木曽Now2

木曽の自然と大阪の自然を日記風に

ヤマトリカブト 狂言・附子

2020-09-18 07:17:06 | 木曽Now
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『附子(ぶす)』というのは
トリカブト の根を乾かして
精製する猛毒のことです。



このあなたに 附子が有るほどにさう心得
附子というて
あの方から吹く風にあたつてさへ
滅却するほどの大毒じゃ
油断をせぬやうに番をせい

  風にあたってさえ死ぬ猛毒だから
  気をつけて留守番をするよう
  太郎冠者と次郎冠者に命じて
  主人は出かけて行く。


さて汝は あの附子といふものを
みたことがあるか
身共はついに見たことがない
身共もついに見たことがない
けふは幸ひのお留守ぢゃ
そと見ようと思ふが何とあらう

あの方から
吹く風にさへ当たらねばよいによって
この方から精を出して扇いで
そのひまに見よう

さあさあ扇げ扇げ
扇ぐぞ扇ぐぞ
扇げ扇げ
扇ぐぞ扇ぐぞ

  附子が見たくなった太郎冠者は
  次郎冠者と二人でそっと扇ぎながら
  桶に近づいてふたを取ってしまう。


黒いものが一塊りどんみりと有るが
まづはうまさうなものぢゃ
いやここな者が あのやうな大毒を
うまさうなといふことがあるものか
身共はあれを食うてみようと思ふが何とあらう

砂糖ぢゃ
なんぢゃ砂糖ぢゃ
まづ食うてみよ
どれどれ
ほ まことに砂糖ぢゃ
これを食はすまいと思うて
附子ぢゃの毒ぢゃのと仰せやつた

  のぞいて見ればうまそうなので一口食い
  附子が砂糖とだと知る
  砂糖を全部平らげてしまった二人は
  言い訳を考える。


して言い訳は何とする
あのお掛け物を破れ
あれを破れば言ひ訳となるか
おお言ひ訳になる 早う破れ
それならば破ろう
あの大天目を打ち割れ

  砂糖を食った言いわけに
  主人が大切にしている掛軸を破り
  台天目茶碗をこわす。


大事のお留守ぢゃ 眠るまいと存じて
次郎冠者と角力を取つてござれば
次郎冠者は手取りなり 私の小股を取って
こかさうと到いたを こけまいと存じて
あのお掛け物に取り付きましたれば
あのやうに
破れました
大天目まで打ち割った

数々のお道具を損ないまして
とても生けてはをられまい
附子を食うて死なうと存じて
皆食ひましたれども なあ次郎冠者
おお!
まだ死にませぬ

  主人が帰宅すると二人そろって泣きだし
  留守中に居眠りしないようにと相撲をとるうちに
  大切な品々をこわしてしまったため
  死んでおわびしようと
  附子を食ってみたが
  まだ死にませぬとうそぶく・・・。



この花を見ると
狂言の『附子』を
思い出してしまいます。


長くなりましたが
小学校の国語の教科書にも
何度も取り上げられた
狂言です。