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石炭火力に賭ける

2006-11-10 | 石炭
石炭火力発電はCO2排出源の親玉と見られていますが、その石炭火力に賭けるという頼もしい会社のニュースです。
テキサス州にあるTXUコーポレーションは炭鉱も所有していますが、今後州内に11プラント、合計で900万kWにもぼる石炭火力発電所の建設計画を提出しました。900万KWという発電量は全米の石炭火力発電量の3.5%に相当します。一度にこれだけの大規模な発電所建設計画は初めてだそうで、投資額は$10 billionになります。すべて微粉炭燃焼で、追加でCO2隔離装置を設置するとしています。

CO2隔離のためにはガス化を採用したほうが良いという環境論者の意見に対しては、年間6ヶ月エアコンが稼動するテキサスでは、安価で信頼性の高い電力を供給することが消費者にとってのメリットであり、これに会社の利益を重ね合わせると微粉炭燃焼が一番の解決策と、その主張に揺るぎはありません。

現時点では石炭ガス化は信頼性、経済性の両面から充分とは言えず、これを採用することはしないとしています。カリフォルニアのシュワルツネッガー知事ならば建設申請を認めないかもしれませんが、テキサス州にはCO2排出の州目標がなくこの石炭火力発電計画は認められるものと思われます。

CO2排出抑制規制ができる前に駆け込みで建設し、自社のCO2排出枠を確保した後に休止させて、余ったCO2排出枠を転売するのではないかとのうがった意見に対しては、新設プラントをアイドル状態にしておくような経済性、効率性の観点から見て不合理なことはしない、と反論しています。

天然ガス発電はコストが高く、原子力発電は建設期間が長くまたコストも不明瞭、風力等再生可能エネルギーは発電量予測ができないなどの課題を抱えており、石炭火力が最良の選択だとしています。

TXUはこの11プラントの新設により、全社合わせてのスモッグ原因物質やすすの排出量を20%削減するとしています。そのため新設プラントには吸収塔、フィルターや触媒浄化装置などを具備するとしています。実際同社の最新のプラントは少し離れた場所から見ると発電所が稼動しているのかどうかさえ分からないくらいに排出物は少ないといいます。

最後に別途、風力発電や小型の原子力発電などCO2を排出しない発電も手がけ、化石燃料使用量を減らす用意があるとして、環境への配慮もアピールしています。テキサス州は既にカリフォルニア州を抜いて全米で一番の風力発電量だそうです。

価格が安く、産出国のカントリーリスクが少なく、埋蔵量の豊富な石炭の利用を進めていくことは、確かに重要なことです。

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