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風力発電、太陽光発電は石炭火力発電よりも安上がり

2020-04-13 | 再生可能E
気候変動と金融をテーマにしたイギリスのシンクタンク:Carbon Trackerのレポートです。ヨーロッパの、気候変動を主題にしている会社のレポートですから、ある程度割引いて読む必要はあるでしょうが、石炭火力発電が悪者になってます。世の中にはこういう報告もあるという事です。

(記事とは関係ない火力発電所)

 
要旨は以下のようです。
今現在のコストで計算すると、で風力・太陽光発電を新設する方が石炭火力発電所新設よりも安くつく。
更に運転中の石炭火力発電所の半分は、新設の風力・太陽光発電所よりも発電コストが高い。また2030年までには殆どの国で風力・太陽光発電の方が火力発電よりもコストが安くなる。これによって建設中、計画中の石炭火力発電を止めれば60兆円をセイブすることが出来る

再生可能エネルギーは出力制御ができないという欠点があり、これをレドックスフロー電池やリチウムイオン電池で蓄電することで補おうとしていますが、上記の試算にこの蓄電コストは含まれていません。また、よりコストが安いとされている洋上風力発電もカウントしていないとのこと。

石炭火力のコストには炭素税を含んでいるが、これを2021年で5ドル/トン、2040年で40ドル/トンと仮定している。
尚発電コストの計算は以下の通り。
発電平準化コスト=設備投資+石炭+炭素税+固定(運転・メンテナンス)+変動(運転・メンテナンス)
EUは炭素税が高いので比較的早い時期に風力・太陽光発電の方が安上がりになり、その他の国は風力・太陽光のコスト低下に石炭火力発電よりも安くなる。そして2030年には殆どの国で新設風力・太陽光が既設の石炭火力より安くなるという。

現在世界中で計画中、建設中の石炭火力は499 GWであり、その設備投資額は60兆円を超える。

金融もテーマにしているので、投資機関に向けて以下のような提言をしています。
中国はコロナ後の景気刺激策を実行する際に、石炭火力発電の新設を止めて再生可能エネルギーへの投資に切り替える。ちなみに99GWが建設中で106GWが計画中となっている。
石炭火力発電への投資回収期間は15年から20年もある。将来不確実な石炭火力発電への投資を止め、風力・太陽光発電にした方が良い。

日本はというと、計画中の新設石炭発電所は3GWあり、運転中のものは45GW(4,500万kW)ある。
日本の総発電設備容量はおよそ25,000万kWですから、石炭火力は20%弱となってます。いわゆる電源構成比では石炭は30%以上あります。要は石炭火力発電所の能力は小さいけれども、目いっぱい発電してますという事です。

さて試算では現在のコストで比較して、新設の石炭火力よりも新設風力・太陽光の方が安いし、2028年には運転中の石炭よりも安くなる。
ちなみに2019年の新設風力発電コストは69-90ドル/MWh、太陽光は105~120ドル/MWh
新設の石炭火力発電コストは90ドル/MWhで運転中のそれは49~74ドル/MWh
太陽光発電よりも風力発電の方がまだコストが低いとは知りませんでした。

単位を換算すると、新設風力発電コストは7.6円/kWh~9.9円/kWh、太陽光は11.6~13.2円/kWh。
新設の石炭火力発電コストは9.9円/kWh、運転中のもので5.4~8.1円/kWhとなります。
ちなみに私たち一般家庭が購入している電気は会社によって差はありますが、ざっくり25円/kWhでしょうか。


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