玉川上水 花マップ

玉川上水沿いの主な野草の生育地図を作ります

2月11日の観察会

2024-02-11 22:02:24 | 観察会
2月11日に観察会をしました。少し前に鷹の台に花ごよみの記録に来たら、何本かの木が伐られていたので観察会で年輪数を調べることにしました。鷹の橋から上流に向かって歩きました。樹冠を形成する木はコナラ、クヌギ、イヌシデなどいずれも落葉広葉樹ですが、低木は、ネズミモチ、アオキ、モチノキ、イヌツゲ、ユズリハ、マサキなど常緑樹が多いことを説明しました。この辺りはアズマネザサも多く、藪状態なのでウグイスがよく記録されます。

しばらくあるくと、クヌギの切り株があったので、中心部から年輪5本づつにピンを立てて、年輪の数と中心からの距離を計測しました。

年輪を数える


切り株の表面にさしたピン。5年ごとにさした。

最初の木の年輪数は74本でした。年輪を調べた面は地上30 cmくらいあり、この木はその高さに達するまでの数年経っているので、その年数を加えたのが年齢(樹齢)ということになります。いずれにしても戦後しばらくして伸び始めた木ということになります。
以前、子供と一緒にこの測定をしたとき、
「君たちが生まれたのはこの辺りなんだよ」
と言うとキョトンとした顔をしていましたが、大人は喜んで聞いていました。
「<お母さんはこのあたり、私はこの辺になるかな>などというと笑っていました」
こうして4本(いずれもクヌギ)の切り株を調べましたが、結果は次の通り。

周囲 210cm、年輪74本
周囲 270cm、年輪127本
周囲 221cm、年輪78本
周囲 197cm、年輪127本

年齢と太さは対応していません。

コルクはコルクガシという地中海地方にはえるナラ類の1種からとられますが、日本のクヌギは日本のナラ類の中ではコルク層が最も発達しています。それで、太平洋戦争中、当時はダンボールなどありませんから、軍事用品を運ぶのは木箱で、そのクッションのためにコルクが大変貴重だったということです。そのためにクヌギを植えたという記録は各地にあります。玉川上水でもこの辺りはクヌギがとても多いので、ひょっとしたらこのクヌギも戦争中に植えたのかもしれません。もっともコルクが取れるようになるためには何年もかかるわけで、当時の日本人はあの戦争を何十年も続けるつもりだったのかもしれませんが、この木が少し育った頃には敗戦ということになります」

上流に歩いて行きましたが、豊口さんがシュンランの花芽を見つけました。

シュンラン

少しですが雪が残っていました。
「この前雪が降ったじゃないですか」
「降った、降った」
「あの日の朝、見に来たんです。朝と言っても10時頃ですがね。もう木には雪がなくなっていたけど、歩道は白かったですよ」

歩きながら
「アサココ<朝日新聞に添えられるローカルな広報誌 こちら>に玉川上水の野草を紹介しています」
「あ、あれ楽しみにしてます」
「あと一回で終わりなんですよ」
「そうなんですか」
「それで、いつも2つの野草を紹介してるんだけど、最後だからウグイスカグラだけにして、あとは最後の挨拶にしようと思ったんですね。それで何を書こうかと思ったんだけど、こうしてまた春が来たこと、そのもののありがたさね。当たり前のことが、戦争のニュースなんか見ると、当たり前でないんだってことね。そういうことを書きました」
「いやあ、地球のことを考えると、戦争なんかしてる場合かって思いますよね」
「ほんと、ほんと」
いこい橋まできたので、南側にコースを変えて今度は下流に向かいました。
「これクマザサです。熊ではなく隈の方です。フチが白くくまどるからで、お寺の庭などにありますが、山にはありません」
「これはイボタノキで、ネズミモチなどと同じ仲間です。私は玉川上水でここでしか見ていません。花の時期はすごくいい匂いがして、虫がブンブンと集まっています」

歩きながら
「やっぱり南側は明るくて暖かいですよね、陽が当たるんですね」

しばらく行くと、栗栖さんが
「これなんですか?」
「ああ、キヅタです。Ivyですね。Ivy lookってあったでしょう」
柴山さんが
「あった、あった」
「歳がわかるね」(笑)
「あれは、アメリカ東部の古い大学にこのIvyがあったからで、西海岸とは違うファッションだったんですね」
「へえ」
「ヨーロッパにはツルといえばこれくらいしかないんです。だから、夏の日本に来たヨーロッパ人は、30度以上のムシムシの夏なんか経験したことがないから、それだけで<これは熱帯だ>と思うらしいですが、木にいろいろなツルが絡んでいるのを見て、一層熱帯だと思うらしいです。玉川上水でもヘクソカズラ、ツルウメモドキ、センニンソウ、テイカカズラ、スイカズラとたくさんのツルがあるでしょう。こういうふうに日本にツル植物が多いのは、ヨーロッパ人には驚きなんだそうです」


説明をする

アジサイがあったので、芽鱗痕の話をしました。
「この芽の下に去年の痕があります。ガリンコンって言います」
「どんな字?」
「冬芽の芽、ウロコ、痕跡の痕です」


「サルみたい」
と長峰さん
「私にはフクロウに見える」(笑)

そんな雑談をしながら歩いていると、ポカポカ陽気になってちょっと汗ばむほどになりました。記念撮影をして解散としました。


写真の多くは豊口さん撮影です。ありがとうございます。



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