今更留学記 Family medicine

家庭医療の実践と、指導者としての修行も兼ねて、ミシガン大学へ臨床留学中。家庭医とその周辺概念について考察する。

「めまい」は苦手ですか?

2008-02-26 23:09:49 | 医療ネタその他
今日のティーチングカンファレンスで取り上げた話題は

 初期研修医用のカンファレンスで「めまい」

 後期研修医で「高血圧の外来管理」


私は研修医の頃「めまいの高齢者」と聞くと、こちらがめまいを感じたものですが、今も何となく苦手です

おそらく「めまい」を何となく苦手にしている医師は多いと思います

何故なのでしょう?

「めまい」というと、漠然としていて、

長々と神経所見をとらなくてはいけないし、

見逃してはいけない重症な患者さんがまぎれており

そのくせ終わってみれば、結局軽症だった

そんな経験が、「めまいアレルギー」を作り出しているのではないでしょうか?


おそらく一番最初の「漠然としている」のが一番のネックなのでは?と考え

「めまい」をもっと明確にすることを今回のティーチングパールにしようと思いました

改めて、オンライン教科書や様々な書籍をあたってみましたが、日本の教科書で「めまい」を気持ちよく定義してくれている記載がなかなか見当たりません

大抵の記載は「めまい」の鑑別としてvertigoが末梢性か?中枢性か?に終始しています

唯一見つけたのはやっぱり

頭痛・めまい・しびれの臨床―病態生理学的アプローチ (単行本)
植村 研一 (著)

私もかれこれ10年前に購入しましたが、長年を経ても色あせておらず

秀逸な本だと再確認です

植村先生の本を軸に、英語のdizziness, vertigo, floating sensationなどの表現を照らし合わせて

自分でまとめ直してみると以下のようになりました

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めまい(dizziness)

  1. 回転性めまい vertigo ~中枢性と末梢性
  2. ふらつき ~中枢性平衡障害(脳幹・小脳)
    • 一定の方向に倒れこむ disequilibrium
    • 動揺感、浮動感 floating sensation 
  3. たちくらみ ~脳幹網様体、ARAS
    • 眼前暗黒感 presyncope (lightheadedness)
    • 一過性意識消失 syncope
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カンファレンスでは、プロブレムリストから鑑別を挙げている途中で行き詰まったときに、この定義をおさらいしました

それによりfocusを当てた鑑別をあげることができるようになったと思います

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