たわいもない話

かくすればかくなるものと知りながらやむにやまれぬ大和魂

砂電車の冒険 (6)

2010年06月12日 12時49分06秒 | 砂電車の冒険
砂 電 車 の 冒 険  ( 1-6)

カーテン越しに春のやわらかな陽ざしが、海人君の顔に降り注いでいます。

“パッ”と飛び起きた海人君が二階の窓を開け外を眺めると、空は青く晴れ渡り、頬を流れる風は少し肌寒ささへ感じさせます。

「ママ、おはよう!」

海人君がキッチンに降りると、砂千子さんはお弁当づくりをしています。

「今日はよく晴れそうよ!よかったわね~」

砂千子さんは“ニッコリ”と海人君を振りかえり

「パパと奈美は潮干狩りに行く準備をしているわよ!」

海人君が大急ぎで着替えを済ませ外に出ると、陽朗さんは愛車の白いハイブリッドカー(トヨタ・エステマ)に、黄色なパラソル、青色のシート、クーラーボックスなどを積み込んでいます。

「パパ、バケツとスコップ持ってきたわよ!」

奈美ちゃんは潮干狩りの道具を陽朗さんに渡しています。

「パパ、僕もお手伝いしようか?」

海人君が声をかけると

「ママに車に載せるもの、残っていないか聞いて」

海人君はキッチンに引き返しました。

「ママ、車に載せる荷物は残ってない?」

砂千子さんは居間のバッグを指さしながら

「そのバッグに着替えが入れてあるから載せておいて!」

海人君はバッグをエステマに運びました。

「パパ、これも載せておいて!」

陽朗さんはバッグをエステマの荷台に載せると、ドアーを“バシー”と閉めました。

「荷物の積み込み、完了」

陽朗さんは海人君と奈美ちゃんを振り返ると、いつくしむように見つめました。

朝のあわただしい時間はまたたく間に過ぎ、大海さん一家がエステマに乗り込もうとすると

「ワンワン。ワンワン」

愛犬チロが、リードが引きちぎれんばかりの勢いでエステマに向かって吠えはじめました。


作 嵯 峨 風 流  絵 高 那 ひ つ じ

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