化学系エンジニアの独り言

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ハイブリッド車 VS 燃料電池自動車

2005-07-06 | 省エネルギー
水しか排出しない、排気ガスが出ないので環境にやさしいという謳い文句の燃料電池自動車の導入がまた遠のきそう。そもそも、燃料の水素をどうやって作るのか、運ぶのかといった課題を抜きに、環境にやさしいという言い方は正しいとは思えない。原油は地面を掘ったら出てくるが、水素は地面を掘っても出てこない。水素を石油から作って燃料電池自動車を走らせるのと、ガソリンハイブリッド車の燃費を比較すると、水素製造段階でのエネルギーロスが大きい分、ハイブリッドの方にエネルギー効率的には軍配が上がる。

トヨタはハイブリッド車プリウスの来年の生産を倍増の50万台にするとの発表である。
またホンダは新ハイブリッドシステムを開発し、シビックに搭載するとのこと。
システム出力を約20%高め、1.8Lエンジンクラスの力強い走りを実現しながら燃費を5%以上向上するとともに、システムサイズの5%の小型化や世界最高レベルの排出ガスクリーン性能を達成したという。
いずれもハイブリッドへの力の入れようが分かる。

もちろんだからといって自動車各社は燃料電池自動車の開発を止めるということではない。
トヨタは現状1台1億円の燃料電池車を2015年には600万くらいにしたいといっている。また、現在の燃料電池車FCHVの型式認定を取って、一般ユーザーにも月100万くらいでリースするようだ。

ホンダも現行の燃料電池車FCXの型式認定を取った。2010年代には年間12000台生産にのせるとのこと。但し、価格の言及は無い。
また、ダイムラークライスラーは2015年当たりに年間10万台の生産を予想している。

燃料電池車の限定リースが始まった2002年には2010年には国内累積5万台の市販燃料電池車が普及するとの目標であったが、ざっと10年は後ろ倒しになった勘定である。
それもこれもハイブリッド車の躍進による。

化石燃料から水素を作る方法による限り、燃料電池自動車がハイブリッド車に打ち勝つ日は遠いようだ。しかし、化石燃料のAvailabilityが低くなるのも自明の理というもの。
だから、自然エネルギーや再生可能エネルギーの利用が必要である。しかし、現在使用しているエネルギーの何%を再生可能エネルギーに置き換えればよいのかという目標値がはっきりしていない。一つの目安はCOP3の6%削減であろう。このあたりの定量的な目標について、世の中のコンセンサスが形成されなければいけません。

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