浮気 55

2022-08-31 09:18:52 | 日記
「いらないかも知れないけど、お土産!」

笑子がどんな気持ちで過ごしていたかも知らず、勇一はお気楽にお土産を差し出した。

「ありがとう。」

とりあえず受け取ったが、次に続ける言葉が無い。

「嬉しくないよね…。大阪出張は、笑子も行ってるしね…」

「……」

「…ご、こめんね。」

「……何に謝ったの?」

「え?」

「お土産、いらなかっただろうに…ってこと?それとも……」

「あ、いらなかったかな…って…」

「そう……」

「元気ないね。どうしたの?」

「……もう、会うのやめよう。」

「……?」

「どうして、私と無理に会うの?」

「無理に…って、どうしてそんなこと…」

「私なんかよりも、もっと会っていたい人がいるでしょ

「………」

勇一は黙ってしまった。



浮気 54

2022-08-30 10:02:16 | 日記
出張で出来ないから…と、

急遽、誕生日を祝ってくれた勇一が優しいと思ってしまった。

だけど、結局、その誕生日を繰り上げてでも行かなければならない出張は莉沙と行くらしい…。

莉沙が無理やり予定を変えてまで。。。

自分の方から別れ話をしておけば良かった。

そうすれば、悔しさも半減していたかも知れない。

次こそ別れを告げよう。



「明日、会える?」

しばらくして、勇一からLINEがきた。

出張から帰ってきたんだろう…。

会いたくもないが、今度こそ別れ話をしなければならない。

会うことにした。



浮気 53

2022-08-29 09:36:10 | 日記
思いがけず2日続けて会って、思いがけず、急遽誕生日を祝ってもらった。

別れ話をするつもりだったが、言い出せずに帰ってきた。




「どうなってますか?

好奇心の塊のれみが興味津々で笑子の恋愛状況を聞いてくる。

「まだ、別れないんですか?」

「…タイミングを探ってるのよ」

れみは、どうやらすべて知ってるようなので、浮気をしている勇一と別れずにいる笑子が不思議でたまらない様子だ。

「タイミング?」

「大阪出張だから、帰ったら話を切りだそうと思ってる…」

「大阪?…それって、二人出張の話しですよね。…最初私に振られた話しだったんだけど、莉沙が『私が行きます』って、名乗りを挙げたんですよ…。…と、いうことは、莉沙と一緒…ってこと?」

…そういうことだったんだ…。

そんなに一緒にいたいのか…。

悲しみがじわじわと湧いてきた。



浮気 52

2022-08-28 09:34:43 | 日記
「急だけど、今日会える?」

翌日、再びLINEが来た。

会った翌日にLINEが来るなんて、付き合った頃以来のことだ。

なんだか嫌な予感。

少なくとも、あまりいい話しでは無いだろう。

それとも、敵陣視察に来た莉沙が勇一に指図をしたのか…。

笑子自身も、そろそろ限界だった。

今日、別れ話をしよう。



「急にごめん」

満面の笑みで迎える勇一。

「来週の笑子の誕生日なのに、出張になっちゃったんだ」

「え?」

すっかり別れ話だと思い込んでいた笑子は、拍子抜けをした。

「大阪は始めてじゃないから構わないんだけど、一週間くらいになるから、笑子の誕生日には間に合わないなぁ…と、思って。」

「……」

「誕生日の代わりに、今日も一緒にごはんしよう。」

「……。」

「…どうしたの?」

別れ話かと思って来たから、戸惑った。




浮気 51

2022-08-27 09:22:27 | 日記
最近は、莉沙が笑子を避けているのがわかる。

一時期は、しつこいくらい付きまとっていたのに、最近は目も合わせない。

むしろ気が楽だ。



「となり、いいですか?」

ところが、突然、ランチタイムに向かい側に座った。

「なんか…久しぶりね」

少し嫌みを言ってみた。

「先輩、彼と別れたんですか?」

「え?」

よく言う…。

聞かなくてもわかっているだろうに…。

それとも、私の気持ちを確かめに来た?

「別れてないけど…

まだ…と、云い掛けてやめた。


「それを聞いて、どうするの?」

「いえ、最近一緒にいるところを見ないなぁ…と、思って」

「え?そんなに私たちに関心があるの?」

嫌みを云ってやった。

「関心とか…無いですよ」

「別れる予定も、今のところ無いし…!」

「……」

先制パンチだったかな?…莉沙は黙ってしまった。