化学系エンジニアの独り言

時の話題や記事の備忘録

マヨネーズの値上げ!!

2007-05-12 | エネルギー
一ヶ月以上、更新をサボっていましたがその間にもこのページをビューしてくれる人がいることには感謝とともに、感激です。
春は移動の季節ですから、筆者も数年ぶりに職場が変わり、新しい仕事への対応におわれていたのです。

さて、ニュースではマヨネーズが値上がりしますよ、ということが各社で取り上げられていました。聞けば17年間まったく価格が変わらなかったが、事情により今般値上げとなったそうです。

街角インタビュー(主婦やサラリーマン)では、家計に響くので値上げは困りますね、というありきたりのコメントを流しています。値上げのニュースなんだから、消費者がそう反応するのは当たり前で、何でわざわざ街頭インタビューなんぞを流しているのかわかりません。これって、ニュース価値はまったくないと思うのだが。

値上げは困る、というまえに小生は17年間も値段が変わらなかったの!ということに逆に感激ですね。土地の値段や株価を別にして17年前、1990年当時と同じ値段のものを思いつきません。マヨネーズ、キューピーはえらかったんだと素直に思います。

確かに自動車や家電製品を見れば、機能が向上しているので機能で割り返した価格下がっているでしょうが、製品個別の価格は上がっているのではないでしょうか。激安パソコンなど、一部には価格そのものが下がっているものもありますが。

食料のように生産性や機能の飛躍的向上が望めないものは、この17年では確実に値上がりしている、あるいは1パックの量が減っているのが通常でしょう。

マヨネーズは卵と食用油が主原料です。卵は物価の優等生というそうですが、その卵の価格が安定していることがマヨネーズ価格が一定だあった最大の理由です。今回の値上げは、食用油が値上がりしていることに起因しているそうです。

なぜ食用油が値上がりしているかといえば、食用油の原料となる菜種などがバイオ燃料に回っている、バイオディーゼルになっていることがあげられます。しかし、バイオディーゼルはそれほど量的に多くないので、これが主原因ではありません。

もうひとつのバイオ燃料であるバイオガソリン(エタノール)が売れるので菜種を作らずに、バイオエタノールの原料になるとうもろこしを作るようになり、食用油の供給量が落ちてきたためだそうです。

エネルギーと食料がトレードオフの関係になる、価格的にではなく量的にトレードオフになるということはこれまで経験したことのない事態です。

かつて食料難に対応するため、原油から食肉を作る(正確には油を食べて増殖するバクテリア)研究がありましたが、まったく逆のことが行われているということです。

エネルギーも食料もどちらも人の生存には欠かせないものです。ですから、どちらか一方を犠牲にするということは出来ません。地球温暖化による化石燃料消費の抑制という地球そのものが持っている存続のためのスタビライザーが地球温暖化ではないか、と小生は考えています。ですから、食料になる植物からエネルギーを得るというのは中長期的に見て無理がありましょう。

エネルギーでは有りませんが、かつて化学肥料が発明されたことで食料の生産性は飛躍的に向上しました。エネルギーと食料の二つを共存させる技術はやはり化学によるほかはないでしょう。理系離れなんて悠長なことを言っている場合ではない、人類を救うのは化学だ。というのはいいすぎですが、こんなにやりがいのある命題はないのですから、もっともっと化学に人材を投入したら良いと思うわけです。


CCS大規模プラント

2007-03-16 | エネルギー
ウェストバージニアにあるアメリカ電力会社のマウンテニアプラントは石炭火力発電所ですが、ここから排出されるCO2を分離回収し地中に貯留する、いわゆるCCS技術の大型プロジェクトが2008年に計画されています。これまで行なわれているCCS実証実験の12倍規模で行なわれるそうで、商業スケールといっても良いのでしょう。

このプロジェクトでは冷凍アンモニアにCO2ガスを吸収させて排ガスより分離する方式がとられ、分離されたCO2ガスは70気圧に圧縮され、地下9,000フィートの深さに注入されます。

考えてみればCO2分離技術は以前から多くの化学プラントで活用されています。例えば、水素を製造する水蒸気改質プラントでは、CO2を熱炭酸カリやMEAにより吸収、分離して回収しますが、このCO2は液化炭酸ガスとなりコーラなどの炭酸飲料の原料になっています。

一方、CO2を地中に注入することも原油回収方法の一環として利用されています。いわゆるEORという方法で、生産量の減少した油井戸にCO2を注入して地中内部の圧力を上げて原油をより多く汲み上げる方法です。

CCSはこれらの技術をつなぎ合わせるわけですから、現在の技術で出来ないことはないのですが、要はCO2処理という利益を生まないもののためにコストをかけなければならないということですから、出来るだけ低コストにする必要があります。低コストということはCO2処理に要するエネルギーを極力小さくすることとほぼ同義です。

この辺の状況はかつての公害対策(大気汚染防止や水質汚濁防止)と同じです。

現在一般的に行なわれている方法では発電出力の約三分の一をCO2処理のために浪費してしまうそうです。先のマウンテニアプロジェクトではこのエネルギーコストを15%に抑えることが目標となっています。

CCSに関しては直接的な技術課題、コスト課題のほかに別の懸念も指摘されています。それは、もし地中や海底に貯留したCO2が大地震の発生により地表に漏出した場合、一体誰が責任を取るのかという問題です。直接事業を行なっている事業体か、国か、あるいは誰も責任を取らなくてよいのかなどです。誰も責任を取らないということはないでしょうが、それに関連してCCSを行なっている事業体は保険に入れるのだろうかといったことも提起されています。

いずれも単純に解決できる課題ではありませんが、埋蔵量の豊富な石炭を利用する場合は避けて通ることができない問題です。

US一般教書演説

2007-01-25 | エネルギー
US大統領の一般教書演説の中でエネルギーに関する部分をまとめてみます。

(1) 20イン10
2017年までの10年間でガソリンの消費量を20%削減する、名付けて20 in 10 goalだそうです。
(A) その方策として再生可能エネルギーや代替燃料で35ビリオンガロンを作る。これは2017年の消費予想量の15%に相当する。
(B) 自動車の燃費改善で8.5ビリオンガロンを削減する。これは5%に相当する。

AとBをあわせて20%削減を達成ということのようです。8.5ビリオンガロンが5%相当ですから、2017年の全米でのガソリン消費予想値は170ビリオンガロンになります。現状が130ビリオンガロン(500ミリオンkL)なので、今後10年で30%消費が増加すると見込んでいます。

Aの代替燃料としては現在2012年を目標年に7.5ビリオンガロンという計画がありますが、それを後5年延長して5倍にするというもので、ここに最も力点が置かれています。愚弟的にはコールエタノール、セルロースエタノール、バイオディーゼル、メタノール、ブタノール、水素などが上げられています。水素は一番最後です。
170ビリオンガロンの15%は25.5ビリオンガロンで、35ビリオンガロンという数値と会いませんが、これは代替燃料の体積あたりの発熱量がガソリンよりも小さいので、容量的には多く作る必要があるわけです。

(2) 交通渋滞緩和
いわゆるアイドリングロスをなくすという方策です。全米の渋滞地域85箇所の合計で2.3ビリオンガロンのガソリンが浪費されていると試算されています。これを削減しようというもので、CO2排出量に換算すると20ミリオントン/年になります。

1と2の合計で石油消費量を2017年で10%削減するという大きな目標になります。全米の石油消費量はおよそ20ミリオンBDですから、これは2ミリオンBDに相当します。

さらにエネルギーセキュリティー強化として次のようさ策を上げています。

(3) 国産原油の生産拡大
環境への影響を充分に配慮しながら、国産原油の増産を目指す。これについては数値的目標があげられていませんが、アラスカの原油や天然ガスパイプラインという言葉が出ています。

(4) 原油の国家備蓄を倍増
現在691ミリオンバレルある国家備蓄を1.5ビリオンバレルに倍増させる。これは輸入原油の97日分に相当するそうです。ということは15ミリオンBDが輸入原油ということになります。全米での石油消費量はざっと20ミリオンBDですから、輸入依存度は75%です。

ちなみに日本の備蓄は90ミリオンkLですから570ミリオンバレルです。日本の石油消費量な全米の4分の1ですが、これは民間用79日分、国家備蓄91日分となっていて合計で170日分に相当します。国家備蓄は封印方式と呼ばれ、備蓄タンクに一旦入れたらそのまま保有する当方法です。これに対して民間備蓄は生産・流通過程で保有しているものです。つまりは製油所、輸送所での保有分で毎日置き換わっているといえます。国家備蓄はすべて原油ですが、民間備蓄は原油45%で石油製品55%の割合です。

(5)USはエネルギー技術で世界をリードしてきたが、今後も技術開発には注力うするとしています。キーワードしてプラグインハイブリッド(US国内でやってますが、日本のメーカーです)、クリーンディーゼル車、クリーンコールテクノロジー、太陽・風力利用、クリーンで安全な原子力発電があげられています。

EUの挑戦

2007-01-17 | エネルギー
ロシアの積極的というか強硬的な資源外交に対応するため、EUは各国政府の国営企業への支配力を弱め、市場化することを提案しています。これによりインフラ整備や技術開発における競争と投資を促し、ロシアなどの強力な資源輸出国に対抗するとともに、温暖化問題にも対応しようというものです。提案は多くの項目を含んでいますが、そのいくつかを以下にあげます。

自動車での再生可能エネルギー使用の促進
ビルや住宅におけるエネルギー効率の改善
2020年におけるCO2排出量を1990年比で30%カット
CO2隔離と貯留を2020年以降の新設石炭火力に適用
CO2を排出しない原発の発電シェアを一番にする

これらの提案の中には最もだと賛成できるものもありますが、各国の国情に照らし合わせると無理と思われるものもあります。

CO2を30%カットする、については鉄鋼業界が労使揃って反対しています。せめて20%にしようと言っています。CO2削減により明らかに会社の利益は損なわれ、ひいては雇用の喪失につながると恐れているからです。CO2排出削減という制約の中で生産活動をしていくEU企業が、アメリカを初めとするCO2排出削減の足かせのない他国の企業と競争すれば、世界市場でのシェアを失いかねないと危惧しているからです。

フランスのように原発に80%依存している国もあれば、ポーランドのように石炭火力に大きく依存している国もあります。この様な国情を全く考慮せずに、EU統一の政策を作ることはそもそも無理があるというものです。
しかしその無理をあえてやろうというのが欧州人気質なのでしょうか。

これらの提案の中で注目したいのは、CO2隔離と貯留という方法が10年以上先ではあるものの実用技術として議論されている点です。再生可能自動車用燃料とは、言い換えればバイオ燃料です。このEUの挑戦とも言える提案から、CO2隔離・貯留とバイオ燃料という技術が2007年のトッププライオリティーになるのではと予想します。

2006年はどんな年だった

2006-12-30 | エネルギー
2006年はどんな年だったでしょうか。簡単に振り返ってみます。年初65ドルで始まった原油価格は夏に75ドルの最高値をつけた後に、62ドルまで下がりました。一年を通してみれば高値安定した年でした。
この原油高に後押しされた数々の省エネが民生、業務を通して進んでいるものと考えられます。

京都プロトコルの第一履行期間まであと一年となりましたが、欧州や日本からは「できん」という悲鳴が出た年でした。予想されたことではありましたが、CDMを通じでお金を払うことでつじつまを合わせることになるのではないでしょうか。

日本に限っていえば、再生可能エネルギーの導入という点から、風力発電や太陽光発電からバイオマスの活用に軸足が移った年となるでしょう。もちろん風力発電や太陽光発電をないがしろにしても良いというわけではありませんが、系統にどうやって連携していくかということに課題が収斂してきた気がします。

個人的には原発よ、しっかりしろという感じです。バックヤードの問題はおいておくとして、取りあえず今は計画通りに運用してくれといいたい。これは電力会社ばかりでなく、それを支える重電各社にもいえることです。

観点は変わりますが、新聞やテレビがあてにならないとつくづく感じた年でした。トリノオリンピックやサッカーワールドカップの結果を見ればわかるでしょう。新聞やテレビは事実を把握するのに利用するにとどめるのが、賢明というものです。新聞のコラムやテレビのコメンテーターなんぞの言う事を当てにしてはいかんということです。その行間を埋めるのはブログという新しいメディアかもしれません。

結局今年は、野球の年といえるでしょう。イチローが引っ張ったWBCに始まりハンカチ王子や駒大苫小牧が活躍したの甲子園はヨン様に熱中していたおばさんを甲子園に引き戻してしまいました。また、新庄劇場といわれたわれらが北海道日本ハムの劇的な優勝に北海道民は感動しまくりました。おらがチームを持つという感覚を一度覚えてしまうとなかなか忘れられないものです。阪神タイガースファンと一緒ですね。この流れをプロ野球全体が共有し、生かしていけるかどうかはひとえに日本野球界のリーダーの資質にかかってくるでしょう。星野さんがコミッショナーになるのを願ってやみません。

総じて今年は良い年といえるかもしれません。しかしすべての人が夕張市のようになるかもしれないというバブル時代の付けを、もうしばらくは払い続ける必要があるのを忘れてはいけないでしょう。

自動車の燃費

2006-11-30 | エネルギー
少し前の話ですが米DOE/EPAが2007年モデルの自動車燃費ベスト10を発表しました。毎年DOEは消費者の目安とするべくこの発表を続けています。エネルギー省大臣は燃費に注目するとともに、フレックス燃料自動車も選択するよう推奨しています。フレックス車はE85などのバイオエタノールガソリンを使用できる車種です。

これらの数値はEPAの基準に沿ってメーカーあるいはEPA自身が測定したものでそれなりに信用あるものです。しかし来年はより実際の道路走行に近い数値を出すためにテスト方法を変更するとしています。 トップ10は以下の通りです。

Rank   Manufacturer/Model       MPG(km/L)
1        Toyota Prius (hybrid)       60 (25.3)
2        Honda Civic Hybrid          49 (20.7)
3        Toyota Camry Hybrid       40 (16.9)
4        Ford Escape Hybrid FWD   36 (15.2)
5        Toyota Yaris (manual)        34 (14.4)
6        Toyota Yaris (automatic)    34 (14.4)
7        Honda Fit (manual)            33 (13.9)
8        Toyota Corolla (manual)     32 (13.5)
9        Hyundai Accent (manual)    32 (13.5)
          Kia Rio (manual)               32 (13.5)
10       Ford Escape Hybrid 4WD    32 (13.5)
          Mercury Mariner Hybrid 4WD 32 (13.5)

数値は市街地走行モードのものです。カッコ内は日本風の単位に計算しなおしたものです。トップ10入りの12台のうち、米フォード車が3台、韓国車が2台、残りの7台はすべて日本車です。しかもトップ3を含めて日本車は上位を独占しています。中でもハイブリッドのトップ3の数値、とりわけプリウスはダントツです。2位のホンダとは10mpg以上の開きがあります。ホンダは検討していますが所詮プリウスの敵ではないという声が聞こえてきそうです。

日本のメーカーでは日産車が全く入っていません。V字回復で話題になったゴーン日産ではありますが、これでは作っている車はたいしたことないと言われそうです。 最も5位から10位までの差は1から2mpgですから実感としては同等というところでしょうか。

8位から10位は同じ数値で順位がついていますが、これは高速走行時の優劣によるものです。トヨタYarisはヴィッツのことです。このリストにはマニュアル車が5台入っています。確かにマニュアル車の方が高速走行では燃費が良いですが、日本で売られている車はほとんどがオートマ車です。このようにリストにわざわざマニュアル車が登場するところを見ると、米ではまだまだマニュアル車のシェアは高いということでしょうか。

米ビッグスリーで入っているのはフォードのみです。あのGMはどこに行っているのでしょうか。そこで車種別のトップリストを見てみます。

Class            Maker/Model                City (mpg)
Two Seater:   Mazda MX-5 (manual)         25
Minicompact:  New Beetle Convertible       22
Subcompact:  Toyota Yaris (manual)          34
Compact:       Honda Civic Hybrid             49
Midsize:          Toyota Prius (hybrid)          60
Large:            Hyundai Sonata (manual)     24
Small Station Wagon: Honda Fit                 33
Midsize Station Wagon: Ford Forcus Wagon (manual) 27
SUV:              Ford Escape Hybrid FWD     36
Minivan:          Dodge Caravan 2WD          20
Pickup Truck:   Ford Ranger 2WD              24
                     Mazda B2300 2WD             24
Van:               GMC G1500/2500              15
                      Savana 2WD Cargo

こちらには少し違ったメーカーも入ってきています。マツダ、ワーゲン、クライスラー(Dodge)があります。ダントツで燃費の悪いVanのクラスで漸くGMの名前が出てきます。残念ながら日産の名前はここにも登場してきません。

一見して分かるのは米メーカーは燃費の悪い大型車に名前があり、普通車、小型車はすべて日本あるいは韓国製です。韓国車は先のトップ10にも入っていましたが、現代が頑張っています。トヨタの定年退職者が現代で生産技術指導をしているという話もあるくらいですから、確実に日本に続いてくるでしょう。

自動車の燃費は小型ほど良いと考えていましたが、コンパクトカーとミッドサイズの車種にハイブリッドが投入されているのでこのリストでは小型になるほど燃費が悪くなっています。 ミッドサイズのプリウスがコンパクトカーのシビックHYを大きく上回っていることに再度の驚きです。トヨタ・プリウス恐るべしという結論です。

ロッキー山麓の炭素税

2006-11-22 | エネルギー
コロラド州ボルダーという土地を知っているでしょうか?マラソン選手が高地トレーニングで利用していることから日本でも良く聞く地名です。ロッキー山脈のふもとに位置する人口9万人の町で、コロラド大学のある大学町です。

ボルダー市民は先の住民投票で炭素税を承認しました。来年4月1日より発効するこの税金は、電力使用量(kWh)に課税されるもので、一般世帯で年間16ドル、商用で46ドルになると市当局者は見込んでいます。税金は電力料金と一緒に電力会社に収められます。2012年までに総額で$6.7 millionに達すると予想されます。

ここで集められた税金は気候行動プランに使われます。具体的には一般住宅やビルのエネルギー効率向上、再生可能エネルギーへの転換、自動車燃費の改善です。ボルダー市ではCO2排出量を1990年よりも7%削減、現在の排出量からは24%の削減を目標にしています。

既に風力発電等の再生可能エネルギーを利用しているケースではこの炭素税は減税されます。

ポートランド市では2001年から同様のプログラムを実施しています。同市では電力料金の3%を徴収しています。税金という形態をとっていないので、集まったお金はNPO法人を通じて太陽光発電、風力発電、バイオマスエネルギーの導入補助金、エネルギー効率向上のための建物の改造補助などに使われているそうです。

この様な自治体独自の活動は今後も広がっていくものと思われます。温暖化抑止は全地球規模で取り組む必要がありますが、実際に先進国、途上国を含めた包括的な行動計画を作ることは無理な話です。上の例のようにできることから始めるのが、現実的な方策と思われます。

サルファーフリー軽油

2006-10-24 | エネルギー
2006年9月1日より米国では製油所の15ppm(硫黄分)軽油規制が始まりました。但し、小さな製油所には猶予が与えられているそうです。これに向けて製油所では6月以降、15ppm軽油(米国ではULSDと呼ぶ)の生産を開始していました。現在の15ppm軽油の流通状況をAPI関係者が以下のように発言しています。

10月15日現在で、ハイウェイ軽油の80%以上が15ppm軽油となっている。今のところ特段のトラブルの報告は無い。25年前のガソリン無鉛化では完了までに数年を要したが、15ppm軽油にあっては数ヶ月で達成するだろう。ヨーロッパにも10ppm軽油の規格はあるものの、流通している大部分の軽油は50ppmなので、米国は今世界で一番クリーンな軽油を使用していることになる。
15ppm軽油対応のため、製油所では$8 billion、パイプライン事業者は$500 millionの設備投資を行なった。

ちょっと待った。米国から見ると日本はアジアの小国で、あまり眼中にないのかもしれません。が、軽油の硫黄分規制に関しては日本が世界で一番です。

日本では既に2005年より10ppm軽油の流通を開始しています。これをサルファーフリー軽油と呼んでいます。米国ではハイウェイ軽油は15ppmですが、別にオフロード軽油という種類があり、こちらは今でも500ppmです。加えて日本ではガソリンも2005年より硫黄分10ppm以下ですが、米国では30ppmと規制値は緩やかです。

日本では5,000ppmあった軽油の硫黄分を、92年から2,000ppmに、97年から500ppm(これを深脱軽油という)に、2003年から50ppm(これを超深脱軽油という)に段階的に引き下げ、ついに2005年からは10ppm以下(これをサルファーフリーと呼ぶ)にしてしまいました。

日本でも深脱軽油製造のため2,000億円、サルファーフリーへの対応のため3,000億円の設備投資がされたといわれています。日本の精製能力は米国の4分の1ですから、日本における設備投資のほうがはるかに大きいといえます。

このように軽油の硫黄分が低減されることで、ディーゼル車に装着されている排ガス浄化装置が充分に機能して、窒素酸化物、浮遊微粒子やCO2低減に寄与するものと期待できます。

原油高とインフレ

2006-09-20 | エネルギー
足元の原油価格は$65/バレルを下回り、下げ傾向が続いています。それでも2004年初は30ドル程度でしたので、2倍以上の原油高が続いていることになります。ガソリン価格、電気料金、航空運賃など、原油価格を直接その価格に反映させる仕組みのものは確かに上昇していますが、それ以外の一般物価はそれほど上昇しているという感じがありません。日本ではむしろ漸くデフレを脱却してほんの少しプラスになった程度です。

アメリカでも事情は変わらないようです。エネルギーと食糧を除いたコアインフレ率は過去27ヶ月で2%と、多くのエコノミストが理想的としている1.5%を少し上回る程度です。この間の原油価格の上昇幅に比べると、明らかにまだ原油高は物価・インフレとして現れてはいないようです。

その理由の一つにエネルギー生産効率の向上が上げられます。1980年には$1,000のGDPを稼ぎ出すのに2.5バレルの原油を消費していたそうですが、今は1.5バレルだそうです。別の数値で表現すると、1ドルの買い物をすると11潜とはエネルギーコストであったものが、8.5セントになっているといいます。これは生産効率そのものが向上したこともあるでしょうが、省エネ型の産業(IT産業など)に構造転換していることもあるでしょう。

もう一つの理由は原油価格そのものです。表面上の原油価格は最高値域にありますが、インフレ補正をすると当時約30ドルであった1980年の原油価格は86ドル(2005年ドル)になるそうです。つまり、今よりも1980年当時のほうが原油は高かったということです。確かに、日本でも当時はガソリン価格が150円をはるかに上回っていたと記憶しています。日本の場合為替の関係もあるでしょうが。1リットル200円を超えたら自家用車などは維持していけないな、と感じたことを思い出します。

とは言うものの生産・流通の中間過程における価格吸収も限界に近づきつつあり、原油価格の上昇は蓄積効果を上回って確実に物価に浸透していくことと予想できます。

現実にインフレが消費者価格の上昇として現れた時、経済成長が減速圧力を受け、さらにこれがエネルギー需給のタイト感を緩和して、エネルギー価格が下がるというシナリオもあるかもしれません。その場合、エネルギー価格の下落によるメリットと経済成長減速によるデメリットを比較すると後者のほうがはるかにその影響が大きいように思います。

石油価格下落による代替エネルギーの経済性の悪化や経済減速による代替エネルギー開発への補助金の削減などのトーンダウンは、かつてオイルショック後の日本で経験しています。代替エネルギー開発はしっかりしたポリシーとフィージビリスタディを基本にしなければなりません。

イワノビッチの横暴

2006-09-19 | エネルギー
表題の言葉は別のブログから引用させていただきました。ロシアには昔から「イワノビッチの横暴」といわれる体質があるそうです。確かに、日ソ不可侵条約を破って終戦直前に日本に攻め込んだという実績があります。今回のサハリン2開発許可の破棄はロシアらしい戦術です。終戦後、北方領土は60年たっても帰っては来ないのだから、商事も物産もこれまで投資した5000億円や6000億円はあきらめたほうが良いのではないでしょうか。まともな相手ではないので交渉にはならないでしょう。

撤退に当たって、ロシア側が開発を継続できないような処理を現地、プラントに施す(もちろん、開発を途中で中止することに伴う環境保護のための措置という名目で)ことはできないものでしょうか。日本を追い出して最後の仕上げだけ自分たちでやろうとしてもできない、ということがわかればロシアも少しは譲歩するかもしれません。

一方、サハリン1は問題を抱えながらも開発は進んでいるようです。こちらはエクソン(30%)、日本(30%、石油資源、伊藤忠、丸紅)、ロシア(40%)のように初めからロシアが参加していますので、サハリン2のような露骨な横槍はないようです。生産される原油は主に日本向けに船積みされますが、天然ガスはハバロフスクの会社が引き取ることになっていますので、ロシアとしても開発を中断させてしまっては元も子もないというところでしょう。

8月から原油生産が開始され、第1船の積出準備も整っているようです。年末までには原油生産量を25万BDまで引き上げる計画です。エクソンモービルの発表によれば、開発費は為替の影響を受けて上昇しているといいます。但し、モスクワの新聞が報道しているように$17Billionではない、としています。

エクソンモービルとロシア政府の間では、サハリン1ブロック近くの油田について見解が分かれています。エクソン側は油田は現在の契約の中にあると主張していますが、ロシア側は新たな油田なので新規に入札をするとしています。

資源開発に当たっては内戦が勃発する、なんていうカントリーリスクがつき物です。ロシアも極めてカントリーリスクが高い国(開発がうまくいけばいくほど)と認識しなければなりません。

予算から見た研究開発の力点

2006-08-25 | エネルギー
経済産業省傘下にNEDOという研究開発機構があります。独立行政法人ですから、傘下という言い方は良くないのかもしれませんが、これまでの習性でこう呼んでおきます。NEDOでは国のお金を使って研究開発をしていますが、いわゆる補助金を企業や大学の研究機関に出しています。この補助金の額から、国がどの分野の研究を推し進めようとしているのか、平成18年度の金額で見てみます。NEDOの正式名称は新エネルギー・産業技術総合開発機構ですから、研究の主眼はエネルギーといっていいでしょう。もちろん、国のお金としてはバイオマス関連ならが農水省も、温暖化ガス排出抑制に関わる技術には環境省からもお金は出ていますので、NEDOの予算だけで国全体のエネルギー開発の方向性を満遍なく見ることは出来ないでしょうが、おおよその方向はつかめるはずです。

まずエネルギー環境分野に1074億、別途燃料電池・水素分野に205億があります。合計で1279億がエネルギー関連に出されている補助金と見ていいでしょう。

研究には技術開発と導入・普及という段階があります。技術開発は文字通り、研究室内で新しい装置や方法を見つけ出す作業です。研究室でうまくいったものが本当に世の中に出して成果が上がるのかを検証するのが、導入・普及です。技術は研究室同士が世界一を競っているだけではだめで、世の中一般に広く普及して初めて成果が上がりますし、それゆえ税金も投入できるということです。

エネルギー分野は新エネと省エネに大別できます。新エネとは風力、太陽光、バイオマスなどこれまでは使われてこなかった再生可能エネルギーといえます。省エネ技術は言うまでもないでしょうが、家電量販店にいくと省エネテレビ、省エネ冷蔵庫などが目に付くようになりました。
この分け方で予算を見ると技術開発421億、導入・普及で420億と全く同じです。もっと言えば導入・普及にも力を入れているということでしょう。

予算額でみると新エネ412億、省エネ428億でこれもほぼ同額といっていいでしょう。しかし内訳は両者で少々違います。新エネは開発346億、導入・普及66億ですが、省エネは逆に開発75億、導入・普及353億になっています。新エネはまだまだこれから開発しなければならないことが多いのに対して、省エネは開発を終わって導入・普及の段階のものが多いともいえます。あるいは、省エネ技術の開発は民間が独自に行なっており、国はその普及に努めるということでもありましょう。

新エネ技術開発の内訳は、太陽光171億、風力7億、太陽光・風力共通の系統連携45億、バイオマス・廃棄物67億です。数年前から注目を浴びた風力発電関連が少なく、太陽光とバイオマスに力点が置かれていて、風力発電はすでに開発振興を終わり、系統連携に研究課題を残していると考えられます。

燃料電池・水素分野は総額で新エネあるいは省エネの半分程度になっています。マスコミ登場頻度からいくと燃料電池にもっと多くを費やしても言いようにも思われますが、少し先の技術と捕らえているのかもしれません。

内訳では、PEFC(固体高分子形燃料電池)が最も多く56億、SOFC(固体酸化物形燃料電池)はその半分です。水素利用技術は28億ですからSOFCとほぼ同じです。
また、標準化・実証といった導入・普及と同義の項目が88億となっており、燃料電池本体の開発と同額になっています。

まとめてみると、新エネと省エネは同額で燃料電池・水素関連はその半額です。新エネでは技術開発に重点がおかれ、省エネは導入・普及に力点が置かれています。また、燃料電池は開発と導入が半々というところです。新エネ・省エネ全体で見れば、開発と導入に半々の予算付けになっており、この辺は国の予算の付け方なのでしょう。

最後にH18年度の特徴は温室効果ガス削減目標達成のため、排出量取引とCDMに122億が振り向けられていることでしょう。これだけのお金を出して他国からCO2枠を買うのならば、その分を自国の研究開発に当てなさい、という意見はもっともですが、既に高度に開発されている日本のエネルギー関連技術を今一段引き上げるのは、容易い事ではないという認識に立つことも必要です。

ロシアの石油パイプラインでリーク事故

2006-08-01 | エネルギー
土曜日にロシアの石油パイプラインでリーク事故があり、当該パイプラインでの原油の供給が突然にストップしてしまった。幸いにも漏洩量はそれほど多くは無く、月曜日午後には原油供給は再開されたという。現実にはそれほど大きな被害がでたわけではないですが、その影響は小さいものではないといえるでしょう。特に、ロシアから石油の供給を受けている近隣諸国にとっては、故意であろうと事故であろうと原油供給が止まることにその違いはありません。事故に備えて予備タンクへの備蓄はしているでしょうが、それだけで安心かといえば、そうではないと思われます。ロシアはサウジについで世界第2の石油輸出国ですから、石油供給ストップのニュースに原油価格は当然反応し再び75ドルをヒットしています。

このパイプラインはDruzhba(読めない、ドルゾバ?)パイプラインというそうですが、シベリア原油を2,500マイル、ということは4,000km、離れた中央・東ヨーロッパまで120万BDも送っているそうです。リーク量は39トンといいますから、それほど大きなものではないでしょう。幸いにリーク地点の近くに川がないので、汚染は広まらず既に32トン分は回収されたといいます。このパイプラインは1960年代に建設されていて、耐用年数的には寿命のようです。パイプライン寿命がたったの40年しかないというのは知りませんでしたが、パイプそのものの寿命は確かにこんなもんかもしれません。昨年の調査では487箇所に不具合があり、小さなプールほどのリークは頻繁に起きているといいますから、ちょっとわれわれの常識からは考えられません。
ソ連崩壊後の混乱期にはきちんとメンテナンスされていなかったことも影響しているのでしょう。ということはこのパイプラインに代わる新たなパイプラインを早々に作らないといけないということになります。そんなお金を準備できるのでしょうか?

ところでリトアニアの製油所は処理量の8割をこのパイプラインからの供給に頼っているそうです。原油がいきなり供給停止になったときは、予備の原油タンクに切り替えて、装置稼働率を60%に下げて対応したといいます。仲の悪いロシアに原油を依存しなければならないというジレンマを抱えているわけですが、何もロシアに限ったことではなく、消費国と資源産出国の関係を友好に保っておくのは難しいことです。事故により供給を停止したが、故意に復旧を遅らせてなんてこと、やろうと思えばできるわけです。日本のエネルギー政策の第一目的が安定供給確保なのは当然なのですね。最も日本に限らず、すべての国がエネルギーの確保に血眼になっている、といってもいいでしょう。

世界エネルギー見通し

2006-07-21 | エネルギー
アメリカ・エネルギー情報局から世界のエネルギー見通し2006年度版が出されています。そこでは特に足元の原油高とunconventional資源の利用を最大限に反映させているようです。

以下に示すように全エネルギー需要は71%増加するとしています。
2003年 421 quadrillion btu
2030年 722 quadrillion btu
需要増加はアジアの途上国で著しい。

また、石油の需要は以下の通りです。
2003年 80 million b/d
2015年 98 million b/d
2030年 118 million b/d
石油の需要増加は47%に止まっています。現在の原油埋蔵量から今後適正なインセンティブで開発が進むという前提で、2030年のおける原油需要を満足することは充分可能としています。

2005年の見通しから比べて、原油価格は高めの予想をしています。原油価格は2003年に31ドルであったものが、2030年には57ドルになるとしています。物価上昇指数を反映させた2030年の通貨価格では107ドルになるそうです。
現在の70ドルという価格は今後下がる方向ではあるが、35-40ドルといったレベルになることは無い、としています。

非在来型資源として、オイルサンド、ビチューメン、バイオ燃料、GTLなどが今後伸びると予想しています。なかでもカナダのオイルサンドは2005年の1.6 million b/dから2030年には3.5 million b/dに延びると予想しています。カナダ政府の予想は6 million b/dともっと大きくなっています。

非在来型資源ではオイルシェールを見込んでいません。これは採掘と埋め戻しに75ドル/バーレル以上のコストとなるためです。今後利用されるようになるには、in-situ採掘法が開発される必要があるでしょう。

天然ガスは原油よりも価格が低位で安定していることから、最も需要増加が大きく2003年の95tcfから182tcfに倍増する見込みです。

自動車の燃費

2006-06-12 | エネルギー
トヨタのハイブリッド(プリウス、エスティマ)の累積販売台数が世界で50万台を超えたそうだ。97年の発売から足掛け10年かかったことになる。97年の発売初年は年間300台だったが、2005年は18万台と大きく増加している。逆に言えばトヨタは少なくとも10年先を見てプリウスを開発していたということだろう。2000年には欧米での販売も開始し、2003年に二代目プリウスが上市された頃から、販売は急増した。特に海外が堅調で、国内総計20万台に対して海外の方が30万台と多い。

ハリウッドスターたちがアカデミー賞授賞式にプリウスで乗り付けるなど、大いに人々の関心を引いたのであろうが、なんといってもその低燃費があげられる。

カタログ値の10・15モード燃費は30.0km/Lである。JHFCでの実走行結果では20.7km/Lであった。比較のために同時に行なわれた一般車(ガソリン車)は10.2km/Lであるので、一口に言えばハイブリッドはガソリンが半分で済むということになる。

米国家庭での自動車のエネルギー消費についてNEDOのレポートがある。それによれば2001年の燃費は49.5ガロン/kマイルとある。日本の燃費の計算とは逆の単位になっている。日本でも低燃費といえば、ガソリン消費が少なくてよいことの意味なのだから、本来はL/kmという計算をしなければおかしい。どうして日本の燃費の単位はkm/Lなのかは、何か理由がほかにあるのだろう。とにかく、米での家庭用自動車の燃費を日本の単位に直すと8.5km/Lとなる。日本の車は全平均で20%も燃費が良いことになる。これは米国の車種がそもそも大型で重たいことによるのであろう。

米国では運輸部門は2番目に多くのエネルギーを消費しているが、CO2排出量は産業部門を抑えて1位だそうだ。米国では2,000万BDの石油製品が消費されるが、1,200万BDの原油・製品が輸入されており、OPEC依存率は40%である。このうち運輸部門では1,360万BDが使用されるが、自動車用ガソリンは890万BDになる。ガソリンの全石油製品中の割合は45%になる。

一方、参考までに日本の数値もあげてみた。482万BDの原油等を輸入しており、なんとOPEC依存率は92%である。Bushは中東への原油依存度を下げると年初の一般教書でぶち上げたが、日本はあまりに多くを依存しているので、とてもそんなことはいえない。余談ではあるが、オイルショック後85年には72%まで低下していましたが、その後の消費量増大に乗ってOPEC依存度は拡大してきています。
話を戻して、軽油・ジェット・ガソリンなどの主として輸送用に利用される量は179万BDで、このうちガソリンは105万BDである。ガソリンの比率は22%であるから、米国のガソリン比率は日本の2倍になっている。このことからも如何に米国でのガソリン消費量が多いかが分かる。

2001年の家庭のガソリン代は年間1,520ドルだそうだ。電気・ガス代が1,493ドルなので、これよりも多いことになる。110円/$で計算するとひと月のガソリン代は14,000円になる。ガソリン価格が日本の約半分であることを考え合わせると、如何に米国家庭でのガソリン消費が日本よりも多いかが理解できる。

2004年以降の原油高騰によりガソリン価格も高騰しているが、これが米国家庭を大きく圧迫していることは日本の比ではない事が分かる。しかし、2001年時点ではSUVの販売台数がまだ伸びており、一般車の10台に4台がSUVという大型化が進んでいた。その後もSUVの販売は伸びていたのであろうが、2004年、2005年にいたってフォードやGMの凋落振り、プリウスの販売急増を見ても分かるように、米国消費者の動向もガラッと変わっただろう。

ハリケーンと石油、天然ガスの価格

2006-05-24 | エネルギー
ハリケーンの予測が石油や天然ガスの価格を引き上げているという。

米国気象庁の予測では今年は13-16のストームが発生し、8-10がハリケーンに発達し、そのうち4-6が大型化するようである。2005年ほどシビアでは無いとしているが、とレーダーたちはこのニュースに反応して石油、天然ガスの価格が直近は上昇している。

それも無理ないことだろう。ニューオリンズの被災地の復旧は始まったばかりだ。さらにGulfの石油ガスの施設もカトリーナとリタの被害からいまだ完全には復旧していない。Gulf最大のシェルのMarsプラットフォームは6月になって漸く、被害前の状況に戻る計画である。今なお、復旧工事が急ピッチで進められている。

原油WTIは$71.3/bblである。余談だがWest Texas Intermedieteというからテキサス州の原油かと思ったら、WTI at Cushing,OKとあるのでオクラホマ州の原油ですね。Cushingを地図で調べてみたらOklahoma State UnibersityのあるStillwaterの近くでした。
天然ガスも$6.28/MMBtuとまた6ドルを超えてきている。

これまで原油価格は供給と需要の関係に産油国事情などに影響されていたが、気象というファクターも新たに付け加わるかもしれない。