ヒトコワ34

しばらく、宮本さんの姿を見ない…。

心配になった安子は、大家さんに聞いてみた。

「あ～、宮本さんね～、何だか具合が悪くなったとか…で、入院したらしいんだけど…、その後、実家に帰ったみたいだよ」

安子は、ドキッとした…。

もしかして、宮本さんが出す音に報復として河合さんが発していた音が、彼女病気にしてしまったのだろうか…と。

「具合が悪い…って、深刻なんですか？」

「いやいや、もともと病気を持っていたらしいよ。たまたま悪化したらしくてね～」

詳しい病名は聞けなかった…。

結局、宮本さんは引っ越しをした。

それを河合さんにも伝えた。

それを聞いた河合さんも、「やり過ぎたかな…」とつぶやいていたが…。

とりあえずの安子の生活に平和は戻って来た。

ヒトコワ33

その「キリキリ」「キーキー」は、数日続いた。

もちろん河合さんが率先して「キーキー」を発することはありません。

宮本さんの「キリキリ」が始まると、そのアンサーとして、「キーキー」をお見舞いするワケです。

ある日突然、「キリキリ」は止んで、静かな夜が戻りました。

それから何日も、何事もなく過ぎる…。

それどころか、宮本さんの家からの生活音がしない。

…どうしたんだろう…。

そう思いながらも、宮本さんの存在を確認せずに過ごしていた。

ヒトコワ32

河合さんの、宮本さんが発する嫌な音のキリキリ音対策とは。。。

人間が想像出来る嫌な音の代表とは、黒板を引っ掻く音…らしいです。

その日、河合さんはホームセンターから黒板などを購入して、宮本さんが『キリキリ』を発するのを待ったと言います。

深夜遅くに、「キリキリ…キリキリ…」と鳴り出した。

すると、河合さんは、宮本さんの部屋側に黒板を配置して、スプーンなどで引っ掻いたそうです。

確かに…深夜遅くの事なので、安子にもうっすらと、「キリキリ」も「キーキー」も聞こえた気がした。

ヒトコワ31

例のポストを覗くやつ…すでに河合さんは被害を受けているようだ。

ある時、スーパーで河合さんと偶然会った。

「ね、この辺にホームセンターはあります？」

「あ、駅の近くにありますよ。」

…なんと、河合さんは、ホームセンターから小さな黒板を買ってきた。

…そうです。

宮本さんのキリキリ…対策です。