玉川上水 花マップ

玉川上水沿いの主な野草の生育地図を作ります

はじめに

2018-08-21 16:45:13 | 秋の花 冊子
冊子「玉川上水 花マップ」2017秋 
2-3ページ

タイトル
玉川上水と花マップの活動


はじめに

 玉川上水を空から写した写真を見ると、本当に細い緑の線が灰色の市街地に続いているのがわかります。玉川上水は江戸時代の初めに江戸市中の人々の飲料水を確保するために作られた人工の水路で、水道が完備するまでは上水道として使われていました。しかし、今ではその機能を終え、多くの人が散歩やジョギングを楽しむ、いこいの場所として使われています。多摩川の水を取る羽村から立川、小平までは今でも上水道に使う水が流れていますが、小平で水がとられるので水は急に少なくなります。そして、三鷹を経て杉並までのおよそ30キロを流れ、その先の13キロは暗渠(あんきょ)化され、地面に埋められています。
 玉川上水の多くはコナラやクヌギの林で、そこにチゴユリやホウチャクソウのような林の下に生える野草がみられます。東京の市街地にこのような林の野草が残っているのはすばらしいことだと思います。一方、木が少ない場所もあり、そのような場所にはススキやノカンゾウなど明るい場所に生える野草がみられます。このような野草も日本中で少なくなっているので、これが市街地にあるのは驚くべきことです。また玉川上水は東西には長いのですが、林の幅が狭いので、林の縁の部分にはセンニンソウやノブドウなどのつる植物がよくみられますし、玉川上水にそって走っている道路の近くにはオオバコやセイヨウタンポポなども生えています。このように林の状態によって下に生える植物は変化します。また、昔から玉川上水を見てきた人に話を聞くと、以前はもっと明るく、オミナエシやホタルブクロなどが多かったそうです。
 このように玉川上水の植物はつねに変化しています。そこで私たちは現在の玉川上水の植物の分布を記録しておきたいと考えました。すべての植物をとりあげるわけにはいかないので、目立ちやすく、区別がしやすい植物をとりあげ、多人数で分担して30キロの範囲を毎月歩いて分布を明らかにしました。こうしてできたのがこの「花マップ」です。
 この冊子には秋の花18種をとりあげました。これらを含め37種の写真も載せて図鑑代わりに使ってもらうことにしました。
 玉川上水に豊かな野草があることは知っていましたが、こうして毎月玉川上水沿いに歩くことで、改めてその豊富さに驚くことがありました。そしてこの玉川上水を今日まで残してくれた先人の精神を引き継がなければならないと思いました。語ることのない野草たちはそのことを私たちに教えてくれたように思います。

以上1,010文字

花マップについて

 私たちは2017年4月から、玉川上水沿いに自分の歩く範囲を決めて分担して野草が開花しているのを確認し、写真撮影をし、データとして残しました。区画は30キロの範囲内にある97の橋を区切りとし、橋と橋の間に咲いていた花を記録しました。その植物があっても花が咲いていなければ記録はしていませんし、見落としもないとはいえません。しかしそこに花があったことが正確に記録されたということに大きな意味があります。こうして全範囲を毎月ていねいに歩いて記録した膨大なデータから、この冊子では9月から10月までの「秋の花」をとりあげ、代表的な18種は花の特徴の記述や玉川上水での分布マップを載せました。また図鑑代わりに使えるよう40種の写真を載せましたので、ハンドブックとしてお使いいただければ幸いです。

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