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ロシアの石油パイプラインでリーク事故

2006-08-01 | エネルギー
土曜日にロシアの石油パイプラインでリーク事故があり、当該パイプラインでの原油の供給が突然にストップしてしまった。幸いにも漏洩量はそれほど多くは無く、月曜日午後には原油供給は再開されたという。現実にはそれほど大きな被害がでたわけではないですが、その影響は小さいものではないといえるでしょう。特に、ロシアから石油の供給を受けている近隣諸国にとっては、故意であろうと事故であろうと原油供給が止まることにその違いはありません。事故に備えて予備タンクへの備蓄はしているでしょうが、それだけで安心かといえば、そうではないと思われます。ロシアはサウジについで世界第2の石油輸出国ですから、石油供給ストップのニュースに原油価格は当然反応し再び75ドルをヒットしています。

このパイプラインはDruzhba(読めない、ドルゾバ?)パイプラインというそうですが、シベリア原油を2,500マイル、ということは4,000km、離れた中央・東ヨーロッパまで120万BDも送っているそうです。リーク量は39トンといいますから、それほど大きなものではないでしょう。幸いにリーク地点の近くに川がないので、汚染は広まらず既に32トン分は回収されたといいます。このパイプラインは1960年代に建設されていて、耐用年数的には寿命のようです。パイプライン寿命がたったの40年しかないというのは知りませんでしたが、パイプそのものの寿命は確かにこんなもんかもしれません。昨年の調査では487箇所に不具合があり、小さなプールほどのリークは頻繁に起きているといいますから、ちょっとわれわれの常識からは考えられません。
ソ連崩壊後の混乱期にはきちんとメンテナンスされていなかったことも影響しているのでしょう。ということはこのパイプラインに代わる新たなパイプラインを早々に作らないといけないということになります。そんなお金を準備できるのでしょうか?

ところでリトアニアの製油所は処理量の8割をこのパイプラインからの供給に頼っているそうです。原油がいきなり供給停止になったときは、予備の原油タンクに切り替えて、装置稼働率を60%に下げて対応したといいます。仲の悪いロシアに原油を依存しなければならないというジレンマを抱えているわけですが、何もロシアに限ったことではなく、消費国と資源産出国の関係を友好に保っておくのは難しいことです。事故により供給を停止したが、故意に復旧を遅らせてなんてこと、やろうと思えばできるわけです。日本のエネルギー政策の第一目的が安定供給確保なのは当然なのですね。最も日本に限らず、すべての国がエネルギーの確保に血眼になっている、といってもいいでしょう。

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