THE BOOKハンター!

~〈本の虫〉の痛快読書日誌~

「失われたアイデンティティ ~内と外から見た日本人 隠された歴史を求めて」(光文社/ケン・ジョセフ)

2006年07月11日 | Weblog
 前回は田口ランディさんの「根を持つこと 翼を持つこと」という本を読みましたが、それに続けてこの本を読んでみました。ランディさんの本を読む前に、本好きの知人からお借りしていたものです。分厚いペーパーバック型の本で、はじめはどういう本なのかよく分からなかったのですが、いざ読み始めてみると、とても面白い本でした。そして、この本とランディさんの本に書かれていることの中に共通点を見つけたのです! それは、両者が今の日本人に必要なものに「自分や先祖のルーツを知ること」と「大志(意識)を持って自由に飛ぶこと」を挙げていたことです。
 本書の作者であるケン・ジョセフ氏は、東京生まれ。1979にロサンゼルスに、1989年に東京に国際ボランティア組織(JET)を設立し、現在は「日本緊急援助隊」を組織して世界各地の被災地でボランティア活動を続ける傍ら、米国のテレビのコメンテーター、新聞・雑誌のコラムニストとして活躍しており、キリスト教宣教師として太平洋戦争後に来日した父の影響から景教研究家としての著作も発表しているとういことですが、本書を手にするまで私は彼について何にも知りませんでした。
  「人間は自分が何者か知らないと何をすべきか分からない!」という持論を持つ彼は、今の日本人が元気がないのは、日本人が自分たちのルーツを見失ってしまったからであると分析し、これまで自分たちのアイデンティティについてまったく無頓着で、学校で習った歴史を本当の歴史と勘違いしている日本人に警告を発しています。
 本書では、「日本は単一民国家ではなく、多民族国家である」「キリスト教は仏教以前に伝来していた」「神道にはキリスト教が混入している」「日本人は本来の仏教徒ではないなど、多くの日本人が知らない隠された歴史について、数々の資料や実例を紹介しながら述べています。また、国内外の被災地へボランティア活動に行った時に見たり体験した日本の外務省など役人の心ない傲慢な態度や発言などを紹介し、"お役人"の民間人との考え方のギャップ(温度差)を強く批判し、嘆いています。
 もちろん、本書に書かれていることは、あくまでも作者の独自論であり、いささか過激すぎると思われる意見も見られ、すべてを鵜呑みにすることは危険だと思います。しかし、ほとんどが私が知らなかったことばかりで、かなりの衝撃を受けた本でした。本書を読んで、多くのことを反省させられました・・・。