ストーカー30

「これって、○○さん？」

マイさんは、コミュニティ掲示板に、どう見てもストーカー行為にしか見えない画像をあげた。

そして、もう一枚、改札を通った男性を追うその女性の画像。

『彼と待ち合わせしてたの～』とは言い訳出来ない。

もちろんハルキ君の顔はぼかし加工。しかし、ストーカー2の顔にはぼかしは入れていない。

つばの深い帽子をかぶり、探偵のように分かりにくい出で立ちをしているから、ハッキリと顔は確認出来ない。だけど、本人はわかる。

ネット上のコミュニティだから、ストーカー2の顔を知る人はいないはず。

だから、そんな画像を上げても、本人が否定しない限り、誰もわからないはず。

ストーカー29

ストーカー2お気に入りコミュニティで、さらに新しいIDを手に入れると、マイさんは、ある画像をUPした。

そのある画像とは、ハルキ君が帰るのを駅で待つストーカー2の姿。

マイさんは、あえてストーカー2のストーカーのように、彼女を駅で待って、写真を撮ったのだ。

「これって、○○さん？」

画像にコメントを載せた。

その画像の中のストーカー2は、少し様子がおかしい。

駅の壁の陰に隠れて、身を乗り出して改札を覗き込んでいる。

どこからどう見ても、ストーカー行為だ。

さて、彼女はどう出てくるのか…。

ストーカー28

「素敵！」

「うらやましい！」

ストーカー2のお気に入りのコミュニティの掲示板で、見知らぬ人を巻き込んで、『彼氏自慢』がはじまった。

「いつも私のことを一番に考えてくれているの」

妄想彼氏だから想像もどんどんエスカレートしていって決して謙遜をしない。

「ハルくんは、今は会社員だけど、将来は独立したい…って言ってて…」

"ハルくん"とは、まさにハルキ君のことだ。

そのあとマイさんは、掲示板に書き込むことをせずに、見守った。

すると、ひとしきり"ハルくん"の自慢話に盛り上がって、ストーカー2はかなり満足げだ。

そして、マイさんは、そのコミュニティで、もうひとつ新しいIDを取得した。

ストーカー27

マイさんの攻撃とは、こんな感じではじまった。

ストーカー2のお気に入りのコミュニティで仮のlDを取得すると、さりげなくストーカー2に接触した。

「○○さん、彼氏いるんですか～？」

「いますよ～！」

「どんな彼氏なんですか？」

「とっても優しいです」

リアル彼氏じゃなく、妄想彼氏だから『謙遜しないんだ…』と、思ったそうです。

そして、これは、コミュニティの中の掲示板でのやりとり…。

「うらやましい！」

…と、コメントしたのは、別の人。

マイさんがやりとりしている文章を見ていた人が入ってきた。

「いつも気遣いがある人で勉強家なの」

「素敵⭐」

また、新しい人がコメントした。

マイさんが仕掛けたストーカー2の妄想彼氏の話題で盛り上がってきた。

マイさんは、静かに見守ることに。

ストーカー26

ストーカー2のストーカーをどうやってやめさせるんだろう…。

マイさんは、ストーカー2のお気に入りのコミュニティを何度も訪ねて彼女の様子を見る。

そして、そのコミュニティにうまく入り込んだ。

だけど、何もしない。

黙って見ているだけ。

それとは別にマイさんは、時々ハルキ君の最寄り駅にも行っていた。

何をしようとしているんだろう…。

しばらくして、マイさんの攻撃がはじまった。