ふせちゃんのブログ

布施隆宏 公式ブログ。 鉄道写真 風景写真 ジオラマ制作など 趣味の世界を紹介します。

わたらせ鉄道 イルミ最終日

2012-02-29 23:53:06 | わたらせ渓谷鉄道
 わたらせ渓谷鐵道 の イルミネーションイベントが 本日終了しました。

 沢入駅 下り 725D。  階段を中心に雪かきをして、ついでに 雪景色をパチリ。
 



 昼過ぎまで降り続いた雪は 弱い雨に変わりましたが、約10cmの積雪が イルミネーションの色彩を引きたてています。


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DVD わてつ四季の旅 トレーラー

2012-02-26 09:34:47 | 自主制作 写真集・DVD

 わたらせ渓谷鐵道 様 公式ホームページに掲載中の動画が、3月1日より 「 春編 」 に更新されます。 下記 YouTube にて、一足先に紹介致します。

 なお、近日 群馬県庁 マルチビジョンにて、DVD 「 わてつ四季の旅 」 が 約1カ月間 放映される事になっています。

   YouTube 「 わてつ四季の旅 」 トレーラー 春編

   YouTube 「 わてつ四季の旅 」 トレーラー 冬編

   YouTube 「 わてつ四季の旅 」 トレーラー 秋編

   YouTube 「 わてつ四季の旅 」 プロモーションビデオ


  【 撮影者プロフィール 】 布施 隆宏 ( ふせ たかひろ )
1961年 群馬県前橋市生まれ。 県立玉村高等学校卒業。 中央工学校 機械設計課卒業。
会社勤務のかたわら、写真集 「 わたらせ渓谷鉄道 」 ( 山と渓谷社 )、「 西上州の山 」 ( 上毛新聞社 ) を出版。
現在は関東近県の “ 鉄道のある風景 ” を追う一方で、西上州の風景撮影を行なっている。 < 群馬県高崎市在住 >


         DVD 「 わてつ四季の旅 」 ( 税込 1500円 )

お求めは、有限会社 nanimo  info@nanimo.jp  電話 042-390-2360

取り扱い店は、わたらせ渓谷鐵道様、国民宿舎サンレイク草木様、足尾歴史館様、水沼駅温泉センター様、さんしょう屋(足尾町)様、ならぶ商店(足尾町)様、足尾町観光協会様ほか、沿線の観光施設、アマゾン等のネット販売、大手DVD専門店などです。



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フォトエッセイ 心も踊る 魅惑の宵

2012-02-23 01:34:42 | 伝えたいもの

    < 2007年に掲載の フォトエッセイを 加筆・修正し、最掲載しています >

     

              ダンスパーティーの会場になった、ホテル ヘリテイジ。
              屋外のイベントもできる広い庭が 高級感を表しています。



          フォトエッセイ  写真家の見た風景
            ― 第十三話 ―  心も踊る 魅惑の宵

 あるとき私はダンスパーティー会場にいました。 ワクワク、ドキドキ。 初めての体験です! ・・・ って、私がダンスを踊るわけではありませんでしたー。
 私は行きつけの写真店の店主に誘われ、ダンスパーティーの撮影の お手伝いに行くことになりました。 ダンススクールのPRを兼ねた写真集を製作する依頼が入ったとの事で、面白そうだったので、参加させてもらいました。

 リハーサル現場の張り詰めた空気は、凛とした夜明けの空気と似ているものがありました。 リハーサル中は関係者以外、立入り禁止。 写真撮影も禁止されています。 主催者側から依頼を受けていた私たち3人だけが撮影しているので、なんだか、プロのカメラマンにでもなった気分です。
 社交ダンスの知識も経験も無い私たちは、「 どこがシャッターチャンスなのか? 」 「 次にどんなポーズになるのか? 」 まったく分からない状態です。
 2回のリハーサルでも要領を得られず、「 とりあえず、いっぱい写しとけばいいや 」 が、3人の合い言葉になりました。


   リハも全力で行く!
                        オープニングを飾った二人。 休憩に入っても、
                        最後まで練習していたのが この二人です。
                        大人たちの踊る姿を 真剣なまなざしで見つめ
                        ていたのが、とても印象的でした。





                    ダンススクールの先生方の デモンストレーションの
                    あい間に、観客のためのダンスタイムがあります。
                    けれど先生方には、休む暇などありません。 大切
                    な生徒たちの 相手をしなければなりませんから。



 ステージを囲んで、観客のテーブルと椅子が並びます。 観客の姿とダンサーが重ならないよう、低い位置から見上げて写すのがいい様です。 ダンサーの足も、長く写せるはずです。
 天井には、オレンジ色のやわらかな照明が並んでいます。 これを背景に、ムードある写真が撮れそうです。
 ストロボの光はあまり強くせず、部屋の明かりを利用した、雰囲気重視の写真にしたいところです。 が、
 1. 写真集の購入を予約している生徒を中心に写すこと。
 2・ 先生よりも生徒を、そして、誰が写っているのかがハッキリ分かること。
という条件が出てしまいました。
 どれだけ綺麗な写真を写しても、売れなければ仕方がない。 商業写真の宿命を思い知らされます。
 三脚を一番低く立て、手ぶれを防止します。 三脚を抱きかかえるようにして座り、カメラを180°旋回させる練習をします。 かなりみっとも無い姿だと、自分でも分かっています。 すぐに足もしびれてきました。 けれど、それが最善の写し方だと、覚悟します。


               

                          ダンスタイムはバンドの生演奏です。
                          「 ダンスをやってて良かった!! 」
                          そんな声が聞こえてきそうな、こころ
                          も踊る 至福のひとときです。





                  ステージ脇でカメラを構えていると、迫力ある写真
                  を撮らせようと、最接近してきます。
                  カメラをいつ蹴飛ばされるかも分からず、ヒヤヒヤ
                  ものです。 前髪で風圧を感じていました。



             

                  本番直前まで、持てる技術の最大限に挑戦するプロ
                  意識。 社交ダンスという枠組みを超えた 大胆な振り
                  付けに、300人の観衆が魅了されました。



 せっかく写真屋さんにダンスパーティーの撮影に誘ってもらった訳ですが、「 動くものを写すのに、静止画では表現しきれない!」 という事を痛感させられる結果になりました。
 半年後、私はカメラをビデオカメラに持ち替えて、フィールドに立つことになるのでした。

                     ― 第十三話 ―  心も踊る 魅惑の宵  ― 終 ―


                < 無断転載を 固くお断りします >


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フォトエッセイ 雲海を見に行く ♪

2012-02-17 22:43:36 | 伝えたいもの

    < 2007年に掲載の フォトエッセイを 加筆・修正し、再掲載しています >



 御荷鉾スーパー林道より 雲海の二子山
 < OM-3 80mm F11 1/60sec  RDP >

 写真集 西上州の山 ( 上毛新聞社 刊 ) より抜粋


フォトエッセイ  写真家の見た風景

― 第八話 ―  雲海を見に行く ♪

シーン1.
 あるとき私たちは、前橋花火大会の会場にいました。
 午後の降水確率は70%。 生中継予定のFM群馬に 「 花火決行 」 の確認を取って、いざ利根川周辺へ。
 今回は友人の ワゴン車の中での宴会です。 開け放たれたルーフから、打ち上げ花火を眺めます。 駐車スペースを何とか確保し、花火が始まると同時に 宴が始まりました。
 そのうちに、ルーフから雨が吹き込み、食料を濡らし始めました。 花火を打ち上げるペースが早くなり、数を減らして、予定より30分も早く 終了してしまいました。
 宴会は今が真っただ中で、さらに1時間ほど続きました。 誰も居なくなった駐車場に、ウチの車だけがポツンと残っています。
 さて、そろそろ帰ろうかという頃、誰もが 「 このまま帰るのは惜しいな 」 という気分になっていました。
 ふと、私が 「 雨の降った次の日は、雲海になり易いんだよ 」 と言ってみると、全員一致で 山に行くことになりました。 しかも、「 そのあと、温泉に行こう 」 と付け加えれば、みんな 大はしゃぎです。

 目指したのは、上野村の御荷鉾 ( みかぼ ) スーパー林道。
 メンバーは、私と友人夫婦と、その子供の 小学生と幼児の、合計5人。 途中のコンビニで 翌日の食料と花火を買い込み、現地に着いたのは 午前0時を回っていました。
 5m先も見えない濃霧の中での花火大会。 私たちは、幻想的と言うには 度を超した風景の中を、花火を持って 駆け回っていました。
 本当は、分かっていたのです。 雲海を見られる確立は1割程度。 このまま霧が晴れなければ、「 残念だったねー 」 で、笑ってごまかすつもりだったのです。
 それでもちょっと責任を感じ、まだ暗いうちに車を降りて、雲海のかけらを見つけるため、林道を歩き回りました。
 あたりが白みかける頃、遠い山並みに雲がたなびいているのが見えました。
 「 一面の雲海 」 という訳にはいきませんでしたが、初めてこの風景に出会った彼らにとっては、印象に残るものになったようです。
 でもって また、こういう時に限って、カメラを持って来ていないものなのですが・・・。




 御荷鉾スーパー林道より 樹氷の ラインダンス
 < OM-3 70mm F5.6 1/250sec  RDP >

 写真集 西上州の山 ( 上毛新聞社 刊 ) より抜粋

シーン2.
 11月下旬。 私は、御荷鉾スーパー林道へと 車を走らせていました。 前日の雨は夜半過ぎにあがり、空には星がまたたいています。
 山道に入り、東の空が少し明るくなった頃、私はある異変に気が付きました。 山の稜線付近が、霧がかかったように 白く見えています。 「 この分だと霧で何も見えないな 」。 そう思いながらも さらに進むと、標高1000mあたりから 積雪になっていました。 どうやら、霧のように見えていたのは、白く染まった樹氷だったようです。

 郡界尾根のトンネルを抜け、御荷鉾林道に入ります。 日の出には 間に合わなかったものの、日差しを浴びて 中腹から水蒸気が 高く舞い昇っていくのが見えます。
 小さな尾根を回り込むと、一面の雲海が開けました。 雪をまとったカラ松の林。 その木々の間から のぞく秩父の山々。 そして、車道のすぐ下から遠い山並みまでを、白くまぶしい 雲の海が広がっています。
 標高1000~1400mを走る、全長70kmの 御荷鉾スーパー林道。 私は、車道まで打ち寄せる 雲海の水しぶきをくぐり抜け、いちばん南に突き出た 岬を目指しました。
 太陽が高度を上げるに従って、山肌に陽が差し始めます。 雪化粧した稜線に スポットライトが当たると、樹氷の森が ラインダンスを踊っているように、輝いて見えました。
 南の方角に両神山。 その左には、雲からチョコンと顔を出した 二子山の姿が。 双耳峰 ( 西岳、東岳 ) の二子山は、雲の増減によって 大きくなったり小さくなったりを 繰り返しています。
 11月の雪は すぐに溶けてしまいましたが、普段なら日の出から1時間もすれば 消えてしまう雲海が、今日は正午過ぎまで見えていました。 山の風景写真は 十数年撮っていますが、これだけはっきりとした 雲海を見ることが出来たのは、後にも先にも、この日だけでした。
 「 たとえ無駄だと思うことでも、諦めずに続けていれば、いつか価値のあるものになる ( 持論 ) 」。 その言葉を信じて、毎週末、夜明け前から始めている 写真活動。 たまには、報われる事もあるのです。。。




 御荷鉾スーパー林道より 両神山の雲海
 < OM-3 50mm F11 1/250sec  RDP >

 写真集 西上州の山 ( 上毛新聞社 刊 ) より抜粋


― 第八話 ―  雲海を見に行く♪  ― 終 ―

< 無断転載を 固くお断りします >


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フォトエッセイ 職務質問編

2012-02-12 17:48:11 | 伝えたいもの

    < 2007年に掲載の フォトエッセイを 加筆・修正し、最掲載しています >


          フォトエッセイ  写真家の見た風景
            ― 第三話 ―  写真の裏側 ・ 職務質問編

シーン1.
 社会人になって間もない頃のことです。 あるとき私は、群馬県 水上町にいました。 アマチュア無線好きの友人の車に乗せてもらい、国鉄上越線の写真を 撮りに行きました。
 「 今日はずいぶん お巡りさんが多いなあ 」。 国道17号線や鉄道沿線の所々に、警官の姿がありました。
 「 何かあったのかなあ? 」 ということで、無線機で警察無線を聞いていました。 この時代の無線機は、警察無線も受信できていたのです。
 季節は夏。 時に、群馬県で国体が開かれている最中でした。 水上町でカヌーの競技があり、皇太子 ( 現在の天皇、皇后 ) が訪れる事になっていたようです。 世間に無関心だった私たちは そんな状況などまったく知らず、線路脇に車を停め、警察無線を聴きながら 線路内を徘徊していました。

 すぐに数人の警官に取り囲まれました。 とりあえず事情を話すと、すぐに立ち去るように言われました。
 友人は冷静に 「 あの胸のバッヂは 群馬県警の者ではないなー 」 など 言ってましたが、私は 頭の中が真っ白になっていました。
 思えばこれが、私の 職務質問歴の始まりでした。




   新潟交通 燕市郊外より  < 新潟交通は 1999年4月に廃止されています >
         < OM-3 80mm F8 1/250sec ブラウンフィルター RD100 >

シーン2.
 あるとき私は、新潟県にいました。 新潟市と燕 ( つばめ ) 市を結ぶ 新潟交通の電車を写すためです。
 燕市郊外の 畑の中に高等学校があり、すぐ近くに線路がありました。 昼過ぎから夕方にかけての長時間、私は学校のブロック塀の横に ワゴン車を停めていました。

 あたりが薄暗くなり、部活の終った生徒が帰り始めたころ、一台のパトカーがやって来ました。 どうやら、学校が通報したようです。
 一人の警官が車から降りて来て、免許証の提示を求めてきました。 免許証をパトカーに持って行き、もう一人の警官に渡します。 無線で警察署に連絡をとり、免許証の照合をします。 同時に車のナンバーも照合し、盗難車かどうかも調べているはずです。
 この作業に3分くらいかかります。 その間にさっきの警官が寄って来て、話しかけてきます。 どこから来たのか? 何をしているのか? など、簡単な質問をして 時間をつぶします。
 話しをしながら車の中をのぞき込んでくるので、私はわざと窓を半分しか開けません。 すると、窓に顔をこすり付けるようにして、車の中の様子を見ようとします。 つい、笑いたくなります。
 そのうちに免許の確認が終わり、帰っていきます。 立ち去るお巡りさんに対し、「 ごくろうさま 」 と、事務的な言葉使いでお見送りしました。




                             新潟交通 燕市郊外より
         < OM-3 80mm F11 1/250sec ブラウンフィルター RD100 >

シーン3.
 あるとき私は、真夜中の妙義道路にいました。 星空の写真を写すためです。
 妙義道路は暴走族対策のため、夜間通行止めになっていた時期があります。 根性無しの暴走族は このバリケードを見て、スゴスゴと帰って行きます。 私は暴走族ではないので、バリケードをちょっとだけずらして、その先の風景を見に行きます。

 冬の夜空はオリオン座やスバル、おお犬座などが一晩中輝いています。 妙義山の奇岩をシルエットにし、この星空を写すのです。 近くの神社の関係者以外、誰も来ないはずなので、道路沿いから 心おきなく撮影を楽しめるのです。
 すると、下仁田 ( しもにた ) 警察のパトカーが巡回にやって来ました。
 「 進入禁止と 書いてあったはずですよ! 」 と言うので、「 暴走族ではないので入りました 」 と答えました。 すると ため息を一つついて、「 次回からは警察署に立ち寄って、手続きをとって下さい 」 と言って、帰っていきました。
 その後、幾度となくこの場所を訪れていますが、下仁田警察に合うことはありませんでした。




                             新潟交通 燕市郊外より
          < OM-4Ti 40mm F8-11 1/250sec PLフィルター RD100 >

シーン4.
 あるとき私は、妙義荒船スーパー林道にいました。 国道254号から 軽井沢町に抜ける道路です。
 近年、インターネットで知り合った同士が 林道で集団自殺する事件が相次ぎました。 群馬県内でも数件起きています。 それ以来、林道関係者や警察が、林道を巡回するようになりました。
 星空や朝焼けの写真を撮りに出掛け、車の中で仮眠をとっていると、死んでると思われ、窓をはげしく叩かれ、起こされることもあります。

 林道から神津牧場への字路が、妙義山の日の出の撮影ポイントです。
 もうすぐ夜明け。 国道から林道に入り、字路に差しかかった所に パトカーが停まっていました。
 お巡りさん二人が車から降りて、妙義山から昇る朝日を眺めながら 深呼吸していました。 どうやら 夜勤明けのようです。 思えば 大変なお仕事です。
 私は、邪魔しない様に そーっと通り過ぎようとしましたが、気付かれてしまいました。 二人はそそくさと車に乗り込んでしまいました。 なんだか悪いことをしちゃった感じです。
 私は、パトカーを横目に見ながら 「 お疲れさまです~ぅ 」 と、心の中でつぶやきました。

                  ― 第三話 ―  写真の裏側 ・ 職務質問編  ― 終 ―


                < 無断転載を 固くお断りします >


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フォトエッセイ 満月の夜になると

2012-02-05 03:55:53 | 伝えたいもの

    < 2007年に掲載の フォトエッセイを 加筆・修正し、最掲載しています >



    群馬県 二度上 ( にどのぼり ) 峠より 角落 ( つのおち ) 山と 北関東の夜景
        < OM-3 風景 : 50mm F1.4 10sec ,
                月 : 300mm F5.6 1/500sec ( 二重露出 ) >

                     写真集 西上州の山 ( 上毛新聞社 刊 ) より抜粋


          フォトエッセイ  写真家の見た風景
            ― 第一話 ―  満月の夜になると

 犯罪大国アメリカでは、凶悪事件や事故が多発するのが 満月の夜である。
 そのため、警察の取り締まりは普段よりも厳しくなる。 それは何も、海外に
限った事では無い。
 この日本でも 満月の夜になると、アヤシイ人が 現れちゃうことがある ・・・


 数年前の9月の、ある満月の夜のことである。 休日を利用し、私はカメラを持って軽井沢方面に出掛けた。 午前3時、松井田町 ( 現 安中市 ) の国道18号線沿いのコンビニに、食料を買い込むため立ち寄った。
 ドアを開け、座席のゴミを片付けていると、ふと 背後に怪しい人の気配が ・・・!
 振り向くと、薄暗い駐車場の陰から突然、20歳前後の男が、死相感を漂わせて現れた。
 しまった! 逃げ場が無い! 物取りか? 変質者か? 凶器は?
 男は、意を決して 私に言った。
 「 失恋しました! 車に乗せてください!」 と。

 彼はヤケになって、前橋市内のアパートから 自転車に乗って出てきたらしい。 碓氷バイパスの手前で、トラックの交通量の多さに怖くなり、軽井沢まで乗せて欲しいと言う。
 車の中で彼の失恋話を聞き、私はずっと笑いっぱなしだった。
 彼は群馬県の大学にかよい、夏休みを使って自動車の免許を取るため、実家の福井県に帰っていたとのこと。 そして 夏休みが終わり、群馬に戻ってみると、彼女は別の男と付き合っていたと言う。  



      矢ヶ崎山より 軽井沢町 と 浅間山
          < OM-4Ti 24mm F11 1/60sec PLフィルター RD100 >

                     写真集 西上州の山 ( 上毛新聞社 刊 ) より抜粋


 風景写真を撮る都合があるので、直接は 軽井沢の街には行けない事を伝え、和実 ( わみ ) 峠方面へと向かった。
 私たちは 軽井沢インターチェンジにほど近い、高岩山を望む橋の上で朝日を待った。 上着が無いとかなり寒い朝だった。
 「 ぼく、日の出を見るの、生まれて初めてですよ 」 と、彼。
 「 ・・・ ( 人生初?) 」 と、私。

 撮影ポイントをもう一か所。
 別荘地を抜け、林道から 浅間山を見渡せる場所に向かった。 朝霧の雲海を期待していたのだが、この日は出ていなかった。
 眼下に、軽井沢の街並み。 その背後には浅間山の姿。 私には見慣れた風景だが、彼には新鮮に見えていたようだった。
 故郷でも、思い出していたのだろうか ・・・。

 帰り道、再び別荘地を走った。 アスファルトの所々に デコボコが作ってあって、乗り心地が良くなかった。
 「 このデコボコって、なんであるんですかねえ? 」 と、彼。
 少し間を置いて、「 嫌がらせじゃないの~ぉ 」 と、私。
 このセリフが想像以上にウケて、彼は笑い転げた。 たぶん今日、彼がはじめて見せた笑顔だった。
 「 あっ、コイツ笑うんだぁ ・・・ 」。
 良く見れば、笑顔の似合う男の子だった。

 午前7時。 私たちは軽井沢の駅前でお別れをした。
 彼はこれから 草津へ向かうのだと言う。 道路地図も無く、土地感もまったく無く ・・・。
 このまま彼を放り出してしまっていいものかと不安だった。 まあ、子供でもないし、あとは自分の力で何とかしてもらおうと思った。
 駅前の街路樹に朝の光が差し込んで、木漏れ日がキラキラとまぶしく見える。
 一瞬、彼の後ろ姿に、あの頃の自分の姿が 重なった気がした。
 彼に出会えて、忘れかけていた記憶が ふと 蘇えった様な、ちょっぴり照れくさいような、さわやかな気分になった。 

 「 ありがとう。 そして 願晴れ ・・・ 」。

                     ― 第一話 ―  満月の夜になると  ― 終 ―


                < 無断転載を 固くお断りします >


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YouTube fusechan1

2012-02-01 06:44:14 | ローカル鉄道写真

          現在 YouTube に動画を 18本 公開しています。

              > YouTube fusechan1 <

 わたらせ渓谷鐵道、JR只見線、足尾のガソリンカー運転会、沢入駅イルミネーション・ルンヒャン コンサート、鉄道模型、カラオケの定番曲など を 紹介しています。



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