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玉川上水 花マップ

玉川上水沿いの主な野草の生育地図を作ります

アマナの観察 1

2020-05-06 15:37:05 | シンポジウム
 林が明るいうちに花を咲かせて、木々の葉が茂る時には花を終えてしまう草本を「春季草」とか「春の妖精」とかいう。後者はspring ephemeral、「春のはかないもの」の訳だというが、ephemeralに妖精という意味はないのであまりいい訳とは言えないと思う。それで私はこれを「たまゆら草」と呼ぶことを提案したい。
 さて、その一つがアマナである。今年の春はこのアマナを観察したいと思った。

 この場所は前からアマナが咲くことを知っていたが、例年は4月の第1週に咲くのを知っていたので、早いと思ったが、見落とさないようにと3月の中旬からのぞいていた。初めて花を見たのは3月16日で、早いのに驚いた。

 20.3/16

その後、花が開いたのを確認したのは3月18日だった。

 20.3/18

その後、3月の下旬になると次第に花が増えていった。

 20.3/20

 20.3/21

 上から見ると白い花だが、外側には紅色の筋がある。

 20.3/21

この頃になると地面をアマナの花が覆い、気をつけないと花を踏んでしまいそうになるほどになった。

 20.3/20

 私たちはスミレやアマナのような小さい花を「上から目線」で見下ろしますが、アマナを訪れる昆虫のように視線を下げてみるとちょっと違う景色が見えました。

 20.3/27

 こうして、たまゆらな「アマナの季節」を楽しんでいたのだが、3月28日の夜に時ならぬ雪が降ったので、29日にその場所に行くと、アマナの花がなくなっていた。それは雪に覆われたためで、よく探すと少しだが花を見つけることができた。
 その後も順調に咲いており、周りにはタチツボスミレ、ショカツサイなどが咲いていた。

 20.3.29

 その後、少し現地に行けなかった。4月14日に行くと、花が見つからず、消えてしまったかと思った。雪のせいで花がダメになって腐ってしまったのかと思ったが、地面から出る大きな葉と花を支える柄についている小さな対生の葉が違うのを思い出して、柄の方を探すと、その先に思いがけないほど大きな果実があるのに気づいた。カタクリでも同じような果実をつけるがカタクチの花柄はもっと太く丈夫なので、果実はその先についているが、アマナの場合は花が終わったあと、子房が肥大する早い段階で重さに耐えられず花柄が倒れてしまい、大きくなった子房が地面についてしまうのだ。それが29日に雪の下になったので、そのまま花柄が倒れて子房が肥大したようだ。子房が小さい段階で観察できなかったのが悔やまれた。

 20.4/14

 20.4/14

 緑色の子房は特に変化がなかったが、5月6日に見ると色が変わっていた。また葉の緑色が
抜けたようになっていた。すでに光合成産物を地下部(鱗茎)に移動させたようだ。これでたまゆら草」は仕事を終えて、来春まで休眠状態に入ることになる。

 20.5/6
20.5/6

 参考までに盛んに光合成をしていた時期の葉を示す。

 20.3/20

 最後に一言つか加えておきたい。
私の自然観察は学生時代から若手研究者になった仙台での体験が基本になっている。アマナは仙台では見た覚えがない。図鑑によれば東北南部より南に分布となっているから、仙台にはないのかもしれない。少なくともあちこちにあるというものではなかった。というわけで玉川上水でが初めての出会いであった。それがコナラの林の下であった。図鑑類によればアマナは草原の草であるというが、玉川上水で見る限り草原的な環境よりは雑木林の下が多い。草原的なところにないわけではないが、その場合はほとんど花が咲いていない。「たまゆら草」で言えばニリンソウの方が明るい場所にある。私が見る限り、アマナがよく開花しているのは、明るい林であり、他の草本類が少ない環境である。アマナのように草丈の低い草本はススキのような大型草本があると却って庇蔭されて競争に敗けるように思われる。ススキのような直射日光を好む種は林の下には出ることができない。だからそういう競争相手はいないいが、しかし十分に明るいという雑木林の下がアマナにとっての最適環境のように思える。この解釈は違うかもしれず、もっと観察体験を充実させたい。


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