THE BOOKハンター!

~〈本の虫〉の痛快読書日誌~

「シネマと書店とスタジアム」(沢木耕太郎/新潮文庫)

2006年06月13日 | Weblog
私は「深夜特急」などがかつてベストセラーになったノンフィクション・ルポライターの沢木氏の作品が好きで、いくつも読んでいますが、昨年刊行された「シネマと書店とスタジアム」は、彼が大好きな趣味をテーマに書かれた、面白くて読みやすい本です。

 「蝶の舌」「ピンポン」などのヒット映画から、ピート・ハミルや古井由吉の本まで、欠点を挙げながらも、なぜ自分はその作品が楽しめたのかを率直にやわらかく語っいてます。また、長野五輪と日韓W杯に関するコラムでは、選手の内面に視線を向けて、プレー中の一瞬の決断や逡巡に推理をめぐらしており、ルポライターらしい彼の着眼点に驚かされました。
 現在、ドイツではサッカーのワールドカップが開催中で、日本中が熱く盛り上がっています。そんな中、この本を読んでいると、4年前のW杯のことが思い出され、懐かしく思いました。