旅館47

2024-01-30 09:31:14 | 日記
「旅館のオープン前に草刈りをしたけど、こんな奥の方まではしてなかったよね…」

自分たちの背丈ほどの雑草をかき分けて、山沿いに向かった。

夕方近くになっても、夏はまだ明るい。
しかし、雑草のせいで薄暗い。

「あったー!」

しばらく探すと、山沿いにひっそりとある薄暗い穴を見つけた。

徹弥を先頭に荒れた防空壕に足を踏み入れた。

パリパリ…と、何か乾いたものを踏む足音と、ピタン…ピタン…と、奥からは、水滴の垂れる音。

思ったより深く、懐中電灯を持ってくるのを忘れたことを後悔した。

旅館46

2024-01-27 07:58:33 | 日記

「あっ!!」

その日の夕方、帰り支度をしていると、夕美が突然叫んだ。

「どうしたの?」

「おじいちゃん、防空壕があるって言ってた。この箱の話しをした時に、防空壕の話しが出てきて…」

「白い箱…、そこにあるかもだな。」

「防空壕って、裏山とかにありそうだよね」


3人は、早速その足で、旅館の裏手にある山に向かった。

旅館45

2024-01-23 11:53:59 | 日記
「開ける?!…だ、大丈夫なの?」

「わからない…。」

「それよりも、その箱って開くの?」

「開くって言ってた。寄せ木細工だとか…」

「寄せ木?」

「からくり箱みたいなものらしい。からくりを解くと鍵穴が出てくるんだって」

「鍵穴をみつけたとして…、鍵なんて…どこにあるの?」

「白い箱を見つけたら、また衣栄ばあちゃんに聞いてみる」


旅館44

2024-01-20 09:36:52 | 日記
徹弥が衣栄ばあちゃんの話しを聞いてきた。

衣栄ばあちゃんは、箱に"何か"を封じ込めた祈祷師の事をよく知ってるらしい。

「…で、何が入ってるの?」

「何を閉じ込めたのかまではわからない…って。」

「生きてるもの?」

「え?息が出来なくて死んじゃうよ」

「だけど、カタカタ…って」

「あれは、幹太が振ったからだよ」

「…そうか…」

「まずは、白い箱見つけないと…」

「…で、見つけたらどうするの?」

「開けるんだって」

「開ける?!…だ、大丈夫なの?」

「わからない…。」

旅館43

2024-01-16 10:04:36 | 日記
入院した幹太は、面会謝絶は解けたものの、うつらうつらと寝ている事が多く、会話が出来ない状態が続いていた。


しばらくすると、やっと衣栄おばあちゃんとのコミュニケーションが取れた徹弥が『箱』の謎を聞いてきた。

「衣栄ばあちゃんの話しだと、例の箱は、もう一つあるらしいんだ。白い箱で、何かを閉じ込めたらしい。」

「何かって?」

「衣栄ばあちゃん、その祈祷師の事をよく知ってたし、その呪術?の事も知ってた。」