奥をもやもやと薄暗くしている煙みたいな物が動いているように見えてくる。

もう、無理。

「帰ろう…❗」

私の好奇心も限界で、未知の誰かに聞かれないように、消え入りそうな声でつぶやいた。

すると、吹き抜け付近から、

“ゴソッ”

と長靴を履いた足を引きずるような音がした。

いや、吹き抜けじゃない…、さっき樟脳のにおいがあって人の気配を感じた階段の踊り場付近からだ。

つづく。。。


子供の頃の不思議体験 3

2019-11-28 07:17:33 | 日記
玄関を開けると、映画にあるような、エントランスがあり、目の前には広い階段があるような…なんて、お屋敷みたいなものを想像しますよね。

実際はそんな豪華なイメージではなく、外観だけが洋館で、中は和洋折衷のこぢんまりした雰囲気でした。

内装はそれほど荒らされてはいませんでしたが、埃がたくさん積もり、もう何年も人が住んでない感じではありました。

「やっぱり、誰もいないね」

佳代ちゃんの声が響きます。

高い吹き抜けのある狭い玄関の先には、奥行きのある狭い廊下があり、その横にしっかりとした手すりの付いた階段がありました。

暗くかび臭く、しんと静まり返って、自分たちの少し怯えた吐息が玄関吹き抜けに響きます。

「奥、行ってみる?」

勇敢な佳代ちゃんは、既に一歩廊下の奥へ踏み出そうとしていました。

「やめとこう!」

私は、不安と違和感を感じて、これ以上先に進むことは出来ません。

「ここに階段がある…」

さらに一歩踏み出した佳代ちゃんは、2階を見上げていた。

「ね、もう、やめとこう!」

怖じ気づいた…というのか、私はもう、一歩も先に進めませんでした。

…というのも、二階の踊り場から見下ろされるような視線を感じたのと、急ににおいが変わったからなんです。
今までの埃くさいにおいから、古い衣類のにおい…というか、樟脳(しょうのう)のようなにおいに変わったのです。

樟脳(しょうのう)って知ってますか?
昔の人が良く使った衣類の防虫剤です。
私のおじいちゃんが着ていた着物から、時々そんなにおいがしたものです。

…なので、そのにおいから、人の気配を感じたのです。

つづく。。。

子供の頃の不思議体験 2

2019-11-27 06:47:33 | 日記
「ね、入ってみない?」

いいだしっぺは、佳代ちゃんです。
佳代ちゃんは、私以上に好奇心旺盛です。

「誰か住んでるんじゃない?叱られるよ」

あきらかに廃墟だと思える状態だけど、好奇心旺盛な私でも、勝手に誰かの家になんて入れません。

「大丈夫だよ。カーテンボロボロだし、窓は割れてるし、人がいるワケないよ」

話し終る前に、佳代ちゃんは、洋館に向かって歩き出した。

いつになく勇敢な佳代ちゃんです。

私は、躊躇なく進む勇敢な佳代ちゃんの後を追った。

正直私も、“不思議な事や謎を解明する探偵団❗”の仲間達に手柄話しの一つも持ち帰りたくて、洋館に入ってみたくなっていた。

洋館のイメージのワリにはこぢんまりとした玄関。

玄関の扉は少し開いていた。

肝試しやらなんやらで、もう既にたくさんの猛者がここを訪れたんでしょう。
壁には落書きもされている。

カーテンは破れて、窓のさんには埃がつもり、今の私ならちょっと怖じ気づく様な風景です。

とりあえず、人は住んで無い感じです。


まるで、オカルト映画のワンシーンみたいに、

あっさりと玄関は開きました。

つづく。。。


子供の頃の不思議体験

2019-11-26 06:00:49 | 日記
「ブログ楽しみにしてるよ~🎵」な~んて言われると、いろいろ張り切っちゃいますね☀️

「次、何書こうかな?」と思ったとき、ふっと思い付いた子供の頃の不思議体験を載せてみたいと思います。

実は、11年前に、もうひとつのブログの方で書いたものなのですが、もう少し丁寧に思い出して書いてみたいと思います!



小学校3年生の頃だったと思います…。

その日は、クラスで一番仲良しの佳代ちゃんちに遊びに行く予定でした。

佳代ちゃんちは、私ん家とは学校を挟んで反対側。

道草が大好きな私は、学校の反対側もテリトリーではありました。

佳代ちゃんは、 『こっちが近道なの!』と…、私的なはテリトリーから少し外れた裏道をどんどん入って行きました。
まぁ、まだまだ、大丈夫❗テリトリーの範囲が少し広がった程度。

『あれ?』

佳代ちゃんが不思議そうに見上げました。

それは、廃墟みたいな古い洋館。

『こんなところに、こんな家あったかな?』


当時、子供達だけで、

“不思議な事や謎を解明する探偵団❗”

な~んて面白い仲間達がいて、

私達二人もそのメンバー(?)でした。

子供って、こういうの大好きですよね!

こういう好奇心が子供を成長させるんでしょうね。

当時流行ったこっくりさんの解明をしようとしたり、

幽霊が出ると噂される廃墟に行って来た❗なんて武勇伝で盛り上がったり。

(今だと、いろいろ問題ありで、咎められるかも知れませんね)

つづく。。。