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君は誰? 98

2025-08-24 08:10:34 | 日記
用務員室へ脇目も降らず足早に入っていった正人は、部屋の更に奥のカーテンのかかった場所で立ち止まると、そのカーテンを勢い良く開いた。

そこには、ダンボールで囲い、グルグルとガムテープで巻き付けた物があった。

正人は、そのガムテープをバリバリと無造作に解いた。

「おい、大丈夫か?」

「……。」

「勝手にそんなことして…。やめろ。」

「……。」

正人は聞く耳をもたず、ガムテープを解いて行く。

厳重に巻き付けられたガムテープは、"何か"を必死に隠したのか、もしくは封印したのか…とさえ思った。



君は誰? 97

2025-08-20 08:48:52 | 日記
正人は、直樹の制止を振り切ってどんどんと、音のする方へ向かう。

「ガッシャ~ン!」

再び大きな音がした。
さっきより音は大きい。

正人の足は止まらない。それどころか、早足になっている。

「正人!!」

ピクリともしない。聞こえていないかのようだ。

音に導かれて向かった場所は、用務員室だ。

例の鏡の扉を開ける鍵が保存されていた場所だ。

君は誰? 96

2025-08-16 10:00:05 | 日記
「がっしゃ~ん!!」

帰ろうとした二人だが、後ろの方向から、何かが割れる音がした。

「何だろう…。」

正人は積極的に音のする方向に向かった。

「おい、もう、帰ろう」

理由は無いが、直樹には、何かイヤな予感がしていた。

聞こえているのかどうか、正人はどんどんと音のする方へ歩いて行く。

明るいうちに入って来た廃学校だが、天気が曇ったのと、徐々に日が暮れてきていて、薄暗くなってきていた。

「おい!」

正人は、どんどんと歩く。

「正人!」

本来なら、「大丈夫だよ!」といたずらっぽい顔で言い返すハズだが、返事がない…。

様子がおかしい…。

「正人!」

直樹は正人の腕を掴もうとした…が、スルリとかわして、足早に音のする方向へ向かう。

まずい…。

理由はわからないが、直樹は、鳥肌が止まらなかった。


君は誰? 95 

2025-08-13 09:28:36 | 日記
階段踊り場の鏡は取り外されていた。

「割れたのかな?」

「これだけ荒らされていたら、そんな事もあるんだろうな…。」

二人は、起きている現象何もかも、『鏡が原因』ではないか…と、無意識に思っていた。

「松田は、たぶん、どこかへ引っ越して、元気に過ごしてるよ。」

「うん。そうだな…。」

「もう、帰ろう」

二人はこれ以上探していても、松田に関する"何か"はおそらく見つからない気がした。

いつもの教室のガラスが割られたベランダに向かった。

「がっしゃ~ん!!」

向かう後ろから、大きな割れる音がした。

君は誰? 94

2025-08-09 09:42:17 | 日記
二人はまた、廃学校へ向かうことに。

キャンプ場から続く道なき道を下山する。

まだ、日も高く、辺りは明るい。

明るいせいもあって、今まで不気味な雰囲気だった廃学校は、あまり怖さを感じなかった。

二人はまっすぐ例の鏡のある階段に向かった。

「え?」

かつては、荒れていた階段途中の踊場はきれいに掃除され、例の鏡は無かった。

鏡には封印されたかのような扉や鍵まで付いていたのに、取り外されたのか、形跡すら無かった。

「誰か、鏡を外したんだね…」

「うん…。だけどさ、この鏡以外は荒れ放題でそのままなのに、なんで鏡だけ…?」

「…そうだよな…。」