2021年6月13日の観察会ならぬ「散歩会」は、前月に次いで砂川から玉川上水駅までを歩きました。このところ真夏のような暑さでしたが、昨日の天気予報では曇りで、朝起きると実際曇り空でした。
武蔵砂川の駅に集合して歩き始めました。キツネガヤ、カモガヤ、アオカモジグサなど、イネ科が目立ち、そのほかで咲いていたのはナンテンハギくらいでした。この辺りはサクラが多く、緑の幅はあまり広くありません。
「あれ、今頃ノイバラが咲いてる」
「ノイバラと言ってもこれはテリハのほうね」
「あ、そうですか。玉川上水にもあるんだ」
「多摩川の河原にあるんですよ」
「そうですか。ここは前に歩いていたんだけど気がつかなかったな」
テリハノイバラ
みかげ橋(34)では南側を歩きましたが、草が刈られていて、コオニユリ、ツリガネニンジンなどが開花の準備をしているようでしたが、咲いた花はほとんどありませんでした。
時々甲虫がいて小口さんが説明をしてくれました。
金比羅橋(35)のあたりは農村的な景観で、北側に公園のような場所があって、春にはヒトリシズカやニリンソウがあるので、歩いてみました。
金比羅橋から上流
そうしたらホタルブクロが咲いていて、ここのは白い花でした。ここで三鷹からきた鎌田さんが合流されました。
ホタルブクロ
記念撮影
その下流は北側を歩くことにしましたが、この辺りは緑地の幅が広くてコナラやケヤキの太い木が多い場所です。
ニガナが咲いていたので、確認のために「花弁5枚に見えるのは、離弁花の5枚の花びらとは違い、独立した5つの舌状花の集まり」だという説明をしました。
ニガナ
小口さんの解説を聞く
ツユクサが咲いていました。合流した辻さんが「ツユクサって染めに使うんだよね」というので「そうなんだけど、すぐに水に溶けるので、下絵に使ったんです。本塗りをした後、水につければそこが消えるというわけです。万葉の時代にはツユクサはツキクサと言って、はかないものの代表として失恋の歌にうたわれました*」
*月草の、うつろひやすく思へかも、我が思ふ人の、言も告げ来ぬ
ツユクサ
みやの橋(36)で下流を見ると大きいコナラが剪定されていました。少し時間が経っているようでしたが、
「この程度なら林の景観が保たれるから、根元からの伐採よりはよほどいいけど、でも剪定する理由はなんですかね。水道局が言うのは面崩壊防止と危険防止です。この木は倒れる心配はないし、壁面はコンクリートで固めてあるのだから崩壊もないし、どちらの理由にも当てはまりません」
「予算消化」
「じゃないですかね」
みやの端から上流
太いエノキがあったので直径を測ると87cmもありました。
「立派なエノキですね。オオムラサキがいてもいいのに」
「いないよね、アカボシゴマダラが多くなってね」
「ゴマダラもいなくなってきたよ」
「オオムラサキは狭山丘陵にはいますけどね」
「そうですか、たまにいくけどみたことないな」
樹木がなくて明るい場所があってホタルブクロがいくつか咲いていました。
「ここのは薄紫だよね」
「白もいいけど、これがホタルブクロっていう感じだね」
「あ、蕾がある」
「これはもうすぐ咲くよ。これは咲く時ポンって言いそうだよね」
「風船みたい」
「キキョウの仲間ってわかるよね」
ホタルブクロ(蕾)
時間の余裕がありそうだったので有賀先生にお会いした話をしました。「井の頭にお住まいの有賀先生ご夫妻に会いました。新橋と幸橋の北側が伐採されるのでなんとかしたいと言うことでした。そこに40年以上も住んでいて、当時は玉川上水にゴミが捨てられていたそうです。それを三鷹市に働きかけて、ふるさと再生とかいって1億円が配られましたが、当時は鈴木都知事の時代で理解があったらしく、9億円を水増しして・・・
「上乗せでしょ」
「あ、そうだ、水増しじゃない上乗せして、復水が実現したそうです。当時は市民の声を行政が聞く空気があったんですね」
「有賀先生は長野の人なんだ」
と小口さん
「え、知ってるの?」
「近くに住んでるもん、私も長野なんです。先生は塩尻の人でね、私は安曇野」
「その日、松本の女性でやはり打楽器の奏者の人がきていました。お弟子さんみたい」
「なんと言ってもN響の奏者だったと言うからすごいですよね。気持ちがそのまま行動に出るような人でした」
「鈴木さんを紹介したら、会ったみたいです。先生は長年の実績が評価されてこの春、三鷹市から表彰されたそうです。表彰した人の言葉は無視できないだろうから、いい方向に進めばいいと思っています」
玉川上水川にノカンゾウが咲いていました。
「カンゾウってどういう意味?」
「カンゾウといっても2つあるんですよ。一つは萱草で、ワスレグサね。ユウスゲとかニッコウキスゲの仲間です。もう一つは甘草で、こちらはマメ科の薬草です。山梨の塩山に甘草屋敷というのがあります。幕府に納めていました」
ノカンゾウ
「みやの橋(36)の下流は大きく左に曲がります。その2つ上流のみかげ橋の下流では大きく右に曲がりますから、玉川上水はそれまで直線で進んできてここで右に湾曲するということです。たぶん、直線に進んだが水が吸い込まれるとか何らかの理由があって迂回せざるを得ない事情があったのではないでしょうか」
詳しい人に聞きたいものです。
みやの橋から下流
玉川上水駅が近くなったところでホタルブクロがまとまって咲いているところがありました。なんとなく人がまとめて植えたみたいでした。近づくとマルハナバチがやってきて花の中に潜り込んでいました。たくさんあったので、一つ花をとって
「私たちはこの花を見てこちらが表と思うじゃないですか」
「うん、うん」
「でもね」
と言って中を覗いてもらうと、はっきりとした紫色の点があります。表の薄紫はそれが透けて見えているのです。
「花にとっては虫にどう見えるかが問題だから、ハチが中に入って<こっちに蜜があるよ>とガイドするわけで、中の方がオモテな訳です」
「あ、そうか」
ホタルブクロを観察する
2時間ほどの歩きで玉川上水駅につきました。一応解散しましたが、長峰さんが南側に大きなクワの木があると言うので、行ってみるとなるほど大きな、高さ8メートルはある木があって下には無数のクワの実が落ちていました。見るとサクラの種子も落ちていて、ヒヨドリなどが運んできているようでした。知らない女性が一緒にクワの実を見ていましたが、鎌田さんが
「先生」
と言うのでいくと、
「一緒に歩きたいそうです。どこに連絡すればいいですか」
と言うのでスマホで玉川上水花マップを検索してもらい、観察会のご案内というサイトを開いてもらいました。
「来月はここから小平方向に向かって歩きます」
と言ってもう一度解散しました。
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