goo blog サービス終了のお知らせ 

たわいもない話

かくすればかくなるものと知りながらやむにやまれぬ大和魂

砂電車の冒険 (15)

2009年01月07日 18時03分56秒 | 砂電車の冒険
砂 電 車 の 冒 険  ( 2-4)

荷物の置いてある高台に着いた陽朗さんは、奈美ちゃんを青いシートに座らせ服の砂を“ポンポン”はたきますが、濡れた砂は服にへばりつき落ちません。
「ママ、子供たちの着替え持ってきている?」
陽朗さんは砂千子さんを振り返りながら尋ねました。
「パパ、エステマに載せたままなの!」
「ママ、パパが取ってくるから子供たちを頼むよ!」
「パパ、ポリタンクに水も汲んできてね」
陽朗さんは道の駅に停めたエステマに向かうと、右手に重そうなポリタンク、左手に服の入ったバック提げて帰ってきました。
「ママ、持ってきたよ!」
陽朗さんはポチタンクを砂の上におくと、バックを砂千子さんに渡しました。
「奈美、こっちにおいで!」
砂千子さんが奈美ちゃんの服を脱がせると、陽朗さんはポリタンクの水を奈美ちゃんの頭から“そ~と”かけました。
「ワ~、冷たい」
奈美ちゃんは小さな体を小刻みに震わせました。
「奈美、寒い?」
陽朗さんは奈美ちゃんの体をバスタオルで拭くと、花柄の服に着替えさせています。
その間に砂千子さんは、砂まみれになった渚君と海人君の服を脱がせました。
奈美ちゃんの服を着せ終えた陽朗さんは、再びポリタンクを持つと
「渚も洗ってあげるからここにおいで!」
陽朗さんは砂で白くなった、渚君の肩から水をかけ、砂を洗い流しました。
「つぎ、海人おいで!」
陽朗さんは中腰になった海人君の頭に、かるく手をのせ
「海人、砂電車を踏んでしまってゴメン!」
そう言うと、砂電車をつくっていた浜辺を見つめました。
高台から眺める日本海は、今までの出来事がまるで嘘のように、波は美しい波紋を描いて押し寄せていました。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする