エイリアン2 完全版 / ジェームズ・キャメロン
137 min, 154 min USA | UK
Aliens special edition (1986, 1992)
Screenplay and direction by James Cameron. Story by James Cameron, David Giler, Walter Hill. Characters by Dan O'Bannon and Ronald Shusett. Cinematography by Adrian Biddle. Music by James Horner. Performed by Sigourney Weaver (Ellen Ripley), Carrie Henn (Rebecca 'Newt' Jorden), Jenette Goldstein (Pvt. Vasquez), and Lance Henriksen, NYC, 1940- (Bishop). Estimated Budget: $18,500,000.
リドリー・スコットの『エイリアン』初編は、鋭利に研ぎ澄まされた理知の作品だった。いっぽうジェームズ・キャメロンによるこの続編は、体力勝負の物量戦といっていい。ひたすら獰猛なエイリアンの群れに、ひたすら大量の火器を使って、ばりばりどかんと応戦する。しかも「完全版」はなんと2時間半。ある種の泥くささや、べたな決め台詞をふくめてキャメロンらしさがよく出ていた。このひとは良くもわるくも屈指の大衆作家なのです。
当然ながら、スタイリッシュではない。上品なバーというよりは兵隊酒場のいきおいで、前作の精巧なモチーフをかたちだけ派手になぞったところも目につく。たとえば爆破カウントダウン。煙や炎や轟音でこれでもかと仕上げているのに、まったく切迫感がない(笑)。けれど「強い母としてのヒロイン像」を、男性偏重のハリウッド映画に導入した功績は大きいと思う。ご存じのクライマックスは、いわばエイリアン・対・女性ガンダムでした。ほほほ、これがほんとのGun-Dameですわね(あのぅ)。
メモリータグ■アンドロイドのビショップ。演じたのはランス・ヘンリクセン。この人が出ると、すっと画面がひき締まる。
余談■『エイリアン』初編の爆破カウントダウンでは、「ティー・マイナス・・・」と間があってから、「テン・ミニッツ」とようやく情報が告げられる。この「間」にとても意味があった。絶体絶命の状況であと何分残されているのか、主人公は即刻知りたい(観客も)。その瞬間に、わざと間をおく。初編のあちこちでスコットが自在にあやつっていたあの間合いは、演出家としての優れたセンスを証明していたと思う。いい監督は、リズムがいい。