ふせちゃんのブログ

布施隆宏 公式ブログ。 鉄道写真 風景写真 ジオラマ制作など 趣味の世界を紹介します。

双頭レール

2022-05-13 00:00:01 | ローカル鉄道写真
 こちらの写真は、栃木県日光市の あしおトロッコ館(古河足尾歴史館内)に収蔵する 双頭レール です。
 150年前の明治5年に開業した、新橋-横浜間 で使われていたものです。 双頭レールは、摩耗したらひっくり返して再利用できるとして採用されたレールです。 実際には 斜めに摩耗してしまうので、反転させると座りが悪く、使い物になりませんでした。
 なので、開業からわずか5年で すべて撤去されています。

 撤去されたレールは建築資材に転用され、中でも、米子駅のホームの屋根の骨組みとして現存している事が知られています。




 こちらの写真は、リニア・鉄道館 で撮影したものです。

 新橋-横浜間の鉄路の3分の1が海に建設されました。 高輪周辺には 西郷隆盛 ら薩摩藩の武家屋敷があり、のちに海軍の所有地になるのですが、西郷隆盛は鉄道建設よりも軍隊の強化を重視し、鉄道建設用地を提供しませんでした。
 仕方なく、海に築堤を造る事になりました。

 10月14日は 鉄道記念日 ですが、その4か月前に 品川-横浜間が営業運転を開始しています。 築堤建設に時間がかかった為か、品川駅からの暫定開業になりました。
 10月14日は 全線開業の記念日で、明治天皇をはじめ、時の要職者が記念列車に乗車しています。 営業運転は 15日からで、貨物扱いは翌年から始まっています。

 「鉄道とは、町と町を結ぶもの」という印象がありますが、日本で最初の鉄道は 少し意味合いが異なります。 「国際港の横浜港と東京都心を直結するもの」と考えるのが妥当です。
 現に、当時の駅舎と税関は街中ではなく埠頭にあり、貨物線路は船に横付けする位置に存在していました。
 海外から訪れた来賓客は横浜港に降り立ち、列車に乗車して東京都心へと向かいます。 彼らに鉄道を見せる事で、「日本の文明は決して欧米に引けを取るものではありません。」と、アピールしたかったのでしょう。
 大航海時代以来、アジア、アフリカ、南米は長い間 白人種によって支配 されていました。 その脅威にさらされていた 明治政府は必死だったのです。 そんな想いを、この双頭レールから 感じとって頂けたらと・・・。

 ちなみに、日本の線路幅が グローバルスタンダードの 1435mmではなく、1067mmの狭軌になった理由は、イギリスが植民地にしていたインド で 双頭レールの軌道を使っていたので、イギリス人技師がそれを転用させた説が有力です。





 こちらの写真は、新津鉄道資料館 で撮影したものです。 双頭レールは 新橋-横浜(港)間のほか、明治7年開業の 大阪-神戸(港)間でも使われています。 それらの転用品と思われますが、新潟県内の石油関連施設でも 双頭レールが使われていました。
 新潟県は天然ガスのほか、石油も産出しています。 新潟の石油関連の記事は後日投稿します。。。



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