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日本のガソリンはアメリカよりも安い

2006-07-25 | 石油
このところ原油価格が77ドル/バレルという高値を更新している。油田を持っている人にとってはありがたいのだろうが、一消費者としてはガソリン価格の上昇が気になるところです。今のガソリン価格は高いのか、妥当なのかは評価の仕方によって見方は変わるでしょうが、日米のガソリン価格を2005年と2006年で比較してみました。

まずはアメリカ。2005年は$2.38/gal、2006年は$3.00/galです。これは全米の平均値です。値上がり率は26%にも達しています。為替を116.64/$として日本と同じ円/Lで表示すると73円/Lが92円/Lになったことになります。一見して日本の価格よりもぜんぜん安いと実感します。

ついで日本です。2005年は125円/Lで2006年は137円/Lですから、値上がり率は10%弱です。アメリカに比べれば、値上がり率は低く抑えられています。これからガソリン価格に占める原油コストの割合が小さいと類推されます。逆に言えば、日本のガソリン製造コストはアメリカよりも高いということです。原油価格がさらに高値を追うことになると日本のガソリン価格の値上がり率もアメリカ並みになっていくものと予想できます。ここで価格そのものはアメリカよりも随分と高くなっています。その違いは税金や自前の油田がないことにあるといわれています。そこで税金を比較してみます。

アメリカのガソリンの税金は全米平均で38セント/ガロンです。円/Lに直すと11.7円/Lです。アメリカのガソリン税は州によって異なります。最も安いのが、Gulf Coast地区です。ここはテキサス、ルイジアナ、オクラホマなで石油産業が強い地区です。逆に最も高いのがWest Coast地区でカリフォルニアがその代表でしょう。ここでは環境問題に関心が高く、高税率によりガソリン消費抑制と税金を環境対策資金にするという政策と思います。
アメリカのガソリンを税抜き価格で表示すると2005年は61.3円/Lだったものが、2006年では80.3円/Lと31%の値上がり率となります。

一方日本のガソリンにかかる税金には2種があります。ガソリン税53.8円/Lと石油石炭税2.04円/Lです。2006年から石油関税はなくなりましたので、現在はこの二つですが、合計で55.8円/Lになります。さらにこのガソリン税の5%、2.8円/Lを消費税として払います(いわゆる二重課税)ので、ガソリンの税金は合計で58.6円/Lとなります。125円/L(内税)のうちの税金分は47%に達するわけです。このガソリン税と消費税を抜いた正味のガソリン価格は、2005年が63.2円/Lで2006年は74.7円/Lとなり、値上がり率は18%に跳ね上がります。といってもアメリカの値上がり率31%よりは大分小さくなっています。

2006年のガソリン価格を比べるとアメリカが80.3円/Lで日本は74.7円/Lです。驚くことに日本のガソリン価格が安いわけです。日本の石油精製会社は原油高騰にもかかわらずよくコストアップを吸収しているという見方も出来ます。
日本のガソリンは高い、それは税金が高いからだ、全量輸入に頼っているからだ、といわれてきました。これからは日本のガソリンが高いのは税金が高いからと言い切ってしまいましょう。

アメリカのガソリン消費は920万BDです。一方、日本のガソリン消費は106万BDに過ぎません。人口が日本の倍ということを割り引いても、アメリカ人(アメ車)は日本人の4倍以上のガソリンを使っているといえます。アメリカではほとんどディーゼル車が無い、国土が広いので走る距離も長くなるなどの事情はあります。事実、通勤に車で50マイルなんて人も田舎の方ではざらのようです。それにしても、ガソリン使いすぎでしょう。ガソリン価格の高騰は相当影響ありでしょう。こんなところからもGMやフォードの苦戦はよく理解できます。

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